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AIに試算表を読ませてみた 売上は増えたのに、営業利益は7割減

編集部
AIに試算表を読ませてみた 売上は増えたのに、営業利益は7割減

毎月の試算表、売上と最後の利益だけを見て閉じていないでしょうか。

今回は、架空の小売店の試算表をAIに渡し、前年の同じ月と比べてもらいました。AIが出した数字を元の表で確かめ、社長が次に何を見るかまでを順に紹介します。

数字はすべて架空です。表の読み方と、AIの使い方の見本として読んでください。

使った試算表

月商1,000万円ほどの小売店を想定しました。2026年8月と、前年の2025年8月の数字です。

架空の小売店の月次試算表(単位:千円)

科目2025年8月2026年8月
売上高9,2009,800
売上原価5,7006,370
役員報酬600600
給料手当1,0801,150
法定福利費170180
地代家賃380420
水道光熱費120160
広告宣伝費150260
支払手数料140190
外注費200120
消耗品費9070
その他の経費140150

AIに任せること、社長が決めること

始める前に、分担を決めておきます。計算はAIに任せ、何を調べて何を変えるかは社長が決めます。

試算表を比べるときの分担

社長

試算表を渡す

  • 前年と今年の、同じ月の試算表
  • 社名や取引先名は消しておく

AI

計算する

  • 前年の同じ月との差を計算する
  • 差の大きい科目を並べる
  • 粗利率を出す

増えた理由も書いてくるが、それは推測

社長

決める

  • どの差を詳しく調べるか
  • 担当者に何を聞くか
  • 来月から何を変えるか

↻ 翌月も、同じ指示で比べる

AIへの指示

指示は次のとおりです。試算表は、上の表をそのまま貼り付けました。

プロンプト
次の月次試算表(単位:千円)を、前年の同じ月と比べてください。
1. 増減額の大きい科目を5つ選び、増減額と増減率を表にしてください。
2. 売上総利益率を、今月と前年同月でそれぞれ出してください。
3. 増減の理由として考えられることを、科目ごとに1行で書いてください。

科目	2025年8月	2026年8月
売上高	9200	9800
売上原価	5700	6370
役員報酬	600	600
給料手当	1080	1150
法定福利費	170	180
地代家賃	380	420
水道光熱費	120	160
広告宣伝費	150	260
支払手数料	140	190
外注費	200	120
消耗品費	90	70
その他の経費	140	150

AIの答え

返ってきた答えを、そのまま載せます。

AIの答え(そのまま)

1. 増減額の大きい科目(上位5つ)

科目前年同月今月増減額増減率
売上原価5,7006,370+670+11.8%
売上高9,2009,800+600+6.5%
広告宣伝費150260+110+73.3%
外注費200120−80−40.0%
給料手当1,0801,150+70+6.5%

2. 売上総利益率

前年同月は38.0%(3,500÷9,200)、今月は35.0%(3,430÷9,800)です。3.0ポイント下がっています。

3. 考えられる理由

  • 売上原価:仕入価格の上昇、または原価率の高い商品の売上が増えた可能性があります。
  • 売上高:販売数量の増加、または値上げの可能性があります。
  • 広告宣伝費:販促キャンペーンや広告出稿を増やした可能性があります。
  • 外注費:外部に出していた作業を、社内で行うようにした可能性があります。
  • 給料手当:人員の増加、または昇給の可能性があります。

答えを確かめる

AIの計算が合っているかは、元の表で確かめます。今回は、同じ計算をプログラムで組んで照らし合わせました。

結果は、すべて元の表と一致しました。

一方で、「考えられる理由」は確かめようがありません。試算表には、なぜ増えたのかまでは書かれていないからです。AIが挙げたのは、一般的な可能性です。ここを答えとして受け取らないことが大切です。

−3.0ポイント

粗利率の変化 38.0%→35.0%(架空の試算表から計算)

営業利益が430千円から130千円に減った内訳(千円)

2025年8月の営業利益430千円に、売上高の増加600千円を足し、売上原価の増加670千円と販管費の増加230千円を引くと、2026年8月の営業利益130千円になる。

見落としやすいのは、売上が増えたのに、粗利の額が70千円減っている点です。売上原価が、売上より大きく伸びたためです。そこに販管費の増加(230千円)が重なり、営業利益は430千円から130千円に減りました。

小計と利益(単位:千円)

2025年8月2026年8月差
売上総利益3,5003,430-70
販売費及び一般管理費3,0703,300+230
営業利益430130-300
売上総利益率38.0%35.0%-3.0ポイント

社長が次にやること

  1. 売上原価の明細を見る

    仕入れの単価が上がったのか、売れた商品の組み合わせが変わったのかを、仕入先の請求書で確かめます。

  2. 広告宣伝費の中身を聞く

    110千円増えた理由と、その広告で売上がどれだけ増えたかを、担当者に聞きます。

  3. 翌月も同じ指示で比べる

    指示文を保存しておき、毎月同じ形で出してもらいます。

損益分岐点の考え方は、次の記事で詳しく説明しています。

関連記事No.19408中小企業の経営者が損益分岐点比率を管理すべき理由とは?

使ったAI・ツールと、この記事の条件

使ったAI・ツール

名前使った作業費用確認日
Claude(Anthropic)前年比の計算と、理由の候補利用中の契約の範囲2026.09.24
Python計算の照合無料2026.09.24

よくある質問

AIに試算表を渡しても大丈夫ですか?

社名や取引先名、個人名は消してから渡します。今回の見本も、架空の数字を使いました。

前年と比べるのと、前月と比べるのでは、どちらがよいですか?

季節で売上が変わる業種では、前年の同じ月と比べるほうが変化をつかみやすくなります。前月との比較は、急な変化に気づくのに向いています。

参考資料

  1. 節約社長「中小企業の経営者が損益分岐点比率を管理すべき理由とは?」2021年4月
  2. 節約社長「財務会計の土台を作り管理会計を始めると会社の見え方が変わる」2016年11月

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この記事を書いた人

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節約社長編集部は、経営・起業に役立つ情報を届ける編集チームです。資金繰り、財務、採用、業務効率化など、経営者が日々の判断に使えるテーマを取り上げます。

AI活用の記事では、編集部で試したことと調査した情報を分け、使い方だけでなく費用や確認すべき点も紹介します。実際の経験と、説明のための架空例は区別して記載します。

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