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AIを活用した資金繰り表の作り方 お金が足りなくなる月を事前に知る方法

編集部
AIを活用した資金繰り表の作り方 お金が足りなくなる月を事前に知る方法

資金繰り表を作ろうとして、エクセルのテンプレートを開いたまま止まっていないでしょうか。

節約社長編集部では、会計ソフトのデータを毎月AIに取り込ませて、資金繰りの見通しを作っています。自分たちで表に数字を打ち込むことは、ほとんどありません。

ただ、前年の実績だけで作らせた見通しには、大事なものが入っていませんでした。この記事では、AIで資金繰り表を作る手順と、そのとき編集部が気づいた点を紹介します。

資金繰り表とは

資金繰り表は、月ごとに「入ってくるお金」「出ていくお金」「月末に残るお金」を並べた表です。

資金繰り表のしくみ(架空の会社、万円)

4月

期首の残高2,000

+ 入ってくる780

− 出ていく760

= 月末に残る2,020

5月

前の月から2,020

+ 入ってくる800

− 出ていく770

= 月末に残る2,050

6月

前の月から2,050

+ 入ってくる820

− 出ていく780

= 月末に残る2,090

「入ってくる」「出ていく」は、その月に動いたお金です。月末に残るお金が、次の月の始まりになります。これを12か月つなげたものが資金繰り表です。

損益計算書との違いは、見ているのが利益ではなく現金だという点です。売上が立っても、入金が翌月末なら、その月の現金は増えません。賞与や税金も、費用を計上する時期と実際に支払う時期が一致するとは限りません。また、借入金の元金返済は費用にならなくても現金を減らします。利益が出ているのに支払いができなくなる「黒字倒産」は、この差から起きます。

資金繰り表で一番見たいのは、月末の残高が一番少なくなる月です。

用意するもの

AIに渡すものは3つです。

  • 会計ソフトの前年12か月分のデータ:月ごとの収入と支出が分かるもの。現金と預金の出入りを出せるなら、それが一番近い形です。試算表の月次推移を使う場合は、売掛金の回収・買掛金の支払いの時期、借入金の元金返済、設備購入などを別に補います。売上や費用を、そのまま入出金として扱わないようにします。
  • これからの予定の一覧:納税、賞与、借入の返済、大きな仕入れや設備の支払いなど、前年と違う支払いや入金です。
  • 現預金の最低ライン:ここを下回ったら困る、という金額です。編集部では「月商の2か月分」と決めています。

3つ目は、表を作る前に決めておきます。表ができてから決めると、つい今の残高に合わせた金額にしてしまうからです。

AIに資金繰り表を作らせる手順

会計ソフトのデータと予定の一覧を渡し、AIが資金繰り表にし、最低ラインを下回る月がないかを自分で確かめる。毎月、実績を足して作り直す。
  1. 会計ソフトから前年のデータを出す

    多くの会計ソフトは、試算表や仕訳をCSVやエクセルで書き出せます。社名や取引先名は、渡す前に消しておきます。

  2. 予定の一覧を書く

    月と金額と中身に加え、前年実績への「追加」「置き換え」「取り消し」を1行ずつ書きます。前年に含まれる賞与や納税を、そのまま上乗せしないためです。未確定の入金は楽観的に見込まず、支出は余裕を持たせて見積もります。

  3. AIに渡して表にしてもらう

    下のような指示を使います。

  4. できた表を確かめる

    確かめ方は、この後の「できた表を確かめる」で説明します。

  5. 毎月、実績を足して作り直す

    月が終わったら、その月の実績と新しく決まった予定を足して、同じ指示で作り直します。

プロンプト
添付した前年12か月分の会計データと、予定の一覧から、今期12か月の資金繰り表を作ってください。
1. 月ごとに、入金・支払い・月末の現預金残高を表にしてください。前年実績と予定による調整額も分けて示してください。
2. 前年の同じ月の実際の入出金を参考にしてください。試算表しかない場合、回収・支払時期、借入元金返済、設備購入などの不足情報を質問し、推測で埋めないでください。
3. 予定は「追加」「置き換え」「取り消し」に分けて反映してください。前年実績に含まれる納税・賞与などを二重計上しないでください。置き換えは元の金額を除き、新しい月と金額へ変更してください。
4. 期首の現預金残高は○○万円です。毎月「前月末残高+調整後の入金−調整後の支払い」で計算してください。
5. 月末残高が○○万円(最低ライン)を下回る月があれば、その月と金額を書き出してください。

