ドラッグストアをチェーン展開するツルハHDが、静岡県で78店舗のドラッグストアを運営する杏林堂を買収し、ドラッグストア業界で売上高首位に立ちました。M&Aによるドラッグストア業界の寡占化が進むと、それに伴い調剤薬局業界にも再編の余波が迫ります。調剤薬局業界は未だ過当競争が続いているからです。
ツルハがドラッグストア業界で売上高首位へ
ドラッグストアをチェーン展開するツルハホールディングスが、静岡県で78店舗のドラッグストアを運営する杏林堂を買収し、ドラッグストア業界で売上高首位に立ちました。
2016年度の合計売上高は6,665億円となり、「HAC」「welcia」ブランドを展開する、イオングループのウエルシアホールディングスを抜くことになります。
コンビニ業界がM&Aの繰り返しにより、セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンの3強になったのと同様に、ドラッグストア業界でも今後同じような再編が起こることが予想されます。
ドラッグストア業界に起こるM&Aの余波を受ける業界
ドラッグストア業界の再編がダイナミックに進んでいく時、余波により業界再編が進むであろう業界があります。
調剤薬局の業界です。
というのも、調剤薬局の店舗数は全国で約5.7万軒程度であるのに対して、業界トップシェアを誇るアインHDですら1,066店舗程度(2017年4月期末)を運営するに留まります。
トップシェアを誇る企業ですら全体の2%もシェアを取れておらず、調剤薬局の世界は、まだまだ零細経営から抜け出せていない業界です。
ここに当然目を付けているのがドラッグストアチェーンの各社です。
ドラッグストアを運営している企業は、調剤薬局もグループに持っていることがあります。
特に、ドラッグストア業界2位のウェルシアホールディングスは、既に調剤薬局(ウエルシア薬局株式会社)を併設したドラッグストアを1,000店舗以上保有しており、今後もその店舗数を増やしていこうとしています。
調剤薬局の業界でもM&Aが今後激しくなる
調剤薬局は場所が命のビジネスモデルであり、大きな病院のすぐ横にあれば売上が稼げます。
ただし、新規に病院が次々できるわけではありませんし、調剤薬局の事業承継の問題もあり、M&Aがもっとも激しい業界の1つでもあります。
実際に、M&A業界大手のM&Aキャピタルパートナーズは、調剤薬局を得意として上場企業になりました。
それでもなお、業界の再編が進んでいるとは言い難く、今回のドラッグストア業界再編は、調剤薬局の業界に更なるM&Aが起こるきっかけとなり得ます。
見慣れたドラッグストアのブランドを調剤薬局で頻繁に見かける日もそう遠くないかもしれません。