節約社長
お問い合わせ

個人事業主の会計ソフトの選び方 無料・スマホ・買い切りの条件と、2027年からの青色申告の変更【2026年】

編集部
個人事業主の会計ソフトの選び方

個人事業主の会計ソフト(確定申告アプリ)は、弥生、freee、マネーフォワード、タックスナップなど、どれも「無料で始められる」「簿記の知識がなくても使える」と案内しています。ただ、無料の範囲や、2年目からの料金、消費税の申告ができるプランは製品ごとに違います。

この記事では、個人事業主向けの5製品を、2年目以降の年額、1年目の無料の条件、消費税の申告、使える端末で比べます。そのうえで、「無料で済ませたい」「スマホだけで使いたい」「買い切りがいい」などの条件ごとに選び方を説明します。節約社長編集部は、製品の名前から選ぶのではなく、青色申告か白色申告か、消費税の申告があるかを先に決めて、候補を2つに絞ってから無料期間で試すことをおすすめします。

個人事業主の会計ソフトを選ぶ前に決める3つのこと

会計ソフトの比較表を見る前に、自分の条件を3つ決めておくと、候補をすぐに絞れます。

  1. 青色申告か白色申告か

    青色申告は、事前に税務署へ届け出たうえで帳簿を付けて申告する方法で、所得から最大65万円(2027年分からは75万円)を差し引ける青色申告特別控除などの特典があります。最大の控除を受けるには、複式簿記(取引を借方と貸方の両方に記録する方法)で帳簿を付ける必要があります。白色申告は帳簿の付け方が簡単な代わりに、この控除がありません。会計ソフトはどちらにも対応していますが、白色申告なら無料で済む製品があります。

  2. 消費税の申告があるか

    インボイス(適格請求書)の発行事業者に登録している人や、原則として前々年の課税売上高が1,000万円を超える人は、消費税の申告も必要です。料金の安いプランでは、消費税の申告書を作れない製品があります。

  3. 使う端末

    パソコンで入力するか、スマホだけで済ませたいか、Macを使っているかで、候補が変わります。インストール型のソフトはWindows用が中心です。

2027年分から変わる青色申告特別控除

会計ソフトを選ぶときに、2027年分の所得(2028年に申告)から変わる青色申告特別控除の仕組みも知っておいてください。令和8年度の税制改正で、控除の額と要件が次のように変わります。

青色申告特別控除の上限額の変化。2026年分までは、紙で提出すると原則55万円、e-Taxで提出すると65万円、優良な電子帳簿で保存すると65万円。2027年分からは、紙で提出すると10万円、e-Taxで提出すると65万円、e-Taxで提出したうえで優良な電子帳簿などで保存すると75万円。

青色申告特別控除の上限額(複式簿記で記帳している場合)

申告の方法2026年分まで2027年分から
紙で提出(優良な電子帳簿の特例なし)55万円10万円
e-Taxで提出65万円65万円
e-Taxで提出し、優良な電子帳簿などで保存65万円75万円

2026年分までは、複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を添えて期限内に申告すれば、紙で提出しても最高55万円です。仕訳帳と総勘定元帳を優良な電子帳簿として保存し、必要な届出をしている人は、紙でも最高65万円です。2027年分からは、55万円の控除にe-Taxでの提出が要件として加わって65万円になるため、紙で出すと控除は最大10万円になります。75万円の控除は、e-Taxで提出したうえで、仕訳帳と総勘定元帳を「優良な電子帳簿」の要件を満たして保存するか、デジタルインボイスや銀行の決済データを決められた方法で保存する(デジタルシームレス保存)人が受けられます。

