日本一社員が幸せな会社と言われているのは、読者の皆さんもご存知の未来工業です。なんで未来工業さんはこんなことができるのか?中小零細企業はどうしたら未来工業のように良い会社が作れるのか?ということをキミアキ先生が解説してくださいます。
日本一社員がしあわせな会社・未来工業とは?
やはり10年以上、経営に携わっていても、理想の会社というのはいったいどうやって作れば良いんだろう…というくらい、「理想」がだんだん……無くなってくるんですよね(笑)
そこで今日は、一去年亡くなられた未来工業の山田社長の、「日本一社員がしあわせな会社のヘンな”きまり”」という本にもある、山田社長の未来工業さんの話を、理想の会社として取り上げてみたいと思います。
何やってる会社なの?未来工業ってなんなの?というと、電気設備やガス設備の部品を作っている会社さんです。
未来工業さんが、「なぜ日本一社員がしあわせ」と言われる会社さんかというと、
- タイムカードなし
- 残業無し
- 年140日休み
- 育休3年
- 定年70歳
- 給料は年功序列
- 全員正社員
- 報連相禁止
- 制服なし
というホワイトな社風が上げられます。
そこでここからは、なんで未来工業さんはこんなことができるのか?私達はどうしたら真似が出来るのか?ということを、考えてみたいと思います。
未来工業の凄いところ:社員に考えさせる社風
未来工業さんの凄いところは、経営者が現場まで見に行って、「職人さんたちが不自由して無いかな」って常に見ているんですね。
要するに現場で職人さんたちが電気設備の部品とかを取り付ける時に、少しでも不具合が有れば、それを直して改良していくっていうことをしている。
これは会社文化として共有されていて、「社風」が良いわけですよ。ですから、常に色んなことを変化させることが出来ます。
それを表すように、未来工業の社是はズバリ「常に考える」です。
この「常に考える」というプレートが、会社に30枚も貼ってあるそうなんですよ。
未来工業さんは、従業員さんの数がだいたい連結で、1,100〜1,200人くらい居るそうなんですけれども、まぁグループでそれだけ社員が在籍して、「常に考える!」っていうプレートがいたるところに貼ってあると。
これは、文化として従業員さんにだいぶ浸透していくんじゃないかと思います。
本当に自ら考え自ら動くような、そういう文化のもとに従業員さんが働いているから、日本一のホワイト企業とまで言われるようになったんではないかと。
未来工業の凄いところ:凄い利益を出している
それからお金の話です。
山田社長の凄い所は、たった4千万円ぽっち儲からないのはナンデなの?と純粋に思っているところです。
これは10年くらい前まで、長者番付みたいなものが個人でも発表されていたように、法人でも実は高額納税みたいな感じで、申告所得が4千万円以上の法人は発表されていたんです。
4千万円以上の利益をあげている会社さんが、日本にだいたい8万社くらいありまして、当時は本にCD−ROMが付いた状態で販売されていたんですよ。
この8万社というのが、日本の企業全体で何%にあたるかというと、わずか3%なんです。
つまりわずか3%しか4千万円ぽっちも儲けられない。何やってんだ??って。
山田社長はもともと劇団員なんですよ。
劇団員が会社を始めて、現場の職人さんたちが喜ぶような電気設備の色んなものを開発して、そして提供していったら、今どれくらい儲かっているのかっていうと、未来工業さんの粗利益っていうのは130億円あります。
そして、私は粗利の20%の純利益を出すやり方っていうのは、非常に簡単だといつも考えています。
ところが未来工業さんの純利益は、売上総利益に対して50%超えているんですね。(平成27年期末決算時点)
未来工業の凄いところ:従業員が自発的に働く
営業職なんかも、いかにも未来工業の文化が出ているところでして。
実際に、営業職にノルマなんてかけてもしようがないと考えて、自由にやらせて、尚且つ現場へ行かせて、情報をとにかく集めてこさせます。
ですから、営業職が普通に現場に行ったりするわけですね。
そして職人さんたちの動きを見ていて、うちの設備、部品とかがどういう風につけられているか、つけにくい所があればすぐに改良して、次の新製品として出して行く。というサイクルが出来上がっています。
営業は情報収集職であるっていうことを徹底しているのですが、これこそが本当の「売らない営業」で、現場の人たちが喜ぶものを提供していれば、そりゃぁ売れるよぉ〜!って話ですね。
生産ラインなんかも、生産管理の部署があるんじゃなくて、普通に製造の人たちが「こうやった方が良いんじゃねぇの」みたいな感じで改良できるんですよ。
そして、自分たちで良かれと思ってやってみて、上手くいかなかったら、元に戻せばいいじゃんっていう感じで、本当にシンプルなんですね。
こういうシンプルな考えの山田社長のイズムは、皆さんも既に感じられると思いますけれども、従業員さんを使うんじゃなくて、従業員さんに心から働いてもらうというものです。
こういう人に騙されますよね(笑)
事業者というか経営者の理想とする社長像であって、社長が人を使うんじゃなくて、そこで働く従業員さんに自ら喜んで働いてもらう。
まさにこれが、未来工業の真の強みなのだろうと思います。
ホワイト企業を作りたければ社員を信じること
じゃあ、普通の中小企業で、従業員さんに対して最もホワイト企業と言われている、未来工業さんのマネが出来ないものかなぁ?と私なりにも考えてみました。
実際に弊社の実態を未来工業さんと比較してみました。
- タイムカードなし:なし
- 残業無し:したい人はして、したくない人はしない
- 年140日休み:ちょっと少ないくらい
- 育休3年:私はここが難しいんじゃないかと思いました。育休3年にするには、業務を分散しないといけないので従業員さんの数をかなり抱えないとキツいかなと。でもクラウド使えば出来ないことは無いよな…と思います。
- 定年70歳:これは可能です
- 給料は年功序列:これもできるけれども、若い衆たちが納得するかな?
- 全員正社員:これもやろうと思えば可能
- 報連相禁止:これは現状うちもほとんど無いです。実際、絶対あげてほしい報連相はミスが起こったとき、それからクレームがあった時ですね。それだけ把握をしていれば大丈夫かなと。
- 制服なし:無し
ということで、同じことをやろうと思えば、実はそれほど高いハードルは無いと思います。
私の会社の場合は育休3年が、ちょっとここがキツいかなぁというだけで、多分皆さんも自分の会社と比べてみて、そんなめちゃめちゃ凄いことでも無いな、ということを感じられると思うんですよ。
山田社長がやったことというのは、とにかく従業員さんを信じて、自分たちでまず動いてみようと。上手くいかなかったら元に戻せば良いじゃないかと。
これが根本にあれば、中小零細でも未来工業のような企業は意外と作れる可能性があります。
こういう文化づくりですからね。
非常に参考になるのではないでしょうか。