AIは、渡していない予定を入れない

編集部がAIに作らせた見通しの一つは、前年の実績だけをもとにしていました。できた表を見ると、資金は1年を通して最低ラインを下回りません。

ところが、その表には、今期の納税や賞与などの予定が入っていませんでした。前年の実績にない支払いは、AIには分かりません。そのため、金融機関に出す資料では「実際の見込みではなく、前年の実績を使った参考の数字」とはっきり書き添えました。

予定を入れるかどうかで、どれだけ違うのか。架空の会社で比べてみます。3月決算で、月商が約800万円のサービス業です。期首の現預金は2,000万円、最低ラインは月商の2か月分の1,600万円としました。

架空の会社の資金繰り表(月末の現預金、万円)

月前年にない予定予定なし予定あり
4月—2,0202,020
5月法人税などの納付 1802,0501,870
6月—2,0901,910
7月夏の賞与 3002,0801,600
8月—2,0701,590
9月—2,1301,650
10月—2,1801,700
11月消費税の中間納付 602,2101,670
12月冬の賞与 3002,2901,450
1月—2,2601,420
2月—2,2601,420
3月—2,3501,510

赤茶色の数字は、最低ラインの1,600万円を下回る月です。

月末の現預金の動き(架空の会社、万円)

予定を入れない場合は4月の2,020万円から3月の2,350万円までゆっくり増える。予定を入れると8月に最低ライン1,600万円を下回り、1月と2月に1,420万円まで下がる。

予定を入れない表では、残高は1年でゆっくり増えていきます。一番少ないのは4月の2,020万円で、最低ラインには一度も近づきません。

予定を入れると、8月に最低ラインを割り込みます。12月の賞与の後は、3月まで一度も戻りません。残高が一番少ないのは、1月と2月の1,420万円です。

600万円

予定を入れる前と後で、一番少ない月の残高がこれだけ変わる 予定なし2,020万円(4月)→予定あり1,420万円(1月・2月)

予定なしの表だけを見ていたら、この会社は「資金は足りている」と考えて、秋に設備を買っていたかもしれません。AIに渡す予定の一覧は、社長が自分で書くしかありません。

できた表を確かめる

AIの表は、見た目が整っていても計算が合っているとは限りません。次の2つは必ず確かめます。

  • 残高のつながり:「前の月の残高+調整後の入金−調整後の支払い」が、その月の残高になっているか。1か月でもずれていれば、それ以降の月はすべて違います。
  • 予定の入れ忘れ:予定の一覧の行が、すべて表に入っているか。月がずれていないか。前年実績と予定を二重に数えていないか。

1つ目は、エクセルに表を貼り付けて計算式を1行入れれば確かめられます。上の架空の会社の表も、別のプログラムで計算し直して一致を確かめました。

残高が最低ラインを下回りそうなら

最低ラインを下回る月が分かったら、その月が来る前に手を打ちます。

  1. 支払いの時期を見直す

    急がない設備や仕入れの支払いを、その月の後に回せないかを見ます。

  2. 入金を早められないか見る

    請求の締め日や、回収に時間がかかっている取引先を見直します。

  3. 借入の相談は、その数か月前に始める

    資金が足りなくなってからの相談より、資金繰り表を持って早めに相談する方が話を進めやすくなります。

どれも、お金が足りなくなる月が先に分かっていて初めて打てる手です。

よくある質問

エクセルのテンプレートと、AIで作るのとでは、どちらがよいですか?

毎月続けるなら、AIで作る方が手間は少なくなります。ただ、残高のつながりを確かめるときは、エクセルに貼り付けて計算式で見るのが確実です。作るのはAI、確かめるのはエクセル、と分けると続けやすくなります。

会計データをAIに渡しても大丈夫ですか?

社名や取引先名は消してから渡します。会社で使うなら、入力した内容をAIの学習に使わない法人向けのプランを選んでください。

予定の一覧には、何を書けばよいですか?

前年と金額や時期が違う支払いと入金です。納税、賞与、借入の返済、大きな仕入れや設備、保険の更新、決まっている大口の入金などです。法人税は、原則として決算日の翌日から2か月以内に納めます。3月決算なら5月です。

参考資料

  1. 日本政策金融公庫「月次資金繰り計画」(2026年9月29日確認)
  2. 国税庁「主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日」(2026年9月26日確認)

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節約社長編集部は、経営・起業に役立つ情報を届ける編集チームです。資金繰り、財務、採用、業務効率化など、経営者が日々の判断に使えるテーマを取り上げます。

AI活用の記事では、編集部で試したことと調査した情報を分け、使い方だけでなく費用や確認すべき点も紹介します。実際の経験と、説明のための架空例は区別して記載します。

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