ペプシコが3,500億円を投じてソーダストリームを買収
ペプシコが、炭酸水を自分で作れるソーダメーカーのメーカーであるソーダストリームを買収すると報道されています。
日本でも炭酸水が身体に良いという触れ込みで、少しずつ広まりを見せています。
ちなみに、ペプシコによるソーダストリームの買収金額は、約3,500億円(約32億ドル)ということです。
同社の財務状況は、直近の決算期(2017年12月期)で、売上高は5億4,300万ドル(約597億円)、純利益7,400万ドル(約81億円)です。
ということは売上の6倍、利益の40倍以上の金額で買収されたわけです。
M&A取引で数値が「跳ねる」案件が発生する2つの理由
このように非常に高い金額のつくM&A取引を私は「跳ねる」案件、と呼んでいます。
このように数値が跳ねる理由はたった2つです。
- 1)買い手が相当な自信をもって、その投資額を回収してあまりあるビジネスの目算をもっている
- 2)買い手の勘違い
普通は1)なのでしょうが、実は私の目からは2)に映る取引も、かなりあります。
ペプシコはもちろん1)を狙っているのでしょうが、3,500億円を回収し、投資として成功させるには、近い将来1,000億円程度の税引前利益を出す必要があるでしょう。
ペプシコの販路をつかって、それを実現するのでしょうか。
あるいは、この会社が順調に伸びた場合、ペプシコの売上や利益を圧迫する可能性があり、その目をはやめに積んだ可能性もゼロではありません。
対象会社のポテンシャルがなければ実現しない話
いずれにしても今の段階では、それだけ買収金額が跳ねる理由がペプシコにはあったはずです。
このような跳ねる案件になるためには、時期や経済環境に加え、対象会社に相当なポテンシャルがなければいけません。
現実的な問題として、そんな会社はほとんどないのです。
したがって、こうした取引についての情報を入手することはよいのですが、表面的な結果だけを見て、自分の会社も跳ねる値段で売れるはずだ、と思い込んでも、その思い込みが実現することはほとんどありません。
これがM&Aの現場における現実です。
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