多くの経営者が勘違いしている採用時の「試用期間」と「試みの使用期間」の違い

労務

「試用期間中に適正を見極めて、駄目なら切れば良い」という経営者の方がいらっしゃいます。

このような持論を持つ経営者は、労働基準法第21条が定める、解雇予告のいらない「試みの使用期間中の者」を「試用期間」と認識しています。

しかし、これら2つは似ているようで全く違うものです。間違った認識で最終的に違法行為を行わぬよう、2つの言葉の違いを知りましょう。

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「試みの使用期間中の者」=「試用期間」?

労働基準法第20条

労働基準法第20条は使用者が労働者を解雇する場合に、

  • 30日以上の解雇予告期間を設ける
  • 平均賃金日額の30日分以上の解雇予告手当の支払いを課す

といういずれかを、使用者に求める条項です。

労働基準法第21条

ただし、解雇予告制度が適用されない例外規定も同第21条に定められており、具体的には以下4つの条件いずれかの場合とされています。

  1. 日々雇い入れられる者
  2. 契約期間が2ヶ月以内の者
  3. 4ヶ月以内の季節的業務に使用される者
  4. 試みの使用期間中の者

1〜3は明確な数字による規定のため解釈の違いがさほど出てきません。

一方で4の「試みの使用期間中の者」という規定は様々な解釈が可能です。

そして、この「試みの使用期間中の者」=「試用期間中の社員」と考え、安易に解雇予告制度を適用しない方がいらっしゃいます。

結論から言いますと、「試みの使用期間」と「試用期間」とは全くの別制度です。

むしろ無関係の制度ですから、「試用期間だから解雇予告無しに解雇して大丈夫」と考えている人はアウトです。

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「試みの使用期間中の者」と「試用期間」は全く異なるもの

まず、「試みの使用期間」と「試用期間」がどのように違うかをご説明しましょう。

試みの使用期間とは

「試みの使用期間」とは労働基準法に、14日間と定められている試みの使用期間のことを言います。

試用期間とは

一方で、「試用期間」とは、一般的には「長期雇用を前提として労働者の勤務態度、能力、技術等を見て、本採用するかどうかを決定するために設けられている期間」のことを言い、労働基準法に明確な定めの無い期間のことを言います。

これらを踏まえると、雇用してから14日以内の解雇の場合には、労働基準法の例外規定を踏まえれば、解雇予告手当を支払う必要がありません。

逆に考えれば、雇用し14日を超えれば(雇用して15日以上経過すれば)、解雇予告手当を支払わなければならないこととなります。

試用期間はあくまで「企業の慣習」

試用期間は法律的に義務けられているものではなく、あくまで「企業の慣習」に過ぎませんから、法律上は通常の雇用契約と同じ状態と認定されるのです。

「試みの使用期間」と「試用期間」は語呂や漢字が持つ雰囲気が似ていることもあり、かなりの経営者が混同して認識しています。

試用期間中であっても、14日を超えて雇用している労働者を解雇する際に、「解雇予告を出さないことは違法である」と正しく認識する必要があるでしょう。

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「試みの使用期間中の者」の解雇にも正当な理由が必要

「試みの使用期間中の者」の解雇については、もう1つ注意すべき点があります。

先述の通り、労働基準法第20条は使用者が労働者を解雇する場合に、

  • 30日以上の解雇予告期間を設ける
  • 平均賃金日額の30日分以上の解雇予告手当の支払いを課す

といういずれかを、使用者に求める条項です。

これを踏まえると、

  • 30日以上前に解雇予告を行う
  • 30日分の解雇手当を支給する

のいずれかで、労働者は簡単に「無条件で解雇できる」と解釈する方もいらっしゃいます。

しかし、使用者に無条件に解約権を認めてしまうと、労働者の安定した生活が保障されません。

解雇予告制度の趣旨

解雇予告制度の趣旨は、解雇される場合であっても30日分の賃金が保障されれば、労働者はその期間に次の就職先を見つけることができる、という趣旨で規定されています。

不当解雇と判断される可能性も

つまり、解雇予告制度は解雇する際の手続きに過ぎず、解雇する理由の妥当性と正当性が使用者に求められるのです。

法律通りに解雇予告手当を支払った場合でも、解雇理由に解雇に値するだけの妥当性、正当性が無いと判断された場合には、不当解雇となってしまいます。

試みの使用期間中の解雇であっても、解雇するにはそれ相応の解雇理由が必要となることも忘れないようにしましょう。

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松本 容昌

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「従業員」に関するお悩みや「助成金」に関する疑問等、お気軽に何でもご相談下さい。

【経歴・実績】

1966年生まれ 静岡県浜松市出身

立教大学経済学部卒業後地元企業で不動産営業、保険代理店営業に13年間従事後。

平成11年社会保険労務士試験合格後、平成13年社会保険労務士事務所「オフィスまつもと」を設立。

開業後、一貫して労務コンサルティングと助成金業務を中心に業務展開を行ってきました。

多種多様な企業の様々な労務相談に応じており、数多くの労務トラブルの解決に尽力してきました。就業規則の作成実績数は、100社以上に及びます。

これまでの経験を生かし、

労務管理セミナー 

「会社を守るための就業規則作成講座&知らないと損をする労務トラブルを防ぐ5つのポイント」
「パートタイマーの上手な活かし方」  等を多数開催。

☆主なセミナー実績☆

平成21年2月 
労務管理セミナー
「会社を守るための就業規則&知らないと損をする労務トラブルを防ぐ5つのポイント」 アイミティ浜松

平成21年3月 
労務管理セミナー
「会社を守るための就業規則&知らないと損をする労務トラブルを防ぐ5つのポイント」 浜松アリーナ

平成21年6月 
労務管理セミナー
「パートタイマーの上手な生かし方及び助成金活用セミナー」 浜松まちづくりセンター

平成21年7月 
労務管理セミナー
「会社を守るための就業規則&知らないと損をする労務トラブルを防ぐ5つのポイント」 富士交流センター

平成21年10月 
飲食店で成功するセミナー 浜松市福祉交流センター

また、助成金業務に関しては、これまで取扱った助成金の種類は20以上で、申請企業数は100社以上に及びます。

特に、平成22年以降は、独立・開業時助成金を活用しての独立・開業支援を主力業務として、茨城県、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、岐阜県、滋賀県にわたって独立・開業支援業務を展開。

申請助成金額平成24年度は、2,000万円以上です。

☆助成金活用事例とお客様の声です☆

http://www4.tokai.or.jp/office.m/katsuyoujirei.html

また、独立・開業支援セミナーも東京都、静岡県を中心に多数開催してきました。

☆主なセミナー実績☆

平成22年2月   第1回独立・開業支援セミナー 静岡県教育会館

平成22年4月   第2回独立・開業支援セミナー 沼津市民文化センター

平成22年10月  第3回独立・開業支援セミナー 東京都江東区商工情報センター

平成22年12月  第4回独立・開業支援セミナー 東京都豊島区市民文化センター

平成23年2月   第5回独立・開業支援セミナー 東京都江東区豊洲文化センター

平成23年4月   第6回独立・開業支援セミナー 東京都江東区商工情報センター

平成23年7月  第7回独立・開業支援セミナー 東京都江東区江東産業会館

☆マスコミ出演☆

平成22年1月29日  SBSラジオ「繭子の部屋へようこそ」

平成22年4月2日   SBSラジオ「第1回独立開業支援室」

平成22年5月21日  SBSラジオ「第2回独立開業支援室」

平成22年6月25日  SBSラジオ「第3回独立開業支援室」 

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