驚安の殿堂・ドンキホーテに行くといつも流れる「ドン ドン ドン ドンキー ドン・キホーテ♪」のミュージック。この音楽は消費者にどんな行動を促すものなのでしょうか?今日は、ドン・キホーテのテーマから、商売における音楽の活かし方について考えてみましょう。
ドン・キホーテのテーマから音楽の活かし方を学ぼう
ディスカウントショップのドン・キホーテに流れるあの歌、何と歌っているか覚えている方はいらっしゃいますか?
多分、殆どの方は「ドン ドン ドン ドンキー ドン・キホーテ♪」の部分しか覚えてないことでしょう。
それでも、あの歌を聴いているとワクワクして買い物したくなる方は多いのではないでしょうか?
今日は、ドン・キホーテのテーマから、商売における音楽の活かし方について考えてみましょう。
同じ言葉の連呼は単純接触効果を生み出す
まずは、一度歌詞をじっくり見てみましょう。
思い立ったらいつだって ドンキホーテで待ち合わせ
ドカンとあふれる 夢を買いましょ
気分は宝探しだねドン ドン ドン ドンキー ドン・キホーテ
ボリューム満点 激安ジャングル
ドン ドン ドン ドンキー ドン・キホーテ
何でもそろって 便利なお店 ドン・キホーテ早い者勝ち パラダイス
ドンキめぐりは クセになる
衝動的でも 得したね
今夜は ナニがあるのかなードン ドン ドン ドンキー ドン・キホーテ
いつでも満足 不思議なジャングル
ドン ドン ドン ドンキー ドン・キホーテ
真夜中過ぎても 楽しいお店 ドン・キホーテドン ドン ドン ドンキー ドン・キホーテ
ボリューム満点 激安ジャングル
ドン ドン ドン ドンキー ドン・キホーテ
何でもそろって 便利なお店 ドン・キホーテ
いかがでしょうか?
「ドカンとあふれる 夢を買いましょ」「衝動的でも 得したね」など、顧客の消費行動に訴える歌詞がそこかしこに流れていますよね。
それ以上に音楽を商売に活かす上で有効となるなのが、同じ言葉の繰り返しです。
歌詞の中で「ドン ドン ドン ドンキー ドン・キホーテ」という言葉が6回も繰り返されていますが、これは単純接触効果を消費者に生み出し、消費につなげる効果を持ちます。
単純接触効果とは、何度も同じものを見たり聞いたりすることで、人はその対象物に対して、警戒心を持たなくなり、好意的になる効果です。
キノコを生産するホクトの「きのこの唄」、スーパーの魚コーナーで流れる「おさかな天国」も、音楽の繰り返しを活用して、商品に対する接触効果を生み出した好例と言えます。
速いテンポはリスクを取らせ過剰投資を促す
次に、ドン・キホーテのテーマは、4拍子で速いテンポを保って、エンドレスで店内に流れます。
人は速いテンポの音楽が流れる場所にいると、普段は避けるリスクのある選択肢を選んだり、過剰投資をしやすいことも、実験の結果としてわかっています。
クラブで流れるエレクトロミュージックは128bpmを基本としますが、これは一般的なバラードの90bpm以下と比較して非常に速いテンポです。
クラブでは、普段女性に声をかけられない男性が、ここぞとばかりにリスクを取ってナンパをしかける光景が見られます。
これも、音楽の早いテンポが人にリスクを取らせる一つの例と言えるでしょう。
パチンコ店でよく流れていた軍艦マーチにも、同じ効果があると言われています。
このように、店内に流す音楽のテンポをアップテンポにすると、人は行動的になることがわかっています。
逆にテンポの遅い音楽を流すと、顧客の行動はゆっくりとなり、店舗滞在時間が長くなることで、1回あたりの買い物量が増えることもわかっています。
歌を作ったのは人心を知る女性マーケッター
今日はドン・キホーテのテーマに仕掛けられた、消費行動を活発にするための2つの仕掛けをご紹介しました。
ちなみに、ドン・キホーテで流れる歌は「ミラクルショッピング ~ドン・キホーテのテーマ~」と言い、ミュージシャンからドン・キホーテにアルバイトで入り、後に社員となられた田中マイミさんという方が作られたものです。
田中さんは、ドン・キホーテの売り場代名詞と言える、ジャングル風のディスプレイを考案した方でもあります。
人の心理を熟知したマーケッターの仕掛けが、同社の躍進を支えているのですね!
Photo credit: tsuda via VisualHunt.com / CC BY-SA