ツチノコのように見たことが無いものは、私達にとって存在を認めがたいものです。赤字会社にとっても、儲かり続けている黒字会社は、ツチノコのような存在に見えます。この状態を脱するには、まず、黒字会社が本当に存在していることを認識し、そのやり方のうち、真似できる部分を素直に真似し始める必要があります。キミアキ先生の解説です。
ツチノコがいるか・いないか?見た人にしかわからない
みなさんはツチノコって生き物をご存知ですかね??
蛇のギュッ!て詰まった感じのやつで、いるかいないかはわからない。いわゆる未確認生物ですね。
私も見たことないんですけど、ツチノコ騒動が教えてくれることって、いるのか・いないのかっていうことより、自分が見たことのないものを人はどうやったって信じられないよなぁ〜、ってことだと思うんです。
それで、これにかこつけて、常々周りの人達、それから子どもたちにも、とにかく10人に1人になるくらい努力をすれば、逆に見えてくるものがある、という話をよくするんです。
「ビジネスで生き残れるのは10社に1社」という真実も見た人にしかわからない
それで、ビジネスに当てはめてもびっくりするくらい、この法則は当てはまります。
商売を見るようになって、同じ商売をやっている人が100いたとします。そうするとその同業者中で競争になるのは上位の20くらいです。
あとの80は競争にすらならなくて、上の20くらいで競争して、その上位10がなんとか10年生き残るとか、そういうことを我々は実際に見ているわけですよ。
我々はそれを見ているから、信じることが出来るわけです。
ところが見たことがない人にとっては、これも “幻のツチノコ” なんですよ。
「いやッそんなことはない」ってね。
自分のビジネスモデルは素晴らしいし、同業者が何人いたって、代用品があろうと、競合があろうと、自分のサービスは必ず買ってもらえる!
そういう風に皆が思って始めるんです。
ところが、殆どのビジネスは競争にも乗らずに、同業者の中で上位2割にも入らずに、自然と姿を消していくんです。
知恵と経験の差で見える風景は大きく変わる
ここで皆さんに辛辣な風刺画をお見せしますね。
It’s Time to Pop Your Conspiracy Theory Cherry
これは、本を読んだ経験の多い少ないで見える風景が異なる、ということを表した風刺画です。ちょっとね、皮肉が入っています。
本を全く読んでない人にとっては、すごく良い景色に見えるわけですね。
ところが沢山の本を読んで、ある程度の知恵を得た人には見えている風景が全く違う。
学んでいない人にとってはとても良い風景に見えても、学んだ人から見れば凄く怖い風景に見えることある。
そしてこの風刺画には後もあります。
もっともっと本を読んだ人には、また全く違う世界が見えることがあるという話でして、これはリーダー論にも通じるところがあります。
5人の長になるのか、10人の長になるのか、それから50人、 100人の長になっていくのか。
そんなふうに人のリーダーになっていくにつれて、自分の見え方ってずっと変わって行くんですよ。
この事も、見えていない人にとっては “ツチノコ” なんですよ。
10人に1人の努力をしなければ見える風景は変わらない
「何を言っているのか理解が出来ない。」
私の話もそうです。私の話は事業者向け、あくまで事業者に対してやっています。
ですから、事業者の方にとっては、「それあるよね〜」っていうのがありますけれど、事業者になっていない人達には、「何を言ってるのかわからない!理解ができない!お前は何を言ってるんだ?!」と言われます。
実は、私自身もそうだったですよ。
『ランチェスター営業法』という本を、勤め人の時に見たんですけど、まだお勤めしていて給料取りだった時に、「陸の孤島を狙え!」「競争相手がいないところを狙え!」って言われても、何を言ってるのか全く分からなかったんですよ。
つまり、見えている風景が全然違うから、自分の知識が本当に無いから、「何を言ってるんだ??」っていう風に私も理解が出来なかった1人です 。
それで、なぜ10人に1人の人材になれ!って私が言うかというと、正直なところ、教育界のさだまさしと言われている藤原和博さんが言う「100分の1」にはならなくて良いとは思っているんです。
藤原和博さんは、100分の1と100分の1を掛けあわせて1万人に1人になりましょう、っておっしゃるんですが、実務的には“10人に1人ぐらいで十分だ” って思います。
というのも、10人に1人ぐらいしか本気で努力したりしないんです。
会社経営とか事業の継続も本当に同じですし、これは従業員さんを見てもそうです。
つまり、10人に1人ぐらいは本当に死ぬ気で努力するし、死ぬ気で努力したら見えるものがあるのですが、殆どの人には見えないんですよ。
努力して、本当にみんなより本っ当に努力したら、そうしたら見えるものがあるし、見えてくるって話ですね。
だから “見えない” のは、やったことがないからに過ぎないんです。
他の人に見えて自分には見えない、それはツチノコと一緒でね、本当に沢山あることなんですね。
ネットでは売れない?本当に見て言ってるの?
