郵便受けに投函されるチラシの殆どはゴミ箱行きとなりますが、手作りの素朴なチラシであっても、ちゃんと読まれて集客につなげているケースも存在します。消費者は企業の独りよがりな宣伝文句に興味はありませんが、自分にとって有益な情報には興味があるのです。顧客視点を常に持ち、見た目より中味にこだわるチラシを作ってみませんか?
投函されるチラシの殆どはゴミ箱行きの運命
こんにちは。マーケティングコンサルタントの松尾です。
毎日、郵便受けに山ほど投げ込まれるチラシ。
あなたは、手に取って読む気になるものがありますか?
おそらく、ほとんどないと思います。
私もそうです。
私の住むマンションでは1階に各部屋の郵便受けが並んでいますが、ありがたいことに脇にゴミ箱が置いてあるので、わさわさと入っているチラシは、ガサっとつかんでそのままゴミ箱行きです。
それでもたまに部屋まで持っていってちゃんと読んでしまうチラシもあります。例えばこの「かわら版」です。近くのリフォーム会社が月1回発行しているもの。たぶん、パソコンの手づくりでしょう。
A3でプリントアウトして、社員さん達が一つ一つ2つ折りして営業エリアにポスティングしているものと思います。
手作りの素朴なチラシが消費者の心を掴む理由
かわら版の内容は、メインターゲットの主婦を意識したキッチン関連の話。たとえば旬の食彩というテーマで「ごぼう」について語り、楽しい食卓では「ちゃんちゃん焼き」が解説されています。次ページでは、窓の断熱化による寒さ対策&結露防止の話、さらに無料の「補修セミナー」というイベントの告知と続きます。
さて、この素朴な印象を与えるチラシは、大手がそれなりの予算をかけてプロに依頼して仕上げた美しいチラシよりもはるかに閲読率が高く、また反応率(今回は補修セミナーへの参加申し込み)も高いことは間違いありません。
なぜ、素朴なチラシのほうが、お金をかけた美しいチラシよりも成果が出るのでしょうか?
消費者はわかっているのです。きれいなチラシに書かれていることは、自社の売りたい商品の宣伝しかないことを。たまたま、その商品に興味があればともかく、そうでなければ企業の独りよがりな宣伝文句を読むヒマはないと、そのまま捨てるだけです。
一方、素朴なチラシには、消費者の多くが興味を持ちそうな話題が書かれている印象を与えます。実際、前述の「かわら版」では、主婦ならちょっと読んでみたい食卓の話が書かれています。また、窓の断熱化は、商品そのものの売り込みではなく、断熱化がどのようなメリットを与えてくれるかを解説しており、消費者にとっては知っておいて損はないことです。
要するに、きれいなチラシは企業本位の内容、素朴なチラシは顧客本位の内容になっているわけですね。消費者の立場からしたら、どちらが読みたくなるかは明白です。
顧客視点を常に持ち見た目より中味にこだわれ
不思議なことですが、企業の立場で経費をかけてチラシやパンフレットを制作するとき、どうしても自社商品の売り文句ばかりになってしまいがちです。顧客視点がすっぽり抜けてしまいがちなのです。
なまじっか、お金をかけるだけに、「すぐの売り上げにつなげなければ!」という気持ちが強くなってしまうからでしょう。
しかしながら、せっかく制作したものが読まれもせず捨てられてしまうのでは、お金をドブに捨てるようなものです。
チラシを手にした人が思わず読みたくなるようなテーマはなんなのか、見た目以上に中味にこだわることが、本来の目的である販売促進への近道です。