帳簿書類の電子化が進んでいるため、多くの会社では、パソコン内、もしくはクラウド型の会計ソフトで数字を管理されていることでしょう。税務調査でも調査官が、パソコンのファイルや会計ソフトの管理画面を見たい、電子媒体で書類を提出して欲しい、と言ってくるケースが増えています。果たして応じる必要があるでしょうか?
税務調査で電子媒体の書類提出を求められたらどうする?
9月から12月は、個人・法人共に税務調査が一番入りやすいシーズンです。
さて、帳簿書類の電子化が進んでいるため、多くの会社では、パソコン内、もしくはクラウド型の会計ソフトで数字を管理されていることでしょう。
そのため税務調査でも調査官が、パソコンのファイルや会計ソフトの管理画面を見たい、電子媒体で書類を提出して欲しい、と言ってくるケースが増えています。
果たして私達は、この要求に応じる必要があるのでしょうか?
電子媒体による書類提出に応じる必要はない
結論から言うと、税務調査官にパソコンの画面を見せたり、電子媒体で書類を提出する必要はありません。
たしかに、税務調査官には質問検査権が与えられています。
また、正当な理由がないのに書類の提示・提出を拒んだり、虚偽の記載をした帳簿書類等を提示・提出した場合には、罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)が科されることがあります。
ただし国税庁は、提出を求める帳簿書類等が電磁的記録である場合、電磁的記録を調査担当者が確認し得る状態なら、提出についてはプリントアウトしたもので良いとしています。※
証拠の提示を求められた時に画面を見せる必要はありますが、提出する際には電子媒体提出する必要もありません。
また、税務調査官が持参したUSBなどへの記録保存を求めてくることもありますが、
(注) 提出いただいた電磁的記録については、調査終了後、確実に廃棄(消去)することとしています。※
というように、保管方法に関する基準は極めて不明瞭です。
「データが外部流出し、第三者によって悪用されれば、損害を被るおそれがあるため、保管・処分方法まで書類で明示していただけますか?」と言えばよいでしょう。
だいたい、税務調査官の要求はそこで止まります。
不用意な形でツッコミを受けないために事前チェックが必要
やましいことが何一つ無いため、パソコン画面を見せる方もたまにいらっしゃいますが、その場合でも画面操作は自分達でやるのが良いでしょう。
また、パソコン画面上に会計や契約に関連するフォルダも置いておかないことがベストです。
税務調査官は追徴課税の取っ掛かりとなる証拠を常に探しているからです。
税務調査の当日は喧嘩しても仕方がありませんから、あくまでも協力的な姿勢を見せるべきですが、不必要なツッコミを受けないよう注意しましょう。
※税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け):国税庁
https://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h24/nozeikankyo/ippan02.htm