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資金調達の方法と選び方 中小企業・個人事業主の状況別早見表

編集部
資金調達の方法と選び方 中小企業・個人事業主の状況別早見表

資金調達の方法は、融資、ファクタリング、補助金、出資といくつもあります。ただ、条件を確認せずに選ぶと、必要以上の費用がかかったり、資金の用意が支払日に間に合わなかったりすることがあります。

この記事では、中小企業や個人事業主が、必要な時期と金額、返済の見通しに合わせて資金調達の方法を選ぶ手順を説明します。状況別の早見表と、それぞれの方法を詳しく説明した記事・計算ツールへの案内をまとめました。

2026年に変わったこと

  • 金利が上がっている:日本銀行は2026年9月、政策金利を1.25%程度に引き上げました。借入れの金利も上がる方向です
  • 紙の手形の利用が終わる:多くの金融機関が、手形・小切手の最終振出期限を2026年9月30日としています。受け取った手形を割り引いて現金にする方法は、でんさい(電子記録債権)などに移っていきます
  • 取適法が始まった:下請法が改正され、2026年1月から取適法(中小受託取引適正化法)になりました。対象の取引では、手形での支払いが禁止され、支払期日は受領から60日以内です。詳しくは取適法の記事で説明しています

資金調達の前に、必要な金額と時期を決める

資金調達の方法を選ぶ前に、3つのことを数字で出します。

  1. いつまでに必要か

    支払いの日が今月なのか、3か月後なのかで、使える方法が変わります。融資は申込みから入金まで日数がかかるので、時期が近いほど選べる方法が減ります。

  2. いくら足りないか

    入金と支払いのずれで必要になる額は必要運転資金の計算ツールで出せます。月ごとの残高は資金繰り表で確認します。

  3. 返せるか

    借りるなら、返済に充てられる現金が、毎月の入金と支払いの後に残るかを確認します。返済額は金利・返済シミュレーターで試算できます。返済の見込みの立て方は事業計画と返済の見込みの記事で説明しています。

スマートフォンでは、下の図を横にスクロールできます。

架空の会社の月末の現預金。7月と8月が最低ラインの1,600万円を下回る。足りなくなる月を先に知り、その1か月以上前の5月に融資を相談する。

節約社長編集部では、手元の現預金の最低ラインを月商の2か月分と決めています。資金繰り表でこのラインを下回る月が見えたら、その月より前に資金を用意する方法を考えます。足りなくなる月を早く知るほど、費用の安い方法を選べます。

状況別の資金調達の方法

自社の状況に近い行から、検討する方法を選んでください。

状況別の早見表

状況まず検討する方法注意すること
創業する・
創業して間もない
日本政策金融公庫の創業向けの融資、自治体の制度融資創業計画書を用意する。申込みから入金まで日数がかかる
数か月先に
運転資金が足りない
取引のある銀行や公庫の融資足りなくなる1か月以上前に相談する
今月の支払いに
間に合わない
ファクタリング、でんさいの割引費用と契約条件を確認する。一時的な入金の遅れを補う場合に検討する
赤字が続き、
毎月足りない
支出の見直し、借入れの返済条件の相談ファクタリングで穴埋めすると、手数料の分だけ苦しくなる
設備や人に
投資したい
融資、補助金補助金は後払い。採択されても、先に自社で支払う

出資やクラウドファンディングもありますが、株主や支援者への説明と、経営への関わり方を決める必要があり、多くの中小企業にとって最初の選択肢にはなりにくい方法です。

融資で借りる

時間があるなら、まず融資を検討します。手数料を払い続けるファクタリングより、融資の方が費用を抑えられる場合があり、数年かけて返す方法も選べるためです。

日本政策金融公庫

政府が出資する金融機関です。国民生活事業は、個人事業主や小規模な会社も利用できます。創業する人向けには「新規開業・スタートアップ支援資金」があります。申込みから送金完了まで1か月程度(土日・祝日を含む)とされています。条件と申込みの流れは日本政策金融公庫の創業融資で説明しています。

信用保証協会の保証付き融資

銀行や信用金庫から借りるときに、信用保証協会が保証を付ける融資です。保証料がかかりますが、会社の実績が少なくても借りやすくなります。自治体の制度融資も、多くはこの形です。

銀行のプロパー融資

信用保証協会の保証を付けずに、銀行が自らの判断で貸す融資です。決算の実績と、銀行との取引の積み重ねが求められます。

経営者保証なしで借りる制度

社長が会社の借入れの連帯保証人になる「経営者保証」を付けずに借りられる制度が増えています。2026年5月には、事業全体の価値を担保にする企業価値担保権も始まりました。条件は経営者保証なしで融資を受ける方法で説明しています。

