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経理と税金は誰に任せるか 会計ソフト・税理士の費用と、自分でやる範囲の決め方

編集部
経理と税金、会計ソフトと税理士に任せる範囲

経理と税金の仕事を、社長が自分でやるか、会計ソフトに任せるか、税理士に頼むか。税理士の費用も会計ソフトの料金も気になりますが、先に決めるのは「誰がどこまでやるか」です。そこが決まると、選ぶ会計ソフトも、税理士に払う費用の目安も決まってきます。

この記事では、中小企業や個人事業主が、経理と税金の仕事を「日々の記帳」「月次の確認」「決算と申告」の3つに分けて、誰がやるかを決める方法を説明します。会計ソフトの年額と税理士の顧問料・決算料の目安を並べ、それぞれを詳しく説明した記事と計算ツールへ案内します。

経理と税金の仕事は3つ 日々の記帳・月次の確認・決算と申告

経理と税金の仕事は、頻度と難しさの違う3つに分けられます。誰に任せるかを考える前に、自社でそれぞれを今どうしているかを書き出してみてください。

仕事やること間違えると困ること
日々の記帳売上・経費・入出金を会計ソフトに入れる。領収書や請求書を保存する勘定科目の誤りや記帳漏れが、そのまま決算の数字になる
月次の確認毎月の売上・利益・現預金を、試算表などで確認する記帳がたまっていると、数字が経営の判断に間に合わない
決算と申告決算書を作り、法人税・消費税などの申告書を出す。従業員がいれば年末調整もする税額の誤りにつながる。決算書は融資の審査で銀行も見る

法人は、帳簿と、取引先から受け取った領収書・請求書などを、原則として確定申告書の提出期限の翌日から7年保存します。青色申告で繰越欠損金が生じた事業年度などは10年です(2018年4月1日より前に始まった事業年度は9年)。日々の記帳で迷いやすいのは、交際費と会議費の区分や、領収書の宛名です。詳しくは5章で説明します。

自分でやるか税理士に頼むかの早見表

3つの仕事を誰がやるかで、分け方は大きく4つです。費用の目安は、3章・4章で紹介する会計ソフトの料金(税抜)と、税理士の費用の目安の値です。

経理と税金の4つの分け方。全部自分は、記帳・月次の確認・決算と申告のすべてを社長がやり、費用は会計ソフト。記帳は自分で決算・申告だけ税理士は、決算と申告を税理士がやり、費用は会計ソフトと決算料。記帳は自分で顧問契約は、月次の確認を社長と税理士が一緒にし、決算と申告を税理士がやり、費用は会計ソフトと顧問料と決算料。記帳から顧問契約は、記帳と決算と申告を税理士がやり、月次の確認は一緒にし、費用は顧問料と決算料。

経理と税金の分け方の早見表

分け方社長がやること費用の目安向く会社
全部自分
(会計ソフト)
記帳、月次の確認、決算と申告のすべて。申告が正しいかの責任も社長が負う会計ソフトの利用料(弥生・freee・マネーフォワードの最も安い法人向けプランで年29,760〜35,760円)。法人は申告書を作るソフトの費用も別にかかる取引が少なく、従業員がいない。社長に経理の知識と時間がある
記帳は自分
+決算・申告だけ税理士
記帳と月次の確認会計ソフトの利用料+決算・申告の料金(弥生の目安で15〜25万円程度)毎月の記帳は回せるが、決算と申告に自信がない
記帳は自分
+顧問契約
記帳。月次の確認は税理士と一緒にする会計ソフトの利用料+月額の顧問料(弥生の目安で法人月2万円〜)×12か月+決算料従業員がいる、取引が多いなど、毎月相談したいことがある
記帳から
顧問契約
領収書や通帳の資料を税理士に渡す。数字を受け取って確認する月額の顧問料(弥生の目安で記帳代行ありの法人月4万円〜)×12か月+決算料社長が経理に時間を使えない。取引が多い

