ご存知ですか?お国が定めたフリーターの定義「年齢は◯◯歳まで」

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 普段何気なく使っているフリーターという身分を指す言葉。殆どの人は無職と同じ意味合いで、この言葉を使っているかもしれません。しかし、政府(厚生労働省)が25年前に、フリーターという言葉に定義を設けていたことはあまり知られていません。しかも定義には年齢制限まで付いていたのです。フリーターという言葉にまつわるトリビアをご紹介します。

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政府に言わせると「フリーター≠無職」らしい

 私達が普段何気なく使っている「フリーター」という言葉は、日本生まれの和製英語で「フリーランス・アルバイター(拘束されない労働者)」という意味を持ちます。

 さて、「フリーター」って「無職」で普通は意味が通じますよね。

 でも、この2つの言葉は日本政府から見ると、全く別物の言葉らしいのです。

 今日は、このフリーターと言う言葉にまつわる、ちょっとしたトリビアをご紹介したいと思います。

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厚労省が定めたフリーターの定義に年齢制限があった!

 先程も述べたように、フリーターは和製英語であり、この言葉が現れ始めたのは、ちょうどバブル景気の真っ最中、1991年(平成3年)頃のことでした。

 1980年代後半にはリクルートのような就活雑誌でも、フリーターという言葉は一部使われていましたが、この言葉が広まる本格的なきっかけを作ったのは、時の日本政府(厚生労働省)でした。

 厚生労働省は、平成3年に発表した「平成3年版 労働経済の分析」から、若年のパート・アルバイト及びその希望者のことを、便宜上『フリーター』と呼ぶようになりました。

 厚生労働省はこの時、フリーターについて以下のような定義を設けています。

年齢は15~34歳と限定

1)現在就業している者については勤め先における呼称が「アルバイト」又は「パート」である雇用者で、男性については継続就業年数が1~5年未満の者、女性については未婚で仕事を主にしている者。

2)現在無業の者については家事も通学もしておらず「アルバイト・パート」の仕事を希望する者。

 つまり、もしも義務教育を終えて34歳を超えた後に、上記の定義に当てはまらない場合は、その人をフリーターと考えないことにしたのです。

 従って、最新の内閣府発表によるデータ上でも、フリーターは全国に180万人いる、という数字がはっきり示せるのです。

 もっとも、35歳以上なのに「フリーター」と名乗ること自体には、何の罰則規定もありません。

 フリーターという言葉に政府が定義を設けたのは、統計を取るため便宜上のことだったからです。

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言葉の意味合いを変えながらもフリーターと言う言葉は残っていく

 このようにして作成された政府統計がニュースで毎年伝えられ、「フリーターが◯◯人増加」「フリーターの労働実態が過酷なものに」と、定義を置き去りにしたまま、言葉だけは全国に知れ渡ることで、フリーターは日本の社会に馴染んだ言葉として市民権を得るようになりました。

 今であれば、フリーターという言葉は世間一般では厳密な定義を持たず、「正社員以外の人」というくらいの意味で捉えられています。

 また、正社員という立場から、個人事業主として働く「フリーランス」の人々が、自分のことを「フリーター」と呼ぶケースも増えています。

 時代の移り変わりと共に、これからもフリーターという言葉は、少しずつ意味を変えながら残っていくのかもしれません。

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