「うちの給料安すぎ!俺ただの社畜じゃん、てかうちの社長クソ(笑)」今日の夜も居酒屋では、中小零細企業の社員が安月給談義に花を咲かせます。
家族経営、管理職の配置、業種業態、人材採用の観点から、キミアキ先生が中小零細企業が安月給な本当の理由についてズバッと解説してくださいます。
中小零細企業だから給料が安いというわけではない
本日は、「中小零細企業が安月給な本当の理由」というのを改善策も含めましてお話していきます。
中小零細企業は大企業に比べて、もともと資本力が全然無いですから、動かす金額も戦い方も違いますし、生み出す利益も違うわけです。
うちのお客様ですと、平均年収が5千万円くらいの会社もあります。これ、決して安月給では無いですよね。
中小企業に給料が安い会社が多い理由を以下、順番に見ていきましょう!
中小零細企業の給料が安い理由1:家族経営で身内入れすぎ
っていうのを純粋に考えてみると、家族経営をしているような会社だと、自分達の稼ぎが家族に搾取されて…というパターンが思い浮ぶのではないでしょうか?
これは実際に無いとは言い切れません。
というのも、開業するときにご夫婦で2人で始められたっていう会社が結構あります。夫婦2人の時は良いんですよ。
ところが、行き場の無い子どもたちも会社の中に入れないといけないとか、そういうのが段々増えていくと、一般社員さんが搾取されているっていう部分が無いとは言い切れなくなってきます。
ハッキリ言えば、先代さんの能力を超える2代目さんがほとんどいないのが問題なんです。親父超えを果たす2代目さんって10人中1人いれば良い方ですから。
それくらい先代さんのパワーが凄いわけですから、そのお子さんたちは総じて先代さんより能力が低いっていうのが普通なんですね。
そういう家族を全部会社が養わねばならないとなると、やはり一般社員さんの方にシワ寄せが来るっていうのはね、これは無いとは言い切れません。
放おって置くと、いつのまにか優秀な社員ほど会社からいなくなって、あとに残るのはぐうたら身内と出来ない社員っていう現象、よくみかけませんか?
中小零細企業の給料が安い理由2:社長が管理職作りすぎ
あとは居酒屋での愚痴みたいになってしまいますが、「ウチの社長分かってねぇ〜からな〜」みたいな気持ちを抱いている社員さんも多いと思います。
居酒屋で横耳立てて聴いていると、中小零細企業の社員ぽい人達がいる。そのうち酔っぱらいはじめるんですけど、もう止まりませんよ。
「うちの給料安すぎ!残業代もでないし!まじクソ会社だな。課長はクソで出来ないやつだし、そもそもうちの社長頭悪いんだよ!」
みたいなね。
社長がバカだから、自分たちの給料が安いんだと。
これ、これはですね〜、多分…99%以上の確率で正しいです。むしろ、これが1番かなという気がしています。
でも!社長さんの方にしても、
「いやいや、お前たちがおバカっちょだからだ!単純作業しか出来ないし!」
「難しい仕事からはいつも逃げて回るし!」
「お前らがそんなに凄いんだったら、よその会社行って大活躍してくれや!」
という感じで、言い分はあるわけです。社員がバカだから安月給なんだと。
本当に一番悪いのは社長
それで、これは私の持論ですが、安月給からの脱却を考えたときに誰が一番悪いかというと、本当に一番悪いのは社長なんです。
何が悪いかというと、社長さんって人数が増えてくると、社長が頂点の縦組織で「組織図」みたいなものを作りたがるんですね。
組織図のために、『営業1課』!『営業2課』!!『営業3課』!!!みたいなのを作りたがるんですが、結局のところ管理職の数が多くなってしまうだけの場合がほとんどです。
やっぱり、経営者って歴史が大好きな人が多くて、結局何がしたいかというと、一軍を率いて一戦交えたいんでしょうね。
「自分もあの時代に生きていたら絶対天下取れるし!」
みたいな気持ちなわけです。
「俺だったら一軍率いて一戦交えて一国一城の主になってたよ〜!」
