給与デジタル払いの影響は?デメリットとメリットを紹介。

【デジタル給与決済】の中小企業への影響 経営

みなさんこんにちは。組織活性化プロデューサーの南本です。

 

日経新聞が大きく報じ、まだ法制化はされていませんが、デジタル給与決済が解禁される予定です。

それが中小企業にどんな影響を与えるかを私なりに考察してみました。

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デジタル給与支払いとは

これまでの給与振り込みでは銀行口座を開設し、その銀行口座に給与の振り込みをしていました。

 

それに対して、今回話題になっているデジタル給与支払いとは、銀行口座を介さずに資金移動業者が提供するスマホ決済、プリペイドカード、電子マネーなどのデジタルマネーで給与の振込をできるようにする支払い方法です。

 

今まで銀行口座に振り込みしないといけなかったものが、スマホの中にあるPaypayやLINE Pay、au PAYなどを通じて、給与が一瞬で数字上資金移動できるようになります。

 

消費者も銀行の口座から現金を引き出す作業は一切いらなくなるというのがこの大改革です。

 

とはいえ、現金しか対応してないお店がたくさんありますので、月1回以上現金で引き出せる仕組みが用意されています。

 

まだ課題が残っているので、2021年4月にスタートする予定が少し遅れています。

 

しかし菅政権はデジタル化に政府の威信をかけてやっていくと思うので解禁される可能性が高いです。

 

給与を企業から銀行に振り込むことは大変で、例えばメガバンクでも地方銀行でも第二地銀でも信用金庫でもゆうちょ銀行でも振り込む側の企業が手数料をとられます。

 

また個人は給与支払日にATMに並ぶ必要があります。

 

一方でデジタル給与は企業がいきなり個人の財布に資金を移動してすぐに使えるようにすることが可能になります。

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デジタル給与決済の課題

デジタル給与決済には便利なことはたくさんありますが、課題もあります

労働基準法を第24条「賃金支払いの5原則」

労働基準法を第24条の「賃金支払いの5原則」というものがあり、月に1回以上現金で直接本人に毎月一定の期日を定めて、定期的に支払わなければならないといった原則があります。

 

ただし今は例外的に厚生労働省の省令で銀行口座に振り込むのはOKだということになっています。

 

これにデジタルマネーを資金移動業者経由で資金移動してもよいという省令改正の議論をしています。

 

セキュリティ+個人情報保護

2つめの課題はタイミングの悪いことにNTTドコモの電子マネー決済サービス「ドコモ口座」を利用した不正な預金引き出しなどの個人情報の流出といった問題があり、セキュリティや個人情報保護に非常に慎重になっているために若干遅れているということです。

 

どちらにしてもワンタイムパスワードという都度都度パスワードを承認して使えるような仕組みを活用していくのではないかと言われています。

 

資金移動業者(サービス事業者)が破綻した場合の保全

銀行の場合、破綻したとしても個人口座の1000万円までは保全されると法律で約束されていますが、au PAYやPaypay、LINE Payなどの資金移動業者が破綻した場合の保全をどうするかについて今議論されているところです。

 

日本はデジタル化が遅れていたり、連合などの労働組合や銀行も反対したりと課題はたくさん残っていますが、前向きに進めて欲しいと私は思います。

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デジタル給与決済のメリット

会社のメリット① 振込手数料がかからない

先ほど上げたように銀行に振り込むのに振込手数料がかかりますが、デジタル給与決済では必要ありません。

 

会社のメリット② 給与の3営業日前の制約なし

銀行の他行振込の場合、全銀システムというのを使うので、給与の3営業日前に振り込まないと相手に届かないため、早めに給与計算を処理する必要があります。

 

デジタル給与決済では直接「個人の財布」に届くので、給与計算の日数を管理する必要が全くなくなります。

 

労働者のメリット① 給与日に銀行に並ばなくていい

労働者のメリットとしては銀行のATMに並ばなくていいですし、時間外に引き出す100円、200円という手数料を引かれることもありません。

 

労働者のメリット② キャッシュレスで便利・楽

キャッシュレスなので便利で楽になっていきます。

 

労働者のメリット③ 日払い・外国人労働者の即時受け取り

日払い、日当払いは現金で払うことが結構多いのですが、そのために現金を用意しないといけません。

 

デジタル給与決済では日当を楽に資金移動することができます。

 

外国人労働者は日本で銀行口座を持ちにくいという環境がありますが、デジタル給与決済であれば、外国人労働者でもすぐにコンビニなどで食料品を買えたりするのでメリットがあります。

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今後の落としどころ(妄想)

政府がデジタル化を急いでいるので早い段階でスタート

銀行業界や労働組合などデジタル給与決済をよしとしない団体もあるようですが、デジタル化は菅政権の目玉なので、確信はありませんがこれは今年の早い段階で実現すると思います

 

金額上限付きでデジタル給与解禁

例えば10万円までなど金額の上限付きや、日雇いや外国人労働者はOKといった条件付きの形でデジタル給与決済ができるようになるのではないかと思います。

 

銀行はすぐに口座離れは起こらないが手数料ビジネスの限界

銀行はすぐに口座離れは起こらなくて、短期的には銀行振込が少し減るかもしれないけど、中長期的には銀行振込も残っていくのではないかと思います。

 

やはり安定して、安全な資産管理の口座として銀行口座は残ると思いますが、少額の振込でも振込手数料を取るようなことはなくなると思います。

 

資金移動業者の選別淘汰

現在はPaypayやau PAY、LINE Payなど資金移動業者がたくさんありますが、いずれは資金力や保全力、しっかりとした運用力があるような会社がくっついて淘汰されていくのではないかと思います。

 

MFやFreee等の切替が有益

マネーフォワードやFreee等のクラウド会計は銀行やカード会社などの企業と連携をする仕組みがものすごく強いので、Paypayなどの資金移動業者とも連携していくと思います。

 

マネーフォワードやFreee等のクラウド会計ソフトであれば、自動的にシステムで個人のウォレット(財布)に資金移動できるような仕組みをたぶん無料で提供するのではないかと思うので、これからは会計ソフトや給与計算ソフトがとても重要になってきます。

 

中小企業の社長は先見性を持って従来型の給与計算ソフトや経理ソフトを使っている場合ではないことを認識して自社の仕組みを変えていくことがあなたの会社の生きる道だと思います。

 
経営
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南本 静志

和歌山生まれ。株式会社紀陽銀行入行。銀行業務を2年程度経験後、システム部へ異動。

システムエンジニアとして銀行オンラインシステムや情報系のマーケティングシステムの構築で活躍する。

30歳代の後半には日本ユニシスに出向し、金融機関向けCRMマーケティングシステムの業務設計のリーダーを任される。その後、コンサルタントとして独立、現在は東京千代田区で経営コンサルティング会社と社会保険労務士事務所を設立し、代表に就任。

中小企業診断士及び社員を持つ経営者としての立場で、幹部社員(部長、課長、係長等)を次期役員に昇格させるようなマネジメント系の人材育成プログラムに強みを発揮している。また、初級管理職(主任や中堅リーダー)に対するモチベーション研修や自己発見研修も得意。

アールイープロデュース 

適性検査Cubic(キュービック)

東京中央社会保険労務士事務所

東京中央給与計算センター

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