コスモHDがキグナス石油と提携すると報道されています。
ところが、資本提携したにも関わらず、両者の具体的なシナジーが発揮される時期は3年後と遥か先の話。
M&Aは様子見には不向きで、一気に企業を変える、変わるために有効な手法です。ビジネスデューデリジェンスの無いM&Aは失敗に終わりやすくなります。
コスモHDとキグナス石油の株持ち合いには疑問符が付く
コスモHDがキグナス石油と提携し、コスモが近いうちに20%キグナス株を持ち、ガソリンを供給すると報道されています。
しかし、その供給時期は3年後が目処だということです。
本当にガソリン供給をするまで中身を変えてよいのか、当事者も判断しかねている状態なのでしょう。
ただし、この「3年後」の実質的な提携のために、今のうちに少数株を持ち合うのは、あまり好ましいことではありません。
なぜだと思われますか?
M&Aは企業活動を一気に変えるのに有効な手法
主導権をいずれかが取ることも結論がついていない場合に、こうした少数株を持ち、役員を1人派遣するなどして様子を見るということは、よく考えられることです。
M&Aは様子見には不向きで、一気に変える、変わるために有効な手法です。
普通に考えて、役員1人を派遣するといっても、月1回の取締役会に出るのがせいぜいです。
しかも20%ではその役員すら、派遣できないかもしれませんし、見れる様子にも限度があります。
更に、大企業同士で、役員1人が取締役会に出る程度で、大きく何かを変えることは相当難易度が高いでしょう。
様子を見るというのは、何かがわかっていないということです。
このような状態だと、統合後も、誰が、いつ、何を、どうやってやるのか、が見えていないケースが殆どとなります。
これがM&Aの典型的な失敗パターンです。
M&A後すぐ結果を出すにはビジネスDDが不可欠
M&Aによる提携後、一気に変えるために買い手企業は、対象相手の研究、つまりビジネスデューデリジェンス(精査)を行い、統合後すぐに、誰が、いつ、何を、どうやってやることで、提携の効果を生み出すのかを掴んでいなければなりません。
それができないなら、今はM&Aの時期ではありません。
M&Aの交渉も大変ですが、その後の経営はもっと大変です。
どこの企業もリソースは限られていますので、中途半端な様子見のための余裕はないはずです。
徹底的に考えた末の行動であればよいのですが、そうでない場合には失敗の可能性も高くなるはずです。