SWOT分析とは、自社(自分)について、強み(Strength)、弱み(Weakness)、チャンスや機会(Opportunity)、マイナスや脅威(Threat)が何なのかを分析するものです。自己と外部の要因を客観的に捉え、気づきを得ることは、良い進路を歩む上でとても重要です。本稿では、商店街の青果店を例にあげて、具体的にSWOT分析をやってみます。
SWOT分析は4つの視点で構成される自己の分析方法
私は、回数はそんなに多くはないのですが、ある大学で非常勤講師として授業を行っています。
その際に、さまざまな小売店の事例をもとに、簡単なSWOT分析を行ってもらっています。
今更?と思われる方もいらっしゃることですが、SWOT分析は、店や企業が今後の事業戦略を考える場合、これから起業をする場合にとても有効な手法であり、重要なものです。
SWOT分析とは、自社(自分)について、
- 強み(Strength)
- 弱み(Weakness)
- チャンスや機会(Opportunity)
- マイナスや脅威(Threat)
となるのが何なのかを、上記にあげた4つの視点から分析するもので、頭文字をとってSWOT分析と言われています。
私の授業を受けている学生には、社会人としての自分の進路を検討する際に、活かして欲しいと薦めています。
商店街の青果店でSWOT分析をやってみよう
今までSWOT分析をやったことがないという方は、次の青果店の事例を使って、実際にやってみてください。
以下にあげる項目が、強みか、弱みか、機会か、脅威か、それぞれ振り分けてみましょう。
1)N青果店は、35店からなる商店街の一角で、野菜と果物を中心に、漬物や缶詰、調味料などを販売している。
2)店の広さは12坪で、駐車場はない。
3)従業員は雇わずに夫婦2人でやっている。
4)30年前に当地で創業し、一時は年商5,500万円までいったことがあるが、その後売上は減少し続けている。
5)特に当店から500mのところに大型スーパーができてから売上の減少が著しく、現在の年商は2,500万円まで落ち込んでいる。
6)店の2階が住まいになっており、住宅ローンの支払いはもう済んでいるので、なんとか生活できているが、家賃を払うスタイルだと、この売上ではやっていけない状態である。
7)野菜や果物は毎朝市場に行って仕入れており、特に品質にこだわって良いものを仕入れるようにしている。
8)売れ残って古くなった野菜を使って、妻が自家製の漬物を作っており、根強い人気商品となっている。
9)商店街の周辺はマンションなどが続々出来ており、新住民が多くなってきているが、商店街で買物する客は高齢者が多く、当店の客も高齢者が多い。
10)当店独自の販売促進はやっていないが、商店街でポイントカード事業をやっており、当店もこれに加盟している。
11)当店がある商店街は、鉄道の駅から歩いて20分ほどの住宅地の中にあり、最盛期には50店以上の店があった。
12)生鮮三品の店が揃っていたが、10年ほど前に鮮魚店が撤退し、それ以来商店街の集客力が大きく落ち込んでいる。
13)商店街の周辺にはまだ、畑がけっこう残っている。
14)店主は60歳、妻は58歳であり、まだまだ元気に店をやっている。
15)一人息子が大学3年であり、店主は当店を継いで欲しいを思っているが、今のような売上ではとても店を継いで欲しいとは言えない。
事例は以上です。
さあ、以下のマトリックスの強み、弱み、機会、脅威を記入してみてください。
学生たちには授業で10分程度でやってもらっています。
SWOT分析は経営者に気づきを与える手段
SWOT分析によってあぶり出されたマトリックスでは、「これが正解」という答えはありません。
今回の事例から、あぶり出した私のSWOT分析は以下のものとなります。
SWOT分析は、私達が外部要因や内部要因について整理し、気づきを与える貴重な手段です。
簡単に行えるので、一度時間を作って、自社の強み、弱み、機会、脅威をあぶり出してみませんか?
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