会計ソフトを選ぶときは、そのソフトから直接e-Taxで申告できるかと、優良な電子帳簿の要件に対応しているかを見てください。たとえば、やよいの青色申告 オンラインは、2027年分からの75万円の控除の要件のうち「優良な電子帳簿」に対応していると案内しています。75万円控除には、確定申告書と青色申告決算書を期限内にe-Taxで送信し、保存方法に応じた届出書も申告期限までに提出します。すでに優良な電子帳簿による65万円控除を受けている人は、同じ方法を続ける場合、届出をやり直す必要はありません。簡易簿記の場合、事業所得または事業として営む不動産所得のいずれかの前々年の収入金額が1,000万円を超えると、2027年分から10万円控除も対象外です。国税庁の青色申告特別控除の案内(PDF)で、自分の記帳方法に必要な手続きを確認できます。

e-Taxで申告するには、マイナンバーカードと、カードを読み取れるスマホかICカードリーダーを用意しておくと手続きが進めやすくなります。

個人事業主向け会計ソフト5製品の比較表

青色申告に使える5製品に加え、白色申告を無料で続けたい人のために、やよいの白色申告 オンラインも掲載しました。表の金額は税抜の年額です。

料金と無料期間

製品主なプランの年額1年目・無料期間
やよいの青色申告 オンラインセルフ 11,800円
ベーシック 22,800円
トータル 39,600円
セルフとベーシックは1年目無料、トータルは1年目19,800円(2027年3月15日までの申し込み)。自動更新の支払い方法の登録が条件
やよいの白色申告 オンラインフリー 0円
ベーシック 11,500円
トータル 21,000円
フリープランはずっと無料。ベーシックは1年目無料
freee会計(個人)スターター 11,760円
スタンダード 23,760円
プレミアム 39,800円
お試し期間あり。お試し中は申告書を入力できるが出力できない。クレジットカードの登録は不要
マネーフォワード クラウド確定申告パーソナルミニ 10,800円
パーソナル 15,360円(12月1日から22,560円)
パーソナルプラス 35,760円(同38,160円)
1か月無料。クレジットカードの登録は不要で、有料プランへ自動で移らない
タックスナップカンタン 11,760円
安心 29,800円
有料プランは最初の14日間無料。無料期間中に解約すれば料金はかからない
やよいの青色申告 27(インストール型)1年目 14,000円(保守サポートのセルフプラン付き)
2年目から保守サポート 12,300円
保守サポートの1年目の優待価格。自動更新の支払い方法の登録が条件

freee会計を月払いにするとスターターは月1,780円、スタンダードは月2,980円です。マネーフォワードのWeb契約は、2026年12月1日以降の新規契約・更新から改定料金が適用されます。パーソナルミニの年払いは同額です。

機能と端末

製品消費税の申告使える端末電話のサポート
やよいの青色申告 オンライン全プラン(機能はプランで同じ)ブラウザ(Mac可)、スマホアプリベーシック以上
freee会計(個人)スタンダード以上ブラウザ、スマホアプリプレミアム以上
マネーフォワード クラウド確定申告パーソナル以上ブラウザ、スマホアプリパーソナルプラス(操作方法だけ)
タックスナップ対応(プランごとの違いは公式で確認)スマホアプリが中心AIと有人のチャット
やよいの青色申告 27対応Windows 11のパソコン保守サポートのベーシック以上

やよいの青色申告 オンラインは、どのプランでも使える機能が同じで、違うのは電話やチャットで質問できるかどうかです。freeeとマネーフォワードは、上のプランほど消費税の申告やレシートの読み取り件数などの機能が増えます。タックスナップは個人事業主の白色申告・青色申告に対応し、法人と農業所得には対応していません。

条件別の個人事業主の会計ソフトの選び方

無料で済ませたい

白色申告なら、やよいの白色申告 オンラインのフリープランで、帳簿の入力から申告書の作成、e-Taxでの提出まで無料で使えます。サポートはWebのよくある質問だけです。

青色申告で無料にこだわるなら、帳簿を表計算ソフトなどで複式簿記で付け、申告書と青色申告決算書は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で作ってe-Taxで送る方法があります。費用はかかりませんが、複式簿記の帳簿を自分で作る手間がかかります。

「無料」と書かれていても、中身は製品ごとに違います。

  • 1年目だけ無料: やよいの青色申告 オンラインのセルフ・ベーシック。2年目から料金がかかり、自動更新の支払い方法の登録が条件です
  • 無料体験: freeeのお試し期間、マネーフォワードの1か月、タックスナップの14日間。freeeのお試し中は申告書を出力できず、お試しが終わると取引を見ることも申告書を作ることもできなくなります
  • ずっと無料のプラン: やよいの白色申告 オンラインのフリープラン。タックスナップの無料プランは雑所得や控除だけの申告向けで、事業所得の申告書は有料プランで作ります

