
ファクタリングを調べると、「やばい」「違法」「詐欺」という言葉が一緒に出てきます。売掛金を売って先に現金を受け取る取引自体が違法というわけではありません。ただし、売買を装って、貸金業の登録を受けずにお金を貸す業者には注意が必要です。
この記事では、違法なファクタリングの見分け方を、見積もりと契約書で確認できる形にまとめました。もう契約してしまった場合の相談先も紹介します。
ファクタリングは違法なのか
ファクタリングは、取引先から後で受け取る代金(売掛金)を売って、入金日より前に現金を受け取る取引です。売掛金の売買なので、取引そのものは違法ではありません。仕組みはファクタリングとはで説明しています。
問題になるのは、ファクタリングと名乗りながら、実態は貸付けになっている取引です。こうした売買を装った貸付けは「偽装ファクタリング」と呼ばれます。貸金業を営むには登録が必要で、貸付けの金利には法律上の上限があります。実態が貸金業に当たる場合、無登録営業や出資法の上限金利を超える利息の契約・受領などは違法です。
偽装ファクタリングとは
確認したい点の一つは、取引先が代金を払えなかったときに、誰が損を負うかです。スマートフォンでは、下の図を横にスクロールできます。
売掛金の売買で、取引先の不払いのリスクがファクタリング会社へ移っている場合、その損は買い取った会社が負います。
一方、取引先から代金を回収できなかったときに、自社が売掛金を買い戻すか、自社のお金で払う取り決めは、貸金業に当たるおそれがあります。
金融庁は、契約書に「償還請求権なし」と書かれているかなどの形式だけでなく、経済的な仕組みや取引の実態に照らして判断すると説明しています。買戻し条項の有無だけで違法かどうかが決まるわけでもありません。裁判でも、貸金業に当たるとされた取引と、当たらないとされた取引の両方があります。
給与ファクタリングは使わない
給料の買取りをうたい、本人を通じて資金を回収する「給与ファクタリング」は、事業者が売掛金を売るファクタリングとは別物です。
最高裁は2023年2月の決定で、給与ファクタリングは貸金業法と出資法でいう「貸付け」に当たると判断しました。金融庁も、給与ファクタリングは利用しないよう呼びかけています。
契約前に確認する5つのこと
見積もりと契約書を手元に置いて、次の5つを確認してください。1〜3は金融庁が注意を呼びかけている点、4と5は契約書で確認しておきたい点です。
取引先が払えなかったとき、自社が買い戻すことになっていないか
「償還請求権あり」「買戻し」という言葉があるときは、どの場合に自社の負担が生じるかを確認します。金融庁は、代金を回収できなかった売主が債権を買い戻す取り決めについて、貸金業に当たるおそれがあると説明しています。
回収できなかったとき、自社のお金で払うことになっていないか
取引先から集めた代金を渡すのではなく、回収できなかった分を自社のお金で払う取り決めも、貸金業に当たるおそれがあります。
売掛金の額に比べて、買い取る額が低すぎないか
金融庁は、高い手数料を払うと資金繰りがかえって苦しくなり、借金を重ねる危険があると注意しています。手数料と手数料以外の費用を合わせて、受け取る額を確認します。計算の仕方はファクタリングの手数料で説明しています。
契約書が、売掛金の売買の契約になっているか
売る債権、買取代金、回収できなかったときの負担がどう定められているかを見ます。「債権譲渡契約」という題名だけでは判断できません。説明と契約の内容が違ったり、契約書を確認できなかったりするときは、契約前に説明を求め、不明な点は相談窓口や弁護士に確認してください。
担保や保証人、分割での支払いを求められていないか
何の債務を担保・保証するのか、何を分割で支払うのかを確認します。取引先の不払いにかかわらず、自社が元金と費用を返す仕組みになっているなら、貸付けに当たる可能性について相談窓口や弁護士に確認してください。
会社の所在地や電話番号、代表者の名前が公式サイトに書かれているかも確認します。オンラインで完結するサービスもあるため、連絡手段だけで安全性を判断せず、運営会社、契約の内容、費用を確かめてください。
契約後に不安があるときの相談先
契約してから「おかしい」と気づいたときは、まず手元の記録を残してください。
- 契約書・見積書・請求書
- 振り込んだ記録と、振り込まれた記録(通帳やネットバンキングの画面)
- 担当者とのメールやメッセージ、電話の日時と内容のメモ
そのうえで、次の窓口に相談します。金融庁の注意喚起のページに、それぞれの連絡先が載っています。
- 金融庁 金融サービス利用者相談室:ファクタリングや貸金業についての相談
- 日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター:お金を借りることや返すことについての相談
- 消費生活相談窓口(消費者ホットライン):給与ファクタリングなど、個人の消費生活上のトラブル。事業のための契約は相談の対象外となるため、事業者の売掛金の契約は金融庁や弁護士などへ相談してください
- 警察:脅すような取り立てを受けているとき
支払いが苦しい、契約をどうするかを決めたいというときは、弁護士に相談してください。個別の契約がどう判断されるかは、契約の中身によって違います。
安全に使うために見ておきたいこと
ファクタリングを使うなら、次の点がそろっている会社を選びます。
- 運営会社の名前・所在地・代表者が公開されている
- 手数料と、手数料以外の費用を、契約の前に書面で示してくれる
- 契約書に、償還請求権がないこと(取引先が払えなくても自社が払わないこと)が書かれている。ただし、書いてあるだけで安全とは言えないので、買戻しや自社のお金での支払いを求める取り決めが別にないかも確認する
- 契約書の控えを渡してくれる
そもそもファクタリングが合っているかは、入金までの日数、費用、返済義務の違いで考えます。支払期日まで余裕があるなら、日本政策金融公庫や取引のある銀行にも相談し、費用を比べてから選んでください。仕組みと使わない方がよい場面はファクタリングとはで説明しています。
よくある質問
ファクタリングを使うこと自体が違法になりますか?
売掛金を売る取引自体が違法というわけではありません。ただし、売買を装い、貸金業の登録を受けずに貸付けを営む取引などは違法です。契約書の題名や一つの条項だけではなく、取引の実態で判断されます。
2社間ファクタリングは違法ですか?
原則として取引先に知らせない2社間ファクタリングも、それだけで違法にはなりません。ただし、契約で定める場合には取引先へ連絡することもあります。取引先が払えなかったときに自社が払うことになっていないかなど、契約の中身を確認してください。
手数料が高いと違法ですか?
手数料の高さだけで違法かどうかは決まりません。ただ、金融庁は高い手数料を払うと資金繰りがかえって苦しくなると注意しています。複数の会社の見積もりで、受け取る額を比べてください。
個人事業主も、確認することは同じですか?
同じです。売掛金を売る取引かどうか、取引先が払えなかったときに自分が払うことになっていないかを確認してください。
参考資料
- 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」(2026年10月6日確認)
- 厚生労働省「自営型テレワーカーのためのハンドブック」その他・相談窓口・関連サイト(消費生活センターの相談対象、2026年10月6日確認)
- OLTA「資金調達の新しい選択肢、OLTAクラウドファクタリング」よくあるご質問(オンラインでの契約と取引先への連絡の例外、2026年10月6日確認。特定のサービスを推奨するものではありません)
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