売掛金を早く現金にする

取引先からの入金を待たずに、売掛金を早く現金にする方法です。融資より早く現金にできる場合がありますが、費用と契約条件の確認が必要です。

ファクタリング

売掛金をファクタリング会社に売って、入金日より前に現金を受け取ります。審査では主に取引先の支払い能力が見られ、公式サイトで最短即日の入金をうたう会社もあります。一方で、手数料は売掛金を売るたびにかかり、使い続けると費用が増えます。

でんさいの割引

取引先から電子記録債権(でんさい)で支払いを受けている場合、取引金融機関で割引を受けて、支払期日より前に現金にできることがあります。割り引いたでんさいが期日に払われなかった場合は、自社が支払いの責任を負います。扱いは金融機関によって違います。

返済のいらない補助金・助成金

補助金と助成金は、返済のいらないお金です。ただし、ここで紹介する主な制度は後払いが原則で、事業を行って経費を払った後に受け取ります。目の前の支払いに充てることはできません。

  • 補助金:主に経済産業省や自治体の制度です。申請して審査を受け、採択されたものだけが受け取れます。事業費の一部は自己負担です
  • 助成金:主に厚生労働省の雇用に関する制度です。要件を満たして申請し、支給が認められれば受け取れます

補助金の名前や締切は毎年のように変わるので、中小企業庁の「ミラサポplus」などの公式サイトで最新の公募を確認してください。補助金で設備を買う場合も、支払いの時期と入金の時期のずれを、融資などで埋める必要があることがあります。

資金調達の費用の比べ方

融資の金利とファクタリングの手数料率は、数字だけでは比較できません。融資の利息は借りた額と期間に応じてかかり、ファクタリングの手数料は1回の取引ごとに売掛金の額にかかるからです。同じ金額を用意する場合の手数料や利息を計算し、費用の総額を比較します。

たとえば、売掛金100万円を手数料10%で売ると、費用は10万円で、受け取るのは90万円です。同じ90万円を年利4%で30日借りた場合の利息は、約2,959円です。融資は元金を30日後に一括で返す仮定で、1年を365日として計算しています。保証料などの追加費用は含めていません(どちらも架空の例)。詳しい比べ方はファクタリングと融資の違いで説明しています。

使ってはいけない資金調達

資金繰りが苦しいときほど、危ない業者に引っかかりやすくなります。次のものは使わないでください。

  • 売買を装った無登録の貸付け(偽装ファクタリング):取引先の不払いによる損失を売り手が負うなど、経済的な実態が貸付けに当たるのに、貸金業の登録なしで行う取引。契約名だけで判断せず、実態を確認する必要があります。金融庁が注意を呼びかけています
  • 給与ファクタリング:給料の買取りをうたう取引。最高裁は貸付けに当たると判断し、金融庁も利用しないよう呼びかけています
  • 登録のない貸金業者(ヤミ金):貸金業の登録がない業者からの借入れ。登録の有無は金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で確認できます

見分け方と相談先は違法なファクタリングの見分け方で説明しています。

よくある質問

赤字でも資金調達はできますか?

赤字というだけで、どの方法も使えなくなるわけではありません。ファクタリングは主に取引先の支払い能力が見られるため、自社が赤字でも使える場合があります。ただ、赤字が続いて毎月足りない状態なら、借りたり売掛金を売ったりする前に、支出の見直しと、取引のある金融機関への返済条件の相談を考えてください。資金が足りなくなりそうなときにやることは資金ショートの記事で説明しています。

個人事業主でも融資を受けられますか?

受けられます。日本政策金融公庫の国民生活事業は個人事業主も利用でき、信用保証協会の保証付き融資も個人事業主が対象になります。

ファクタリングを使うと、取引先に知られますか?

取引先の承諾を得る3社間ファクタリングでは、取引先に知られます。2社間ファクタリングは原則として取引先に知らせませんが、契約によっては債権譲渡の登記や取引先への通知を求められることがあります。

補助金を、運転資金の不足に使えますか?

一般的な後払いの補助金を、交付前の支払いに充てることはできません。対象経費や支払時期は制度ごとに異なるため、運転資金として使えるかも公募要領で確認してください。

資金調達の記事と計算ツール

計算ツール

資金繰り

融資

ファクタリング

参考資料

  1. 日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年9月18日)
  2. 公正取引委員会「約束手形の利用廃止を踏まえたサプライチェーン全体での支払の適正化について」
  3. 公正取引委員会「取適法」
  4. 日本政策金融公庫「国民生活事業をはじめてご利用の方へ」
  5. 日本政策金融公庫「金利情報」
  6. 金融庁「企業価値担保権」
  7. ミラサポplus「補助金とは」
  8. 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」

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