「月給」と「日給月給」の違いはなんですか?
いきなり聞かれるとほとんどの人が答えられないはずです。
にも関わらず、多くの採用情報や雇用契約書では両者の違いを明確に記載せず、それがゆえに労使トラブルが頻繁しています。
このトラブルを避けるためにはどうしたら良いのか?労務の専門家が教えてくれます。
「日給」と「日給月給」の違いがわかりますか?
私が扱う労務管理の分野では、多くの事業主の方が意味を取り違えていたり、誤って解釈している法律用語や法律知識が非常に多くあります。
単に誤解しているだけで済む程度のものでしたら、さほど気にすることはないのですが、その間違った解釈のために大きなトラブルへと発展することがあります。
従って、法律用語や知識を正しく理解することは、経営においても非常に重要な事と言えます。
いきなり聞かれるとわからない方も多いことでしょう。
従業員に支払う給料の支払い方は、どのような支払方をしても法律的には問題がありません。
正社員に給料を時給で支払っても、日給で支払っても、全く問題ありません。
しかし、「月給」と「日給月給」は意味合いが違うもので、両者の性質を知らずに曖昧な状況で給料を支給すると、労働トラブルの元となってしまいます。
以下、詳しく解説してまいりましょう。
「日給」と「日給月給」の混同で起こるトラブル
まず「月給」とは、毎月固定された月額の給料を、従業員に対して支払う給料の支払い方式であり、遅刻・欠勤・早退があったとしても、原則的に同じ月額の支払をするものです。
対して「日給月給」とは、日給制度をもとにした制度であり、給与計算は1日ごとに行われますが、支払いは1ヶ月単位で行われる給与の支払方法です。
たとえば、日雇い労働者の多い中小企業では、給与計算は1日ずつで行っても支払いを月に1回とすることで、資金繰りや会計の効率化を図られている場合が多いかと思います。
ところが「日給月給」を「月給」と混同している人は沢山います。(特に労務関連の法律を知らない労働者側)
「日給月給」は「日給」と違い、遅刻・欠勤・早退した場合に、その分を控除することが許されている給料の支払い方式ですし、月の途中で入社或いは退社した場合にも、日割り計算することも可能です。
従って「月給」と同じで、欠勤しても欠勤控除されないはずなのに、欠勤分の給料が差し引かれた時に、「固定給のはずの月給が支払われていない!」と労働者から訴えられる場合があるのです。
なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?
「月給」なのか「日給月給」なのかはっきりとした表示を
求人情報を見てみましょう。日給月給なのに「月々○○万円」という表示が驚くほど多くあるはずです。
これでは従業員が「月給」なのか「日給月給」なのか判別できないため、企業側が「日給月給」のつもりで採用や雇用を行っていても、従業員は、「月給」つまり「完全月給」のつもりで受取る場合も考えられます。
これらの無用なトラブルを避けるためには、日給月給で給料を支給するのであれば、雇用契約書等に「日給月給」としっかり記載する必要があります。
また、「月給」採用の場合は、「完全」という文字をつけることで、誤解を避けることができるでしょう。
意外と多くの企業で起こっているミスですので、ぜひ御社が採用を検討されているなら、給料体制の表示をもう一度チェックしてみましょう。