税理士の費用の目安は、紹介事業をしている会社が示している値で、集計の方法は書かれていません。実際の料金は事務所ごとに違います。

分け方は売上の額だけで決めない

税理士に頼むかどうかを売上の額だけで決めると、自社に合わない分け方になることがあります。次の3つも見て決めます。

  • 社長の時間:記帳や決算に使う時間を、営業や仕入れに使った方がよい会社もあります
  • 取引の数と複雑さ:従業員がいる(給与・年末調整)、消費税を納める、インボイスの扱いがある、外注先が多いと、自分でやる手間と間違いが増えます
  • 間違えたときの損失:申告の誤りは、後から追加の税金を払うことにつながります。融資を受ける予定があるなら、決算書の数字は銀行の審査に使われます

自分でやる範囲を広げると、外注する費用を抑えられます。ただ、会計ソフトは記帳と決算書の作成を助けるもので、ある支出が経費になるか、申告の内容が正しいかを判断してくれるわけではありません。他人の依頼を受け、業務として税務代理・申告書の作成・税務相談をすることは、原則として税理士(と国税局長に通知した弁護士)でなければ、有償でも無償でも行えないと税理士法で決まっています。自社の申告を社長が自分ですることはできますが、その判断の責任は社長が負います。

迷ったときに進める順番

  1. 日々の記帳を会計ソフトで自分でやる

    銀行口座やカードの明細を取り込める会計ソフトなら、入力の手間を減らせます。記帳を自分でやるかどうかは、税理士の費用にも大きく関わります。

  2. 決算と申告だけ税理士に頼む

    年に1回の決算と申告を、スポットで依頼します。会計ソフトのデータを共有できる税理士なら、やりとりの手間も減ります。

  3. 取引が増えたら顧問契約を考える

    従業員が増えた、消費税を納めるようになった、毎月の数字を相談したいと感じたら、顧問契約を検討します。

反対に、すでに記帳から税理士に任せている会社は、会計ソフトのデータを税理士と共有してもらい、月次の数字を社長が自分で見られるようにします。

税理士がいないと決算書を作れない状態で、融資を受ける予定がある会社は、少なくとも決算は税理士に頼んでください。銀行が決算書のどこを見るかは銀行融資の審査で見られる決算書で説明しています。

分け方の実例として、節約社長編集部では、会計にfreee会計を使い、決算と申告は顧問の税理士に頼んでいます。

法人向けの会計ソフトの選び方

会計ソフトは、法人向けと個人事業主向けで製品やプランが違います。ここでは法人向けを紹介します。

最初に、顧問の税理士が使っているソフトを確認する

税理士がいる、または頼む予定があるなら、まず税理士が使っている会計ソフトを確認します。税理士とデータを共有する方法と費用は、製品ごとに違うためです。たとえば弥生会計 Nextでデータを共有できるのは、弥生のパートナー契約(弥生PAP)を結んでいる会計事務所だけです。

法人向けの主な会計ソフト

製品主なプランの年額(年払い・税抜)税理士との共有法人税の申告書
弥生会計 Nextエントリー 34,800円、ベーシック 50,400円、ベーシックプラス 84,000円弥生PAPの会計事務所だけ共有できる「達人シリーズ」と連携して作る
freee会計ひとり法人 35,760円、スターター 65,760円+従量課金、スタンダード 107,760円+従量課金税理士などのアドバイザーの招待は無料・上限なし別製品の「freee申告」で作る
マネーフォワード クラウド会計ひとり法人 29,760円、スモールビジネス 53,760円、ビジネス 77,760円公認メンバーの税理士の士業アカウントは従量課金の対象外「達人シリーズ」と連携して作る
勘定奉行クラウド会社の規模に応じた複数のシステムがある税理士などが使う専門家ライセンス1つを無償で含む別製品の「申告奉行」で作る

順番に優劣はありません。料金は2026年10月31日時点の各社の公式ページの記載です。

料金は最も安いプランだけで比べないでください。会計ソフトを使う人数、経費精算を使う人数(従量課金)、電話サポートの有無で、実際の年額が変わります。また、どの製品も、決算書は会計ソフトで作れますが、法人税の申告書は別の製品か連携先のソフトで作ります。自分で申告まで考えるなら、申告ソフトの費用も足して比べます。