みたいな。領国を広げて支城を作って、家臣を支城の城代にしたがるんですよ。
無駄な組織と管理職を誕生させる
気持ちはわかるんですけれど、これが行き過ぎて無能な管理職が増え、結局無駄な組織図が出来上がってしまう。
なんならいっそのこと、粗利益1億円ごとに管理職1名で良いじゃないですか。これをやっておけば、安月給にはならんのですよ。
1人あたり粗利益だいたい1千万で計算しますから、1億円で10人ですね。
ですから10人の長を1人置くと。これより管理職を増やさないんです。
安月給の中小零細企業を作らないためには、管理職だらけの組織を作らないで、これくらいにしておくのが1番良いんです。
中小零細企業の給料が安い理由3:そもそも安月給になる業種を選んでいる
それから安月給にならないために大前提となるのが、社員さんがどれくらいの付加価値を生み出すかっていう原点に戻る作業です。
ですから、安月給から脱却するには、付加価値を上げるということも作戦のひとつなんですよ。
付加価値とは粗利益のことなんですけれども、TKC経営指標BAST(バスト)で速報値がすぐに見られまして、これは業種、それから職種によって粗利益率が全然違うんです。
うどん屋さん、そば屋さん…可哀想にね〜1人あたりの限界利益が30万です。
労働分配するとだいたい50%ですね。
ですから社員1人あたりが生み出す付加価値は、粗利益が月に30万円しかないので、給料は15万円が限界です。
ところが設備産業の方を見てみると、かなり付加価値が高かったりします。
産業廃棄物処分業は、1人あたりの限界利益がおよそ月間で100万円です。つまり、産業廃棄物処分業だと、1人あたりの付加価値が100万円あります。
産業廃棄物処理業は設備産業であるため利益分配で労働に5割は払えないとして、4割の支払と仮定しても40万円くらい払えるわけですよ。
そば屋さんでどんなに働いても15万円くらいにしかならないのに、産業廃棄物の方に行けば40万円くらいもらえるんです。
安月給からいつまでも脱却できずに社員が疲弊しているなら、「俺の選んだ業種って正しいのかな?」って振り返ってみるのはいかがでしょう?
中小零細企業の給料が安い理由4:安易に人を雇うクセがある
これらを踏まえて、私は社長さんが社員さんを雇う時にいつも「手が足りないからという理由で社員さんを雇わないで下さい。」って必ず言っています。
不明確な採用戦略
「そもそもどういう人を採用したいのか?」っていう思想がそういう社長さんには無いんです。
でも、社員さんっていうのはいざ雇うと、とってもお金がかかります。
社員さん1人の予算でベンツのSクラスを1台買えます。社員さん2人の予算でランボルギーニ、フェラーリ買えますからね。
絶対信じないでしょう?でも、これ本当ですからね(笑)
最新の機械を入れるのくらい、正社員さん1人雇うのに比べたら大したことないでしょう?
それくらい正社員さん雇うのは高いわけですから、「そもそもどういう人を採用したいのか?」についてしっかり思想を持ちましょう。
付加価値に対する理解が必要
そして、正社員さんを入れる前に必ず付加価値のことを教えてあげてください。
「あなたは我が社に来て、どういう付加価値を上げることが出来ますか?」って質問しましょう。
事務職で来る人は、まずそんなことは分からない。
「え?何をやれば良いんですか?」って。つまり事務はほとんど付加価値を生むことは無いんです。
ですから会社の中でも給料が高いところはどこかって言ったら、結局は営業と開発と製造ですよ。ここが付加価値を実際生み出しているわけですからね。
だから事務職は営業さんとかに比べたら、給料が10万円くらい安くなります。
こういう付加価値のことを教えていないと、自分の付加価値は無いのに、安月給だ〜安月給だ…って悩んじゃうんですよね。
ですから必ず、入社する前に付加価値のことを社員さんに教えてあげてくださいね。