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銀行融資の審査で見られる決算書のポイントと、相談前の準備

編集部
銀行融資の審査で確認される決算書と相談前の準備

銀行に融資を相談すると、まず決算書を求められます。銀行は決算書から、この会社が借りたお金を返していけるかを読み取ろうとします。

この記事では、銀行や日本政策金融公庫が融資の審査で決算書のどこを見るのかを、金融庁・公庫・信用保証協会の公表資料をもとに説明します。相談の前に、自社の数字を確認しておく手順も紹介します。

銀行は融資の審査で何を見るか

信用保証協会の審査について、自治体の案内では、経営者の人柄などの人的な信用、資金の使いみち、返済能力を重視するとされています。日本政策金融公庫は、事業計画などを様々な角度から検討して融資を判断するとしています。

金融庁は金融機関に対し、決算書の数字だけでなく、事業の実態や将来性を見て融資を判断する「事業性融資」を求めています。金融庁がまとめた業種別の着眼点でも、決算書がある場合は数年分を並べて傾向をつかむこと、財務分析だけで先入観を持たないことが書かれています。

そのうえで、決算書は返済能力を見る出発点になります。相談の前に、次の数字を自社で確認しておきましょう。

銀行融資の審査で見られる決算書の数字

利益と減価償却費で、借入金を何年で返せるか

借入金は、事業で得た利益から返していきます。利益に減価償却費(お金が出ていかない費用)を足した額が、1年に返済に回せるお金の目安です。借入金をこの額で割ったものを「債務償還年数」といいます。

借入金3,000万円を、経常利益200万円と減価償却費100万円の合計300万円で割ると10年。利益と減価償却費で借入金を何年で返せるかを示す。

日本政策金融公庫の経営改善計画の手引きでは、債務償還年数を「要償還債務 ÷(経常利益+減価償却費)」で計算しています。要償還債務は借入金などで、社長など身内からの借入金で返済の必要がないものは含めません。厳密には税金の支払いも考えるとしています。

計算式や評価の仕方は金融機関によって違います。公庫の手引きは経営改善計画の目標の目安を「10〜15年程度」としています。事業再生のガイドラインも、有利子負債をキャッシュフローで割った比率を再生計画の基準の一つとしていますが、どちらも融資の審査に通る基準ではありません。自社の年数が長いなら、なぜ長いのか、どう短くするのかを説明できるようにしておきます。

債務超過になっていないか

債務超過は、負債が資産より多く、純資産がマイナスの状態です。信用保証協会の「事業者選択型経営者保証非提供制度」では、財務面の条件として「債務超過でない」または「直前2期の減価償却前経常利益が連続して赤字でない」のいずれかを満たす必要があります。債務超過だけで利用できないと決まるものではなく、ほかにも要件があります。

決算書の上では資産超過でも、回収できない売掛金や、決算書に載っていない借入れがあれば、実質的には債務超過と見られることがあります。公庫の手引きもこの点を挙げています。

債務超過でも、それだけで一律に融資が受けられないわけではありません。金融庁の資料も、債務超過が小さければ解消の見込みも低くないとしています。どのくらいの期間で、どうやって解消するのかを示します。

会社と社長のお金が分かれているか

決算書に、会社から社長への貸付金や、内容のはっきりしない仮払金が残っていると、会社と社長のお金が分かれていないと見られます。経営者保証に関するガイドラインは、法人と経営者の資産・経理を分けることを、経営者保証なしで借りるための要件の一つにしています。役員報酬が会社の規模から見て適切かどうかも見られます。

手元の資金が足りているか

流動資産(1年以内に現金になる資産)を流動負債(1年以内に払う負債)で割った「流動比率」が100%を下回ると、資金繰りが悪くなっている可能性があると、日本政策金融公庫は説明しています。手元の現預金と、近く払うものの額のバランスも見られます。

自己資本比率など、ほかの指標も見られます。指標の数値だけで融資の可否が決まるわけではなく、数期分の推移や事業の状況とあわせて見られます。

決算書以外に用意するもの

  • 確定申告書・決算書:日本政策金融公庫の法人向けの案内では、原則として直近2期分と勘定科目の内訳書が必要です。申告を終えた期数や融資制度によって必要書類は異なるので、相談先の案内を確認します
  • 試算表:決算から時間がたっている場合は、最近の業績が分かる試算表を出します
  • 資金繰り表:いつ、いくら足りなくなるのか、借りたお金をどう返していくのかを示します。作り方はAIを活用した資金繰り表の作り方で説明しています
  • 事業計画:資金の使いみちと、売上・利益の見通しを示します。計画の立て方は事業計画と返済の見込みの記事で説明しています
  • 納税の状況:制度融資などでは、税金を滞納していないことの証明を求められることがあります

融資の相談の前に自社の数字を確認する手順

  1. 決算書の数字を計算する

    直近の決算書から、債務償還年数、自己資本比率、流動比率を計算します。決算書チェックに決算書の数字を入れると、計算できます。

  2. 数期分を並べて、変化の理由を書き出す

    利益が減った、借入金が増えたなど、数字が大きく変わったところに理由を付けます。一時的な理由なのか、続くものなのかを分けて説明できるようにします。

  3. 社長への貸付金や仮払金の内容を確認する

    発生した理由と現在の残高を確認し、説明できるようにしておきます。内容が不明なものは、顧問の税理士に確認してください。

  4. 資金の使いみちと返済の見通しを準備する

    何にいくら使い、毎月の入金と支払いを踏まえていくら返せるのかを、資金繰り表と事業計画で示します。返済額は金利・返済シミュレーターで試算できます。

融資は、お金が足りなくなってから申し込むと間に合わないことがあります。日本政策金融公庫は、申込みから送金まで1か月程度かかるとしています。数字を整えたうえで、足りなくなる前に相談してください。資金調達の方法全体は資金調達の方法と選び方で説明しています。

よくある質問

赤字の決算でも、融資を受けられますか?

赤字というだけで、一律に断られるわけではありません。赤字の理由が一時的なものか、改善の見通しがあるかが見られます。理由と改善の計画を、数字で説明できるようにしてください。

社長から会社への貸付金(役員借入金)はどう見られますか?

社長から会社への借入金で、返済の必要がないものは、日本政策金融公庫の手引きでは返す必要のある借入金に含めていません。返済の予定がないことを説明できるようにしておきます。逆に、会社から社長への貸付金は、会社と社長のお金が分かれていないと見られる原因になります。

決算書の数字が悪いと、経営者保証を求められますか?

金融機関が経営者保証を求めるときは、どの部分が十分でないために保証が必要なのか、どう改善すれば外せるのかを説明することが求められています。詳しくは経営者保証なしで融資を受ける方法で説明しています。

参考資料

  1. 金融庁「業種別支援の着眼点」(2026年3月)(2026年10月28日確認)
  2. 日本政策金融公庫「経営改善計画書策定の手引」(2026年10月28日確認)
  3. 日本政策金融公庫「主な財務指標項目の説明」(2026年10月28日確認)
  4. 日本政策金融公庫「お手続きの流れ(小規模事業者・個人事業主の方)」(2026年10月28日確認)
  5. 練馬区「信用保証制度」(2026年10月28日確認)
  6. 全国信用保証協会連合会「事業者選択型経営者保証非提供制度」(2026年10月28日確認)
  7. 経営者保証に関するガイドライン研究会「経営者保証に関するガイドライン」(2026年10月28日確認)
  8. 「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」(2026年3月改定)(2026年10月28日確認)

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