大企業に組織の病があるように、中小零細企業でも社長が中小零細ゆえに抱える特有の病があります。
病の特徴は、他者不振、振り回される、目先没頭、振り回し、リスク回避、という5つの型にわけられ、業績の悪い企業の経営者はたいていいずれかのパターンで病を抱えています。
どうすればこれらの病から回復できるのか?名著『うちの社長は なぜ「ああ」なのか』をヒントにキミアキ先生に解説していただきました。
隠れ名著『うちの社長は なぜ「ああ」なのか』
読者の皆さんは、『うちの社長は なぜ「ああ」なのか』という本をご存知でしょうか。
2008年の12月に出された本なんですが、うちの会計事務所界隈でも流行りましてね、この本多くの社長が変わっていったんですよ。
といいますのも、当時この本を書かれた石原明さんというコンサルタントは当時、かなり昇り調子でして、我々も「石原明さんみたいになりたいよな〜!」みたいな感じで憧れの的だったんですね。
それで、この本を読んで内容を実践した社長さん達が変わったんですよ。
そんなこともあって、今回は石原明さんが書かれた著書『うちの社長は なぜ「ああ」なのか』についてお話しようと思います。
当時の石原さんは、
「中小企業もどんどん大きくしていなかきゃダメなんだぞ!」
っていう考え方で、押しに押しまくっていた方でした。
なので本の内容も、
「中小企業が発展できないのは社長!あなたの性格がストッパーになってるんです!!」
っていうものなんですよ。
この本の後ろのページには、アンケートのようになった 一種の自己診断テストのようなものがあります。
これをやるとハッキリ分かるのは、石原明さんは社長を5つのパターンに分けているんです。
あまりに大雑把すぎますでしょ?ところがこれが大体当てはまるんですよ。
以下、5つのパターンをご紹介していきますね。
中小零細企業の経営者が抱えている5つの病
他者不信型社長
まず1番最初が、「他者不信型社長」です。
自分が創業者で、自分が集めたメンバーだったら信用できますけれど、先代から譲ってもらった人達がまた言うことを聞かんのですよ。
「なんで俺達が”若”のいうことなんか聞かなきゃいけないんだっ。うちらは先代に雇われたんだ、若に雇われたんじゃねぇ!」とかねいう感じでね(笑)。
みんな言い分があるんですが、石原さんは言うんです。やはりそこに必要なのは”愛”だと(笑)。
確かにそれ以外に無いし、信じてほしいなら最後は、やはり会社の経理をオープンにするってことになるんじゃないでしょうか。
会社の経理をオープンにすることによって、かなり歩み寄りができますからね、そういう対策もあります。
振り回され型社長
それから2番目が「振り回され型社長」です。
みんなの意見を「うんうん」って聞いて社員の評判は良いんだけれども、業績がちっとも良くないんですね。
振り回され型社長というのは意外と物分かりが良いタイプなんですよ。
ですから社員さんの言うことを聞きながら経営するとかね。これ危険ですからね!
社員さんの言うことを聞いて経営したら、中小零細企業はまず潰れます!
うちのお客様は実はこの自己診断テストで「自分は振り回され型社長だ」ということを自覚されたらしく、石原さんのアドバイス通り、その後格闘技に走りました(笑)。
キックボクシングを始めましてね、それで今も元気に会社は続いております。
やはり、これで変わった社長もいらっしゃるわけですよね。
目先没頭型社長
3番目は「目先没頭型社長」です。
まず仕事は無いし、目先の仕事が欲しい!月末のお金も無い!だからとにかく仕事を回さなきゃいけない!
取れる仕事はなんでも取る!利益率はあまり関係無い!!粗利益の額も関係無い!!!
とにかく取れる仕事は取ると。実は我々が会計事務所を開業した時もこれやりました。
開業3年は年間休日が7日、朝の9時から夜の9時まで12時間営業(笑)。
夫婦2人でやっていたころはそういう事もできたんですが、やはり従業員さんを雇うようになったら安い金額で仕事を取っちゃいけないと思うようになりました。
石原さんはこの型の社長については、一旦仕事を忘れろよって言ってます。
確かに我々も出産というのが機になって休みを取るようになって、ちょっと仕事から遠ざかろうという事で、むしろ仕組みを作ったり、より高い粗利益をもらうには何をした方が良いのかなっていうのを本気で考え始めた事があります。
振り回し型社長
4番目は「振り回し型社長」です。
もう〜、中小零細企業に抜群に多いですね(笑)。腕っぷしが強くって現場に行くと部下を振り回しまくるっていう。
これは、私自身も型にはまった振り回し型社長でございましてね、解決策としてはとにかく部下に任せて、部下にマネジメントしてもらうしかないんです。
つまり自分では何もやらない。もっと言えば現場へ行かないべきなんですよ!
現場に行くと口出ししたくなるんでね、「行かない!」って決めちゃうんです。
現場に行かなくするためには、それだけ能力の比較的高い従業員さんを採用して、それとな〜く継続契約していればなんとかなる!と。
リスク回避型社長
最後の5番目は「リスク回避型社長」です。
この手の社長はとにかく経費を使わない!投資をしない!なんですよ。
ところが、リスク回避型社長は絶対にお金を使わないです。なんだかんだ理屈を付けて、お金を使わない(笑)。
お金を使わなくても黒字経営なら、それで良いんです。
ところが得てして赤字で1番お金かかるのが何かと言ったら、やっぱり従業員さんなんですね。特に正社員さんなんです。
ですから正社員さんは雇えません。正社員さんを雇えない状態ですから基本的に家族経営になる。
家族の中でしかやれない、別にそれでも良いんですよ?。経費をそれだけ節約して黒字だせばね。
ところがそうやって経営しているにも関わらず、赤字経営っていうところが多いんですよね〜。
大企業に組織の病があるように中小零細企業にも社長の病がある
5つの社長のパターンにざっくりと分けた石原さんの理論なんですが、大企業には組織の病があるように、中小零細企業にも社長の病っていうのがあります。
今の5つのパターンにざっくり分けた社長においても、悪いところばっかりではないし、実際この本の凄かったところは、この本を読んだ後で実践した経営者の方がみんな変わったっていうことなんですよ。
ご興味がある方はぜひとも読んでみてはいかがでしょうか。