今週も経済に大きな影響を与えるイベントが目白押しである。中でも一番の注目は、12月の消費者物価指数(CPI)の発表が行われることである。ニュースでよく聞く「消費者物価指数」とはどのような指数か、我々にとってなぜ重要な指数なのか、12月の消費者物価指数が伸びるか伸びないかが、今後どのような影響を与えるか知ろう。
今週の経済イベント 主要話題ピックアップ
今週の経済イベントのうち、海外も含めて重要度の高いイベントをピックアップする。
1月27日(火)イギリス:10-12月期四半期国内総生産(GDP、速報値)(前期比)
1月28日(水) アメリカ: 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表
1月30日(金) 日本 :12月全国消費者物価指数(CPI)(前年同月比)
1月30日(金)アメリカ:10-12月期四半期実質国内総生産(GDP、速報値)(前期比年率)
アメリカでもFOMC、GDPの発表など大きなイベントが多い。しかし国内に目を向けた時に重要度の高いイベントは、1月30日(金)の日本国内における12月全国消費者物価指数の発表だ。
ところでニュースでよく聞く「消費者物価指数(CPI)」とはなんのことだろうか?なぜ12月の消費者物価指数は注目に値するのか?以下説明して行く。
消費者物価指数(CPI)とはどんなもの?
消費者物価指数とは、消費者が実際に購入する段階での、商品の小売価格(物価)の変動を表す指数であり、総務省が毎月発表する小売物価統計調査を元に作成される物価指数である。統計調査は1946年8月より開始されている。
よく(CPI)と表されるのは消費者物価指数を英語で表したときの略称(Consumer Price Index)で同意語だ。
指標となる指数は、基準年を一定の基準で固定し、消費するために必要となる費用が物価の変動によってどう変化するかを基準年平均=100として表す算式で計算される。
具体的には、全国の167市町村にある、代表的な小売店・サービス事業所約30,000店舗での小売価格、約25,000世帯の家賃相場、約530事業者の宿泊施設利用料が調査の対象となる。
消費者物価指数が非常に重要な数値である理由は、以下3つになる。
1)国の政策に大きく影響
国民の生活水準を示す指標のひとつとして、国の政策に大きな影響を与える。例えば、安倍政権が消費税を8%から10%にする時期を見送った理由の1つは、夏の消費者物価指数が消費税を除くと上昇鈍化したからだ。「経済の体温計」とも呼ばれており、経済政策を的確に推進する上で重要な指標となっている。
2)金融や年金に大きく影響
日本銀行が金融政策における公定歩合を決める判断材料として使用しているほか、年金は、物価変動に応じて実質的な給付水準を見直すことが法律によって定められている。この物価の動きを示す指標として消費者物価指数が使われている。
3)企業の選択にも大きく影響
企業は従業員に支払う賃金、自社商品の価格に関する選択を消費者物価指数で決定するケースが多い。公共サービス(電気/ガス/水道)の料金改定は、サービス提供側が、消費者物価指数と連動して価格を上げ下げする。例として、原油価格が下落しても電気料金が値上がりする理由の1つは、消費者物価指数に由来する。
12月の指数は衆院選後の政策是非を占う
11月の消費者物価指数総合指数は103.2%となり、前月比で0.4%で下落と微減した。10月の数値と比べると、インフレ傾向も足踏みしており、アベノミクス政策の膠着を示す結果となった。
12月の結果が注目に値する理由は、12月が一年で一番消費が高まる時期であり、ここで指数が伸びなければ、安倍政権にとって金融政策と財政政策を本格的に見なおす必要が出るからだ。
今年の3月には、地方統一選挙が開かれるので、有権者の判断材料ともなりやすい。
ぜひ1月30日(金)の結果に注目しよう。