簿記の知識がない

どの製品も、銀行口座やクレジットカードの明細を取り込んで、勘定科目の候補を自動で付けます。簿記の知識がなくても入力はできますが、自分で決めることは残ります。

  • 事業の支払いか、プライベートの支払いか
  • 自宅を仕事場にしているときの家賃や電気代を、どの割合で経費にするか(家事按分)
  • 自動で付いた勘定科目が合っているか

この判断に自信がなければ、電話やチャットで質問できるプラン(やよいのベーシック、freeeのプレミアムなど)を選ぶか、記帳を任せられるプラン(freeeの入力おまかせ、年49,800円。月60件まで)を比べてください。

スマホだけで済ませたい

freee、マネーフォワード、やよいのオンライン版、タックスナップは、スマホアプリでレシートの撮影や取引の入力ができます。スマホから申告まで進めるには、マイナンバーカードと、カードを読み取れるスマホが必要です。マネーフォワードは、アプリでの電子申告にこの2つが必要と案内しています。一部の操作はパソコンの画面でしかできない製品もあるので、無料期間のうちに、申告まで進められるか確認してください。

アプリの中で料金を払った場合は、解約もApp StoreやGoogle Playの定期購入の画面で行います。アプリを削除しても解約にはなりません。freeeは、アプリで払うとWebで申し込む場合と料金が違います(税込でスターター年12,800円、スタンダード年26,800円)。

Macで使いたい

弥生のオンライン版、freee会計、マネーフォワードはMacのブラウザから利用できます。タックスナップはスマートフォンのアプリでの利用を前提に比較しています。インストール型のやよいの青色申告 27は、Windows 11のパソコン用で、Macでは使えません。

月額を払いたくない(買い切り)

買い切りのつもりでインストール型を選んでも、毎年の税制の改正に合わせるには、新しいバージョンが必要です。弥生の公式ストアでは、やよいの青色申告 27を保守サポート付きでだけ販売していて、保守サポートには新しいバージョンの無償提供と法令の改正への対応が含まれます。保守サポートを続けると毎年料金がかかるので、数年使う前提で総額を比べてください(次の章)。

フリーランス・副業で使いたい

会社員の副業の収入は、内容や規模によって事業所得になる場合と雑所得になる場合があります。雑所得なら青色申告特別控除はなく、会計ソフトを使わずに確定申告書等作成コーナーで申告することもできます。どちらに当たるかは、税務署か税理士に確認してください。事業として続けるフリーランスなら、取引の明細を自動で取り込める会計ソフトを使うと、記帳の時間を減らせます。

今のソフトから乗り換えたい

やよいの青色申告 オンラインとタックスナップは、ほかの会計ソフトから書き出したデータを取り込めると案内しています。乗り換えは年の初めにすると、1年分の帳簿を1つのソフトで作れます。年の途中で乗り換えるときは、それまでの取引をどう移すかを、乗り換え先の案内で確認してください。

前のソフトを解約すると、帳簿を見られなくなる製品があります。やよいの青色申告 オンラインは、解約するとデータを見ることもできず、再契約してもデータを引き継げないと案内しています。帳簿は申告した後も保存が必要なので、解約する前に、仕訳帳や総勘定元帳、申告書をPDFやCSVで書き出してください。

5年使ったときの会計ソフトの総額

1年目の無料だけで選ぶと、2年目からの料金の差を見落とします。5年使った場合の総額を、各社の年払いの料金で計算しました。消費税の申告がない人が、青色申告ができる一番安いプランを使う場合です。

個人事業主の会計ソフトを5年使ったときの総額(税抜、消費税の申告なし)。やよいの青色申告 オンライン セルフ47,200円、マネーフォワード パーソナルミニ54,000円、freee会計 スターター58,800円、タックスナップ カンタン58,800円、やよいの青色申告 27と保守サポートのセルフ63,200円。

5年の総額(税抜、消費税の申告なし)

