
ファクタリングの審査は、融資の審査とは見られるところが違います。融資では自社の決算や返済能力が中心ですが、ファクタリングでは、売る売掛金が期日にきちんと支払われるかが中心になります。
この記事では、ファクタリング会社が審査で見ること、会社ごとの必要書類、赤字や税金の滞納があるときの扱いを、各社の公式サイトの記載をもとに説明します。
ファクタリングの審査で見られること
ファクタリングは、取引先から後で受け取る代金(売掛金)を売る取引です。ファクタリング会社が代金を回収できるかどうかは、売掛先がきちんと払うかで決まるので、審査の中心も売掛先と売掛金になります。仕組みはファクタリングとはで説明しています。
売掛先の支払い能力
代金を払うのは売掛先なので、売掛先の信用が重視されます。PayTodayは、売掛先の信用に加えて、利用状況と財務状況から手数料を決めるとしています。売掛先が法人の請求書に限る会社も多くあります。
売掛金が確かなものか
請求金額と入金日が確定しているか、すでに入金日を過ぎていたり支払いが遅れていたりしないかが見られます。マネーフォワード 早期入金は、役務の提供が終わった債権が対象で、発注書や契約書だけでは買い取れないとしています。入金日までの期間にも条件があり、たとえば支払期日まで70日以内(ペイトナー)、最大90日後まで(PayToday)といった決まりがあります。
取引の実績と、利用する会社のこと
日本中小企業金融サポート機構は、売掛金の内容、売掛先の信用力、入金予定日に加えて、売掛先との取引実績を確認するとしています。ビートレーディングは、受注の状況や今後の事業性も踏まえて判断するとしています。同じ売掛金をほかの会社にすでに売っていないかも確認されます。
信用情報の扱い
マネーフォワード 早期入金はAI仮審査で、ラボルは審査で、信用情報を参照しないとしています。QuQuMoや日本中小企業金融サポート機構、ペイトナーは、信用情報に影響しないとしています。扱いは会社ごとに公式サイトで確認してください。
ファクタリングの必要書類
必要書類は会社によって大きく違います。主な会社の公式サイトの記載をまとめました(2026年10月28日確認)。「記載なし」は公式サイトで確認できなかった項目です。
主なファクタリング会社の必要書類
| 会社・サービス | 請求書など | 入出金明細 | 決算書など |
|---|---|---|---|
| OLTA | 請求金額・入金日が確定した請求書 | 全口座の直近4か月分 | 昨年度の決算書一式(個人事業主は確定申告書の第一表) |
| QuQuMo | 請求金額・入金日が確定した請求書 | 全口座の直近3か月分 | 記載なし |
| PayToday | 売る請求書 | 全口座の直近6か月分以上(FAQでは必須ではないと記載) | 直近の決算書一式(FAQでは必須ではないと記載) |
| ビートレーディング | 請求書など | 入金口座の直近2か月分 | 記載なし |
| 日本中小企業 金融サポート機構 | 請求書・契約書など | 直近3か月分 | 記載なし |
| GMO BtoB早払い | 見積書・発注書・請求書・検収書など | 記載なし | 決算書2期分と試算表 |
| マネーフォワード 早期入金 | 契約書・請求書・発注書など | インターネットバンキングの連携 | 直近2期分の決算書と試算表 |
| ペイトナー | 支払期日が確定した請求書 | 直近3か月分 | 記載なし |
代表者の本人確認書類を求める会社もあります。QuQuMoは個人事業主に開業届または確定申告書一式も求めています。表は主な書類の比較なので、追加書類や創業直後の扱いも申込先の案内で確認してください。入出金明細は、売掛先からの入金の実績を確認するために使われます。
PayTodayの入出金明細と決算書は、トップページでは提出書類として案内され、FAQでは必須ではないと記載されています。提出の要否は申込時に確認してください。マネーフォワード 早期入金は、マネーフォワード クラウド会計を利用している場合、口座連携と決算書の提出を省略できるとしていますが、登録情報が足りなければ追加提出を求められます。
法人向けの会社の比較は法人向けファクタリング会社の比較で、個人事業主向けは個人事業主・フリーランスのファクタリングで説明しています。
赤字や税金の滞納があるときのファクタリングの審査
赤字・債務超過
審査の中心が売掛先なので、自社が赤字でも使える場合があります。GMO BtoB早払いは、赤字や債務超過だけで買取りを断ることはないとしています。ただし、赤字の穴埋めに毎月ファクタリングを使うと、手数料の分だけ資金繰りがさらに苦しくなります。
税金・社会保険料の滞納
