中小企業で起こりやすい労務トラブル3つの事例と5つの対策

労務

みなさんこんにちは!
組織活性化プロデューサーの南本です。

中小企業の経営者に注意してほしい点ですが、すでに勃発するスイッチを押してしまっている経営者がすごく多いかもしれません。

コロナウイルスで中小企業の経済が停滞している中で労務トラブルが急増しています。

労務トラブルが起こらないように我々のような社労士の資格を持った人たちがいますが、トラブルが起こった後は弁護士さんに引き渡すしかありません。

トラブルが起こらないような対処の仕方について、事例を交えて解説したいと思います。

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中小企業で起こりやすい労務トラブルの3つの事例

中小企業で起こっている労務トラブルの事例

中小企業で起こっていることは何なのか。

どうしても業績不振で解雇というのが多くなりました。

解雇の方法も、ある程度納得して頂いて解雇するのであれば労務トラブルに発展することはあまりないのですが、厳しい方法で解雇してしまって、労務トラブルが多発している傾向にあります。

これから解雇も考えている中小企業の経営者の方は、ぜひ以下の3つの事例を読んでみてください。

労務トラブルの事例①: 即時解雇

労務トラブルの事例の1つ目は「即時解雇」です。

コロナ禍で業績が悪化して、社員もピリピリして態度が悪くなってきて、あまりにもひどいことを言うので即時解雇したところ、労基署に駆け込まれて、労基署に呼ばれてしまうというものです。

この注意点は、「クビだ!」とそのまま言ってはいけないということです。

労務トラブルの事例②:シフト勤務の変更

労務トラブルの事例の1つ目は「シフト勤務の変更」です。

この事例はシフト勤務の人だったのですが、業務の状況が芳しくなくなってきたので、シフトを変えたところ、この人のシフトがなくなって、働く機会を失ってしまったということです。

これは今、雇用調整助成金で、シフト予定のところを休ませた場合には、休業補償をするというのが労基署の考え方です。

パートのシフトを急きょ変えた場合には、その日に働かなくなった分の平均賃金の6割を保証しないといけないという指導を労基署に受けたという事例です。

この場合の注意点は、シフトを自由に組み替えて、出勤予定の人に出勤しなくていいというときには、事前に本人と相談して、他の日に振り返るなどの努力をしておかないと認められないということになります。

労務トラブルの事例③:即時解雇2

労務トラブルの事例の3つ目は「即時解雇(前項とは別ケース)」です。

業績が悪化して、ある人の業務がなくなってしまったので、シフト転換で仕事を変えて給料を少し下げたところ、この社員が業務命令を聞かなかったり、暴言を吐いたりしたので、経営者がたまらず即時解雇してしまったということです。

この事例では労基署ではなく、弁護士をたてて、民事訴訟で訴えてきたというものです。

これから正当性を証明して争うことになりますが、今は従業員もすぐ転職できない状況なので、元いた会社から少しでもお金を貰おうという動きに出てきますので、中小企業の経営者もそのあたりを理解した上で、対応を間違うとこのようなことになってしまうという事例です。

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労務トラブルの5つの対策

労務トラブルの対策

労務トラブルを回避するためにやらないといけない対策がいくつかあり、以下の5つを紹介したいと思います。

  • 「辞めろ!」「クビ!」と絶対言わない
  • 2回指導+顛末書+誓約書(署名)を取る
  • 試用期間は6か月
  • 入社後目標設定と検証
  • 誓約書を必ず取る

それでは1つずつ解説していきます。

労務トラブルの対策①:「辞めろ!」「クビ!」と絶対言わない

労務トラブル対策の1つ目は「「辞めろ!」「クビ!」と絶対言わない」ことです。

「辞めろ!」とか「クビ!」とか「明日から来なくていい」といった言葉は絶対やめてください。

管理職や店長にもしっかり徹底しておかないと、血が上るとすぐ「クビ!」とかって言っちゃうような管理者は従業員からくらいでもお金を取られてしまいます。

労務トラブルの対策②:2回指導+顛末書+誓約書(署名)を取る

労務トラブル対策の2つ目は「2回指導+顛末書+誓約書(署名)を取る」ことです。

これは作法としてやってください。

どんなにできの悪い社員であっても、なにかあったら、面談して、指導して、顛末書を書かせて、2度とこういう発言や態度を取らないようにしますという誓約書を書かせてください。

これを2回するということが、労基署に対して即時解雇が有効になるドキュメントになっていきます。

労務トラブルの対策③:試用期間は6か月

労務トラブル対策の3つ目は「試用期間は6か月」にすることです。

試用期間は最大6か月です。

試用期間はその人が能力があるかないかを測るための期間です。

試用期間を過ぎると解雇するには大変な努力をしないといけませんが、試用期間中は能力が低いとか、やる気がなさそうだという理由で辞めていただくことが、ある程度簡単にできるため、試用期間は長めにとっておいてほしいというのは注意点です。

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労務トラブルの対策④:入社後目標設定と検証

労務トラブル対策の4つ目は「入社後目標設定と検証」をすることです。

試用期間中に目標を設定してもいいです。

入社後に会社でここまで出来るという具体的な目標を3つか4つ目標設定して、達成できない人は試用期間中に辞めていただくということもできますので、目標設定というのはとても大事です。

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労務トラブルの対策⑤:誓約書を必ず取る

労務トラブル対策の5つ目は「誓約書を必ず取る」ことです。

会社にとって言ってほしくないことや守ってほしいルールなどを誓約させてください。

悪い人は、最後に感情に任せて暴言などを吐いて、即時解雇させるように仕向けてくることがあります。

それに管理職や中小企業の経営者が誘いに乗ってしまうと、完全に負けてしまいますよという話です。

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労務トラブルの事例と対策:まとめ

労務トラブルの対策:まとめ

最近、中小企業ので増えているのは労務トラブルです。

労務トラブルの対策をもう一度整理しておきます。

  • 「辞めろ!」「クビ!」と絶対言わない
  • 2回指導+顛末書+誓約書(署名)を取る
  • 試用期間は6か月
  • 入社後目標設定と検証
  • 誓約書を必ず取る

労務トラブルにも、いろいろなパターンがありますが、特に解雇の事例がとても多いので、上記の5つの対策を忘れないようにしてください。

今回のアドバイスを事前に仕込んで、経営して欲しいと思います。

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南本 静志

和歌山生まれ。株式会社紀陽銀行入行。銀行業務を2年程度経験後、システム部へ異動。

システムエンジニアとして銀行オンラインシステムや情報系のマーケティングシステムの構築で活躍する。

30歳代の後半には日本ユニシスに出向し、金融機関向けCRMマーケティングシステムの業務設計のリーダーを任される。その後、コンサルタントとして独立、現在は東京千代田区で経営コンサルティング会社と社会保険労務士事務所を設立し、代表に就任。

中小企業診断士及び社員を持つ経営者としての立場で、幹部社員(部長、課長、係長等)を次期役員に昇格させるようなマネジメント系の人材育成プログラムに強みを発揮している。また、初級管理職(主任や中堅リーダー)に対するモチベーション研修や自己発見研修も得意。

アールイープロデュース 

適性検査Cubic(キュービック)

東京中央社会保険労務士事務所

東京中央給与計算センター

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