製品とプラン1年目2年目から(毎年)5年の総額
やよいの青色申告 オンライン セルフ0円11,800円47,200円
マネーフォワード パーソナルミニ10,800円10,800円54,000円
freee会計 スターター11,760円11,760円58,800円
タックスナップ カンタン11,760円11,760円58,800円
やよいの青色申告 27+保守サポート セルフ14,000円12,300円63,200円

総額は「1年目+2年目からの年額×4」で計算しています。やよいの青色申告 オンラインなら、0円+11,800円×4=47,200円です。

消費税の申告がある人は、プランが変わります。freeeのスタンダードは年23,760円で、5年で118,800円です。マネーフォワードのパーソナルを11月中に年払いで契約した場合は15,360円+22,560円×4年=105,600円、12月1日以降に契約した場合は22,560円×5年=112,800円です。どちらも、その後に追加の値上げや割引がない場合の試算です。やよいの青色申告は、オンライン版・インストール型ともプランを変えずに消費税の申告ができるので、上の表と同じ金額です。

5年で見ると、製品の差は1万6,000円ほどです(消費税の申告がない場合)。金額の差が小さいときは、入力のしやすさや、質問できるサポートがあるかで選んでかまいません。

会計ソフトを申し込む前に確認すること

  1. 自動更新の止め方

    どの製品も、有料プランは自動で更新されます。やよいのオンライン版は、更新の前月にメールで案内があり、契約が終わる月の前月末までWebで止められます。やよいの青色申告 27の保守サポートは、1年目の停止・解約を電話で受け付けています。アプリで払った場合は、ストアの定期購入の画面で解約します。

  2. やめた後に帳簿を見られるか

    freeeは、お試しや契約が終わると取引の画面を見られなくなります(取り込んだデータは保存されています)。やよいのオンライン版は、解約するとデータを見られません。タックスナップは、解約しても無料プランに戻るだけでデータは消えないとしていますが、長く保存することは保証していません。どの製品でも、やめる前に帳簿と申告書を書き出してください。

  3. 無料期間でどこまで試せるか

    freeeのお試しでは、申告書の出力まではできません。やよいの青色申告 オンラインの無料体験プラン(最大2か月)は、決算と申告の機能が使えません。申告の時期に初めて使う人は、申告書を出力できるプランかどうかを確認してください。

会計ソフトを使っても、取引が多い人や消費税の計算が難しい人は、記帳や申告を税理士に頼む方が楽な場合があります。費用の目安は税理士の顧問料の相場で、経理を自分・会計ソフト・税理士のどこまでで分けるかは経理と税金は誰に任せるかで説明しています。法人の会計ソフトは法人向け会計ソフトの比較を見てください。

よくある質問

会計ソフトの利用料は経費になりますか?

事業のために使う会計ソフトの利用料は、一般に事業の必要経費になります。freeeも、利用料は必要経費として計上できると案内しています。勘定科目は決めたものを毎年続けて使ってください。

無料のアプリで青色申告はできますか?

事業所得の青色申告を、ずっと無料で申告まで使えるアプリは、この記事で比べた製品の中にはありませんでした。やよいの青色申告 オンラインは1年目が無料で、2年目から年11,800円です。無料にこだわるなら、帳簿を自分で付けて、国税庁の確定申告書等作成コーナーで申告書を作る方法があります。白色申告なら、やよいの白色申告 オンラインのフリープランで無料で申告できます。

途中でプランを変えられますか?

やよいのオンライン版は、後からプランを変えられると案内しています。freeeは上のプランへ変えると、変えたときに料金の支払いが発生します。消費税の申告が必要になったときは、消費税の申告ができるプランに変えてください。料金や切り替えの時期は製品ごとに違うので、各社の案内で確認してください。

更新履歴

  • 公開

この記事を書いた人

編集部

節約社長編集部は、経営・起業に役立つ情報を届ける編集チームです。資金繰り、財務、採用、業務効率化など、経営者が日々の判断に使えるテーマを取り上げます。

AI活用の記事では、編集部で試したことと調査した情報を分け、使い方だけでなく費用や確認すべき点も紹介します。実際の経験と、説明のための架空例は区別して記載します。

この著者の記事を読む