各製品の料金・無料体験・サポートの違いと、乗り換えの手順は法人向け会計ソフトの比較で説明しています。

税理士に頼むときの費用と探し方

税理士の費用に公的な相場はない

税理士の報酬は、2001年の税理士法の改正により2002年4月から自由化され、各事務所が自分で決めています。公的機関や業界団体が「顧問料の相場」を公表している資料は、編集部が調べた範囲では見つかりませんでした。

ネットで見る目安の多くは、税理士の紹介事業をしている会社が出しているものです。たとえば次のような値があります。

  • 弥生:月額の顧問料は、法人で月2万円〜(記帳代行なし)・月4万円〜(記帳代行あり)、個人で月1万円〜・月3万円〜。決算申告だけなら15〜25万円程度
  • 税理士ドットコム:年間売上1,000万円未満・毎月訪問で、顧問料が月25,000円〜、決算料が100,000円〜

どちらも集計の方法や時期は書かれていません。費用は「月額の顧問料×12か月+決算料+別料金の業務」の年額で比べます。年末調整や償却資産の申告などが顧問料に含まれるか、別料金かは、事務所との契約で違います。

税理士に頼める仕事

税理士の本来の仕事は、税務代理(申告や税務調査の立会いなど)、税務書類の作成、税務相談です。あわせて、決算書などの作成や記帳の代行も頼めます。費用は、売上や取引量に加え、このうちどこまで頼むかで変わります。記帳を自分でやるかどうかも、見積もりを左右します。

費用の内訳と安くする方法は税理士の顧問料の相場で説明しています。

税理士の探し方

探し方は、知人や取引先からの紹介、日本税理士会連合会の「税理士情報検索サイト」、税理士の紹介サービス、商工会・商工会議所や青色申告会など地域の窓口の4つです。紹介サービスは無料で複数の事務所に会えますが、紹介した税理士の質を紹介会社が保証するものではありません。

どの方法で探しても、相手が税理士として登録されているかを、税理士証票か税理士情報検索サイトで確認してください。選び方、面談で聞くこと、税理士を変えるときの手順は税理士の探し方・選び方・変え方で説明しています。

顧問契約の前に使える相談窓口

  • 税理士会の無料税務相談:各地の税理士会が、2月23日の税理士記念日を中心に無料相談会を開いています。常設の窓口もあり、たとえば東京税理士会の納税者支援センターは、一般的な範囲の回答だけで、申告書の作成やチェックはしません。すでに税理士や公認会計士に頼んでいる人は使えません
  • 商工会・商工会議所:経営指導員が、税務や経理の相談に応じています。相談は原則無料で、商工会は記帳の支援もしています。内容は地域で異なります
  • 青色申告会:個人事業主向けに、記帳や決算・申告の相談をしています

自分で記帳するときに迷いやすい取引

記帳を自分でやるなら、次の取引は扱いを確認してから入力してください。判断に迷うものは、税理士に聞くか、税理士会の無料相談を使います。

交際費と会議費

取引先との飲食は、1人あたり10,000円以下(2024年4月1日以後の支出)なら交際費から外れます。ただし、社内の人だけの飲食はこの基準の対象外です。中小法人には、年800万円まで、または接待飲食費の50%までを損金にできる特例があります。1人10,000円以下の基準や接待飲食費の50%の特例を使うには、日付・相手・人数・金額・店の名前と所在地などの記録が要ります。詳しくは交際費と会議費の違いで説明しています。

領収書の宛名

法人税・所得税の法令は領収書の保存を求めていますが、宛名などの記載事項は定めていません。宛名が問題になるのは、主に消費税の仕入税額控除(インボイス)です。宛名が要る場面、「上様」や宛名なしで足りる場面は領収書の宛名で説明しています。

