税務調査では売上に次いで原価計算にチェックが入る
先週、「税務署さんいらっしゃ~い☆売上で脱税を疑われるケースはこの3つだ!」という記事を寄稿しました。
税務調査で調査官がまず目をつけるのは売上ですが、これと同じくらい目をつけられるのが「原価」です。
中小企業では粉飾決算がよく行われていますが、売上と同じくらい数字のインパクトを与えられるのが、原価の部分だからです。
そこで本稿は、税務調査で「原価」についてツッコミを受けやすい4つのケースをご紹介します。
税務調査で「原価」についてツッコミを受けやすい4つのケース
1)原価計上に期ズレが生じている
例えば、3月決算の会社の場合、納品の遅れで売上を4月計上に変更したのにも関わらず、原価は請求書が3月付けになっていたので、そのまま3月に計上していたケースです。
税務署は、このような“期ズレ”を徹底的にチェックしてきますので、決算作業をする際には十分に注意が必要です。
2)現金払いによる原価の架空計上
税務調査では、原価の架空計上も大きなチェックポイントとしてチェックされます。
第一にチェックしてくるのが、“現金払い”の取引です。
たとえば、初日の経営者との打ち合わせの中で、「当社は、支払いはすべて振込みだよ!」ともし言い切っていたら、当然税務署は、“?”と思うはずです。
今の時代、確かに現金取引は少なくなっています。そんな時に、多額の現金支払いをしているとしたら、“どう考えても不自然である”という意識をもたれてしまいます。
よって、請求書、領収書はもちろんのこと、その取引が実在しているのかがわかるような資料を保管しておくことをお勧めいたします。
3)原価の支払時期が通常サイトと違う
また、「通常の支払いサイトと同様に支払っているのか?」という支払い時期についてもチェックしてきます。
例えば、原則として末締めの翌月末払いの場合にもかかわらず、違う時期に支払っている場合、「どうしてこの日に支払ったのか?」「誰がどのように支払ったのか?」を、調査官は必ずチェックしてきます。
さらに、この支払いが、スポット払いで決算時期に近い場合には、特に念入りに調べてくるので、支払った相手先に対しても反面調査が行くと思っていてください。
4)決算時期に未払い計上した原価
4つ目のチェックポイントは、決算時期に未払い計上した原価です。
これは、その取引が本当に存在して、正当な理由があって決算時期までに支払わなかったかを確認してきます。
当然ですが、普段出てこない支払先に対して未払いであった場合には、決算書を見ると相当目立ちますのでくれぐれもご注意ください。
調査官は怪しい数字の独特な“におい”に敏感
このような目線で、調査官は原価をくまなくチェックしてきます。
数字というものは、見る人が見れば、「なんとなくおかしい?」という独特な“におい”がするのです。
ややこしい話にならぬよう、上記3つのケースが税務調査前に把握できているのなら、相手へちゃんと筋道立てて説明できるよう、担当の税理士と事前の打ち合わせをしておくほうが良いでしょう。