
個人事業主やフリーランスでも、ファクタリングは使えます。少額の請求書を買い取るサービスもあり、オンラインで完結するものが増えました。
ただし、個人事業主向けのサービスは手数料が一律10%のものも多く、毎月使うと負担が大きくなります。この記事では、個人事業主が使える主なファクタリングの手数料と条件を、節約社長編集部が公式サイトで調べて並べ、使う前に確認することを説明します。
個人事業主でもファクタリングは使える
ファクタリングは、取引先に出した請求書の代金(売掛金)をファクタリング会社に売って、入金日より前に現金を受け取る取引です。法人だけでなく、個人事業主やフリーランスも、事業の売掛金なら売ることができます。仕組みはファクタリングとはで説明しています。
この記事で紹介するオンラインサービスには、2社間ファクタリングが多くあります。原則として取引先に通知せずに売掛金を売りますが、契約によって通知や登記が必要になる場合もあります。取引先から入金されたら、そのお金をファクタリング会社に送ります。
給与ファクタリングとは違う
給料を受け取る権利を売る「給与ファクタリング」は、事業の売掛金を売るファクタリングとは別物です。金融庁は、給与ファクタリングは貸金業に当たるとして、利用しないよう呼びかけています。会社員として受け取る給料を売るサービスは使わないでください。
個人事業主が使えるファクタリングの手数料と条件
個人事業主が使える主なサービスです。順番に優劣はありません。「記載なし」は、公式サイトで確認できなかった項目です。
個人事業主が使える主なファクタリング
| サービス | 手数料 | 入金(最短) | 買取額の下限 | 取引先の条件 |
|---|---|---|---|---|
| FREENANCE 即日払い | 3〜10% | 5分 | 記載なし | 法人の取引先のみ |
| ペイトナー ファクタリング | 一律10%(振込手数料330円が別) | 即日 | 1万円 | 個人の取引先も可 |
| ラボル | 一律10% | 30分 | 1万円 | 法人の取引先のみ |
| PayToday | 1〜9.5% | 30分(よくある質問では1営業日以内) | 10万円(よくある質問では下限なし) | 記載なし |
| QuQuMo | 1%〜(上限の記載なし) | 申込みから2時間 | 記載なし | 記載なし |
| OLTA | 2〜9% | 即日 | 下限なし | 個人宛の請求書は対象外 |
| 日本中小企業 金融サポート機構 | 1.5%〜(上限の記載なし) | 3時間 | 下限なし | 法人の取引先のみ |
| ビートレーディング | 手数料率の範囲は記載なし。平均は2者間10.3%、3者間6.8%(2024年度) | 1時間(1万〜300万円のオンライン申込み) | 1万円 | 取引先が個人事業主の売掛金は対象外 |
手数料が一律10%のサービスは、手数料の計算が分かりやすい一方で、手数料に幅のあるサービスの方が安くなる場合もあります。幅のあるサービスは審査で手数料が決まるので、見積もりを取って比べてください。
サービスごとの主な条件
- FREENANCE 即日払い:請求書の振込先を、FREENANCEの口座にしておく必要があります。法人口座からの振込だけを受け付けています
- ペイトナー ファクタリング:支払期日まで70日以内の請求書が対象です。必要書類は請求書と口座の入出金明細、初回のみ顔写真付きの身分証です
- ラボル:振込手数料などの費用もかからないとしています。必要書類は本人確認書類、請求書、取引が分かる資料です
- PayToday:個人事業主は、事業用口座の6か月分以上の入出金明細などが必要です
- QuQuMo:公式ページでは、個人事業主に開業届か確定申告書一式などを求めています。本人確認書類は、申込み時の最新の案内を確認してください
- OLTA:開業届を出してから、入出金の実績が4か月以上あることが条件です。確定申告書の第一表も必要です
- 日本中小企業金融サポート機構:2社間と3社間を選べます。必要書類は入出金の履歴3か月分と、請求書・契約書などです
- ビートレーディング:300万円以上を希望する個人事業主の相談窓口もあります
法人向けのサービスも含めた比較は法人向けファクタリング会社の比較で、手数料の相場と受取額の計算はファクタリングの手数料で説明しています。
個人事業主がファクタリングを使う前に確認すること