最近の我々の業界(会計業界)の話題でいくと、ツチノコ現象はいわゆる「ネットで売る」という話で起こっていました。
我々が15年前にネットで売るということをやった時、我々は業界の中でとても馬鹿にされました。
ほんの数年前までそれが続きました。
「ネットで顧客は増えない。ネットで受注は増えない。絶対無い!」ってずっと言われていたんです。ずっとです。
ところが我々は15年前からネットでお客様を増やしましたし、それから受注も増やして来ました。
それは自分たちが一生懸命やったから。
検索順位をどうやって上げれば良いか、よりどうやって目立って行けば良いのか、そして相手の行動パターンを予測して、相手がどうやれば電話をかけてくるのか、そこまで考えて実行しました。
ところが、それを全く見たことが無い人は、それでもまだ、「うちの業界は特殊だから、そういうのあり得ない」って言うんです。
ネットでお客様を増やすとか、受注を増やすとか、そんなの絶対無いんだよって。
でも、同業者でもインターネットで受注を伸ばしている人は、実は沢山いるんですよ。
反論する人にとって、その行動は、見えていないだけ“ツチノコ”にしか見えないのですが。
特に古い業界ほど、新しい新興勢力で伸ばしている人の殆どがこの戦略に則ってます。
それなのに、それを見たくないわけです。
なぜ見たくないのか?って、やっぱり自分のところの業績が悪いからですよ。
売れない。売りたくても売れない。
その時に、新しい新興勢力がどうやって受注を増やしているのかを見たくない。
それでね、言うんですよ。「今の時代は不景気だから」って。いやいや、こちとら儲かってまっせって!そういう話なんです(笑)
気持ちは分かるんですけれど、そうやって見たことないからって否定したままだと、いつまで経ってもツチノコは幻のツチノコのまま。
どんどん取り残されていきます。
黒字社長から見れば赤字の会社は“逆ツチノコ”
もう1つ辛辣なことを言います。
万年黒字の人にとっては、どうやれば赤字になるのか理解が出来ない。
逆の“ツチノコ”なんです。どういう経営をすれば一体赤字経営とか出来るの?って。
今、日本の中小企業の約7割は赤字だと言われています。
その時に、ずっと黒字を出して来ている中小企業・零細企業に至っても、そういうところの社長さんはどうやれば赤字になるのか理解出来ない。
未来工業の社長であった山田昭男さんも「たった4千万円ぽっちの利益も出せないのは、一体どういう経営をすれば、そんな風に出来るんだ」と、そうやっておっしゃいました。
つまり、4千万円ぽっちの利益を出せる方法を殆どの人が知らないんですよ。
4千万円も利益を出すなんて、従業員が100人くらい必要なのかな?とかね。見たこと無いから、やり方が分かんないんですよ。
自分の会社の帳簿を見てみんな思いますよ、「なんでうちは赤字なんだろう…?」「どうして4千万円も利益が出せるんだろう…?」って。
でも、絶対に理解が出来ない。それは “見たことが無い”んです。それだけなんですよ。
小さくても儲けている黒字会社はネットを使う
ですから私は、「見たことがないから存在しない」っていうんじゃなくて、「しっかりとそういうもの(儲かっている黒字会社)が存在するんだ 。」ってことを声高に皆さんへお伝えしたい。
日本の中に、申告利益(当期の利益)で4千万円以上のところが、実際に8万社も存在しているんだっていうことを。
従業員が少なくても利益を出しているところが何をやっているか?っていうとネットで売っているんですよ。
ネットで新規の営業を取っているんです。
そういうことを知れば、「あぁそうなのか!自分が知らないだけだったな」って素直に聞けば良いだけです。聞いて即実行してほしいです。
ビジネスの世界でツチノコ(黒字会社)になれる確立は、未確認生物のツチノコに出会うより遥かに高い、やり方もある、って考えれば10人に1人の努力をやってみる価値はあるんじゃないでしょうか。