ファクタリング・売掛金の売却

資金繰りのために売掛金を売った場合、手数料や、売掛金を売った後に取引先から入金があったときの記帳で迷いやすくなります。仕訳の例はファクタリングの仕訳と勘定科目で説明しています。

減価償却

長く使う設備や備品を買ったときは、原則として、その年に全額を経費にするのではなく、使える期間に分けて経費にしていきます(減価償却)。少額の資産などには例外があり、金額や資産の種類で扱いが変わります。迷ったら税理士に確認してください。

月次の数字を経営に使う

記帳を毎月終わらせておくと、その月までの売上・利益・現預金を、会計ソフトの試算表などで確認できます。決算まで待たずに数字を見ることで、利益が足りない月や、お金が足りなくなる月に早く気づけます。

記帳から税理士に任せている場合も、月次の数字を受け取る方法とタイミングを税理士と決めておきます。月次の数字は、次のツールや記事で使えます。

インボイス制度と電子帳簿保存法で変わったこと

記帳と書類の保存のルールは、ここ数年で変わっています。会計ソフトを選ぶときや、税理士と分担を決めるときに、次の点を確認してください(2026年10月31日時点の国税庁の資料による)。

  • インボイス制度:2023年10月から、消費税の仕入税額控除には、原則として、登録番号などが書かれた適格請求書(インボイス)の保存が必要です。小売・飲食・タクシーなどのレシート型の適格簡易請求書は、宛名がなくてもかまいません
  • 少額特例:基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者は、1回の取引が税込1万円未満の課税仕入れについて、一定の事項を記載した帳簿を保存すれば、インボイスがなくても仕入税額控除ができます。対象は2023年10月1日から2029年9月30日までの仕入れです
  • 電子取引データの保存:2024年1月から、メールやWebで受け取った請求書・領収書などの電子データは、そのデータを保存する必要があります
  • 交際費の特例の期限:中小法人の交際費の特例は、2027年3月31日までに開始する事業年度が対象です。延長されるかは、2026年10月31日時点で決まっていません

制度は税制改正で変わります。最新の内容は国税庁のページで確認してください。

よくある質問

税理士に頼まなくても大丈夫ですか?

税理士に頼まずに申告することはできます。個人事業主は国税庁の確定申告書等作成コーナーで申告書を作れますし、法人税の申告書を作るソフトも販売されています。ただ、経費になるかどうかや申告の内容が正しいかの判断は、社長自身が負います。従業員がいる、取引が多い、融資を受ける予定があるといった会社は、少なくとも決算と申告は税理士に頼むことを考えてください。

税理士の顧問料を下げる方法はありますか?

頼む範囲を減らします。まず記帳を会計ソフトで自分でやり、次に面談の回数を減らし、それでも高ければ決算と申告だけのスポット契約にします。ただし、決算書を銀行に出す会社は、決算まで任せる価値があります。詳しくは税理士の顧問料の相場で説明しています。

途中で税理士を変えられますか?

変えられます。契約書の解約の条項(予告期間や自動更新)を確認し、新しい税理士を決めてから今の税理士に伝えます。帳簿や申告書の控え、会計データを受け取り、e-Taxは新しい税理士に手続きを頼みます。e-Taxの利用者識別番号は作り直さないでください。作り直すと、前の番号とメッセージボックスが使えなくなります。手順は税理士の探し方・選び方・変え方で説明しています。

会計ソフトだけで法人の決算はできますか?

決算書は会計ソフトで作れます。ただし、法人税の申告書は、この記事で取り上げた主な製品ではどれも、別の製品か連携先のソフトで作ります。申告まで自分でやるなら、申告ソフトの費用と、申告の内容を自分で判断する手間を考えて決めてください。

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節約社長編集部は、経営・起業に役立つ情報を届ける編集チームです。資金繰り、財務、採用、業務効率化など、経営者が日々の判断に使えるテーマを取り上げます。

AI活用の記事では、編集部で試したことと調査した情報を分け、使い方だけでなく費用や確認すべき点も紹介します。実際の経験と、説明のための架空例は区別して記載します。

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