「うちはワザと赤字にして税金を支払わないようにしているんだ。」「赤字だから税務調査なんて入らないよ。」とおっしゃる経営者の方をたまにお見かけ致しますが、赤字会社でも税務調査は毎年2万社に行われています。一度税務調査が入ると黒字会社と同じ項目で、反面調査を含めた厳しいチェックが入るため、ニセ赤字会社を運営するのは愚の骨頂です。
「赤字なら税務調査に入られない」は本当?
最新調査によると、日本企業の赤字率は66.7%、つまり日本企業が10社あれば約7社近くの会社が赤字というのが現状です。※
対して、法人に行なわれる税務調査の実調率は3%程度。※2
100社に3社が税務調査が入るわけですが、赤字の企業を経営している経営者で時々、「うちはワザと赤字にして税金を支払わないようにしているんだ。」という方がいらっしゃいます。
また、そのような方ほど「赤字だから税務調査なんて入らないよ。」とおっしゃる場合も。
実際のところ、赤字だから税務調査に入られないということはあるのでしょうか?
赤字企業にも年間2万社に税務調査が入ってる
結論から言うと、赤字会社にも税務調査は入ります。
最新の数字を見ると、赤字会社の実調率は1.8%程度となっており、約2万社の赤字会社に税務調査が入っていることが判明しています。※2
黒字会社の実調率が7.6%であることと比較すれば、その割合は小さく見えます。
しかし、実際には赤字会社の母数は黒字会社より大きい(赤字約200万社/黒字約90万社)ですから、先述の赤字経営者のような考えは、「もってのほか」と言って良いでしょう。
というのも、税務署は税務調査に入る基準として、赤字か黒字か?という判断基準より、税金の申告漏れがどれほど起きているか?という判断基準を重視しています。
特に、これまた先程の例であげた「うちはワザと赤字にして税金を支払わないようにしているんだ。」という会社は、赤字で所得隠しを行っているのでは?と最初から目をつけられます。
一度目をつけられると、調査官が取引先や金融機関、物品の購入先へ反面調査を行い、徹底的に支出に関する情報を集められます。
ニセ赤字会社の疑いをかけられぬよう普段から正しい申告を
では、赤字会社に税務調査が入ると、どのような項目にチェックが入りやすいのでしょうか?
代表的なチェック項目としては、
- 経営者と運営する会社間の金銭やり取り(取引/賃貸借)
- 取引先との金銭やり取り(循環取引)
- 現金の秘匿
- 消費税の意図的な計算漏れ
などの項目があげられます。
要は、意図的に「赤字」にしている「ニセ赤字会社」ではないか?本当は黒字会社ないのか?という疑いをかけられるわけです。
「赤字だから追徴課税なんてかけられるはずがない」などと高をくくると、タダでさえ赤字に自社を追いこんだことが裏目に出るため、普段から正しい申告を行うよう心がけましょう。
※国税庁:会社標本調査
https://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/kaishahyohon/top.htm
※2国税庁:税務行政の現状と課題
https://www.nta.go.jp/kohyo/katsudou/shingi-kenkyu/shingikai/150309/shiryo/pdf/04.pdf