手数料と受取額を計算する
手数料10%なら、30万円の請求書を売ると手数料は3万円で、受け取るのは27万円です。1回なら払える額でも、毎月使い続けると手数料の合計が大きくなります。
27万円の不足が12か月続く場合の1年間の費用(架空の例)
毎月の入金が支払いに間に合わず、30万円の請求書を12か月売り続けると、手数料は1年で36万円になります。同じ27万円を年利4%で1年借りた場合の利息は1万800円です。融資は借入元金を1年間減らさず、年末に一括返済する仮定です。公庫の通常の月賦返済とは異なります。どちらも架空の例で、実際の融資には保証料などがかかる場合があります。見積もりに基づく受取額はファクタリング受取額計算ツールで計算できます。
取引先が法人かを確認する
取引先が法人の請求書に限るサービスが多く、取引先が個人や個人事業主だと使えないことがあります。申し込む前に、売りたい請求書の取引先が対象になるかを確認してください。
必要書類をそろえる
請求書のほかに、口座の入出金明細(数か月分)や確定申告書、本人確認書類を求めるサービスが多くあります。事業用の口座で取引先からの入金を受けていると、審査で取引の実績を示しやすくなります。
契約の中身を確認する
取引先の倒産などで回収できなかったときに、自分がその損失を負う契約になっていないか、手数料のほかに費用がかからないかを、契約の前に確認します。売買を装った違法な業者もいるので、違法なファクタリングの見分け方も読んでおいてください。
ファクタリング以外に検討する方法
入金と支払いのずれが毎月続くなら、ファクタリングより費用の安い方法を先に考えます。
日本政策金融公庫の融資
日本政策金融公庫の国民生活事業は、個人事業主も利用でき、原則として保証人なしで借りられます。ほとんどの業種が使える一般貸付の運転資金は、限度額4,800万円です。開業後おおむね7年以内なら、創業向けの融資の対象にもなります。条件は日本政策金融公庫の創業融資で説明しています。申込みから送金まで1か月程度かかるので、早めに相談してください。
マル経融資
商工会・商工会議所などの経営指導を受けている小規模事業者が、その推薦を受けて日本公庫から無担保・無保証人で借りられる制度です。限度額は2,000万円です。地域の商工会・商工会議所に相談してください。
取引先と支払条件を相談する
取引先の支払いまでの期間が長いなら、短くできないかを相談します。2026年1月に施行された取適法の対象になる取引では、個人事業主への支払いも、受領から60日以内と決まっています。詳しくは取適法の記事で説明しています。
ファクタリングと融資のどちらを使うかはファクタリングと融資の違いで、資金調達の方法全体は資金調達の方法と選び方で説明しています。
よくある質問
開業したばかりでも使えますか?
サービスによります。入出金の実績が数か月分必要なサービスや、確定申告書を求めるサービスがあります。開業届や請求書、入出金明細で申し込めるサービスもあるので、各社の条件を確認してください。
取引先が個人のお客さんでも使えますか?
多くのサービスは、取引先が法人の請求書に限っています。取引先が個人でも使えると公式サイトに書いているのは、この記事のサービスではペイトナー ファクタリングでした。
取引先に知られずに使えますか?
2社間ファクタリングは、原則として取引先に知らせません。ただし、FREENANCEのように請求書の振込先をサービスの口座にするものや、契約によっては取引先への通知や登記を行うものもあります。
確定申告では、手数料をどう処理しますか?
処理の仕方は、顧問の税理士や会計ソフトの案内に従ってください。
参考資料
- 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」
- 日本政策金融公庫「一般貸付」
- 日本政策金融公庫「融資制度一覧」(マル経融資、2026年10月19日確認)
- 日本政策金融公庫「国民生活事業をはじめてご利用の方へ」
- 各サービスの公式サイト(いずれも2026年10月19日確認。特定のサービスを推奨するものではありません): FREENANCE 即日払い、ペイトナー「ご利用料金」、ラボル、PayToday、QuQuMo、OLTA、日本中小企業金融サポート機構、ビートレーディング
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