扱いは会社によって違います。日本中小企業金融サポート機構とマイナビブリッジは、税金の滞納があっても利用できるとしています(マイナビブリッジは審査の結果によるとしています)。一方、GMO BtoB早払いは、税金や社会保険料の未納があると原則として買い取らず、分納している場合は買い取れることがあるとしています。
税金を滞納し、督促を受けてもなお納めないでいると、税務署は財産を差し押さえることになり、売掛金も差し押さえの対象になります。売掛金が差し押さえられると、その売掛金を自分で取り立てたり、売ったりできなくなります。ファクタリングで急場をしのぐ前に、税務署や年金事務所に納付の相談をしてください。条件を満たせば、分割で納める猶予を受けられることがあります。詳しくは資金ショートの記事で説明しています。
ファクタリングの審査で断られやすい売掛金
各社の公式サイトで、対象外としているものの例です。
- すでに入金日を過ぎているもの、支払いが遅れているもの
- 入金日までの期間が長すぎるもの、または短すぎるもの(たとえばOLTAは、入金日まで6営業日以上あることを条件にしています)
- 売掛先が個人や個人事業主のもの(扱う会社もあります)
- 給料を受け取る権利(給与債権)
- まだ仕事が終わっておらず、請求金額が確定していないもの
架空や二重の請求書は詐欺に当たるおそれがある
実際にはない取引の請求書を使ったり、譲渡済みであることを隠して同じ売掛金を複数の会社に売ったりして、相手をだましお金を受け取る行為は、詐欺に当たるおそれがあります。見積もりを比べるために複数の会社に相談することとは別です。同じ売掛金を重ねて売る契約はしないでください。
取引先との契約で、売掛金の譲渡が禁止されている場合
取引先との契約に、売掛金を他人に譲ることを禁じる取り決め(譲渡制限特約)がある場合でも、2020年4月に施行された改正民法では、譲渡そのものは有効とされています。ただし、取引先がその取り決めを知っていた相手などへの支払いを拒める場合があり、扱いは会社によって違います。契約書を用意して、申込みの前に相談してください。
審査の甘さでファクタリング会社を選ばない
ファクタリングの審査が通りやすいかどうかより、契約の中身を見て会社を選んでください。金融庁は、ファクタリングを装ったヤミ金融に注意を呼びかけ、次のような取引は貸金業に当たるおそれがあるとしています。
- 受け取る額が、売掛金の額に比べて著しく低い
- 取引先が払えなかったときに、自社が売掛金を買い戻すか、自社のお金で払うことになっている
見分け方と相談先は違法なファクタリングの見分け方で、手数料と受取額はファクタリングの手数料で説明しています。
よくある質問
審査にはどのくらい時間がかかりますか?
会社によって違います。公式サイトでは、書類がそろってから最短30分で審査結果を出すとする会社もあれば、24時間以内や最短2営業日とする会社もあります。初めて使うときは、書類の準備も含めて余裕をもって申し込んでください。
ファクタリングの審査に落ちたら、どうすればよいですか?
会社によって審査の基準が違うので、ほかの会社で通ることもあります。ただ、何社にも断られる場合は、売掛金の状態や資金繰りそのものを見直す時期です。支払いまで時間があるなら、日本政策金融公庫や取引のある銀行にも相談してください。どちらを使うかはファクタリングと融資の違いで説明しています。
取引先に知られずに審査を受けられますか?
2社間ファクタリングは、原則として取引先に知らせずに進めます。ただし、契約によっては取引先への通知や登記を求められることがあるので、申込みの前に確認してください。3社間ファクタリングは、取引先の承諾が必要です。
個人事業主でも審査を受けられますか?
受けられる会社が多くあります。ただし、法人だけを対象にしている会社もあり、個人事業主は確定申告書や開業届を求められることがあります。
参考資料
- 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」(2026年10月28日確認)
- e-Gov法令検索「国税徴収法」(第47条・第62条、2026年10月28日確認)
- e-Gov法令検索「民法」(第466条、2026年10月28日確認)
- 必要書類等の詳細: ペイトナーの必要書類、PayTodayのFAQ、マネーフォワード 早期入金のFAQ(2026年10月28日確認)
- 各社の公式サイト(いずれも2026年10月28日確認。特定のサービスを推奨するものではありません): OLTA、QuQuMo、PayToday、ビートレーディング、日本中小企業金融サポート機構、GMO BtoB早払い、マネーフォワード 早期入金、マイナビブリッジ、ペイトナー、ラボル
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