社長の多くは、業績が落ちて経営が苦しくならない限り、社員を簡単に切り捨てようとは考えません。しかし、多くの企業が「成果を出すため」ではなく、「人手が足りない」という安易な理由で人を雇ってしまうため、最終的には「気遣いが出来ない人」が真っ先に業績悪化すると切られることになります。そうならないための人材雇用術をご紹介します。
社員を辞めさせたいと思うのは「業績が悪い時」
今日のテーマは「辞めさせたい社員を作らない、辞めさせたい社員にならない」という感じでお届けしようと思ってます。
まず社長さんの立場から考えてみましょう。
社長さんが社員さんを辞めさせたいと思うのがなぜかというと、殆どは「業績が悪くなって、そして資金繰りが苦しい。」という理由、これです。
そこまでいかないと社長さんにしてみると、「コイツ辞めさせたれ!」っていうのはあんまり無いんですよ。
元々は自分が採用していることが多いので、少々仕事が出来なくても、「まぁ置いておくか…」っていう感じでね。
辞めさせたくても簡単には辞めさせられない
それから、まだ会社を起こしたばかりの社長さんは、まだご存知ない方もいらっしゃるかもしれないのでお話しておきます。
正社員さんというのは、辞める権利があります。いつでもです。
ですから、「この会社気に入らね〜」とか社員さんが思ったら、その人はいつでも辞めることが出来るんです。
ところがですよ!1度そこに正社員として入れば、会社側は事実上は辞めさせることが出来ません。
正社員さんってね、それくらい法律で守られているので、正社員さんを「人手が足りないから」という理由で雇わないで下さい。
これは中小零細企業の雇用の大原則です。
ほとんどの場合は、この原則が分からないから「人手が足りない」という理由で正社員を雇ってしまいます。
「人手が足りない」んだったら、パートさんやアルバイトさんを雇って下さい。もう抱え過ぎるぐらいでも良いですから。
正社員を雇う目的は「利益を出すため」これ一択
では正社員さんをなぜ雇うの?という話ですが、正社員さんは「人手が足りない」から雇うんではないんですよ。
「利益を出す」ために雇うのです。
これ以外の理由で雇ってしまうと、必ず、必ず!会社の負担になってしまいます。
それくらい正社員を雇うことはお金がかかるんです。
会社を始めたばかりだと、給料を払う側に初めてなるわけですが、この「お金がかかる」の意味があまり分からないわけです。
自分も今まではもらう側でいたんですからね(笑)
払う側になったら全く違う考え方をしないといけなくて、払う側というのは基本的に成果に対して払いたいわけです。
特に業績が悪くなればなるほど、成果にしか払いたくないんです。
社長は給料を成果の対価と考え、社員は給料を時間の対価と考える
では貰う側はどうでしょう。
思い出してみてください、貰う側は基本的に拘束時間に対して、お給料を貰うべきだと思っています。
「こんだけ拘束されて嫌なことさせられているんだから!!」って。
ですから、例えば、お給料を貰う側からの理屈とすれば、
- 自分がミスをしました。
- ミスのフォローに5時間かかりました。
- 自分のミスなんだけれども、フォローの間も拘束されているんだから、
その間の残業代をもらうべき。
こう考えますよ。
よろしいですか?この思考が普通ですからね。
「自分のミスだから、自分のミスのフォローに対する給料は要りません!」という社員さんがいたら、それは素晴らしい社員さんです。
中小零細企業の社員さんの基本は、とにかく上司や社長が近い所にいすぎるんです。
だから叱られたくないんですよ。
逆に言うと、社長さんは現場になんて行かない方が良いんです!
従業員にしてみれば「叱られたくない」っていう思考でしか仕事をしないんですから、指示されたことだけをやるんです。
「指示されたことをやらないと!」って思ってやっているので、それさえやれば満足してしまうんですよね。
「叱られなかった〜。ホッ(汗)」って。
ですから難しいことをどうにか避けたいので、指示が降りてきそうになっても、とにかく上司を怒らせないような形でやんわりと…逃げます。
これが普通です。良いですか?中小零細企業の中ではこれが普通なんですよ。
ですからお給料を払う側に立場が変わると、イライラするわけです(笑)
給料を時間の対価と見なす社員は単純作業好き
それでも、自分がお給料をもらう側だった時って、どうしてたっけな〜って思い出してくださいね(笑)
結局ね、難しいことは普通にやらないんですよ(笑)
ということは、今はだいたい単純作業で、コンピュータ使うかExcel使うか。
実はほとんどの仕事が単純作業になっていることが多いんです。
その単純作業なのに、正社員として抱えて社会保険制度に入れて、少しばかりのボーナスを支払って、有給休暇も与えて、そうしていると時給3千円を普通に超えちゃいますからね。
その時給3千円の負担に苦しむわけです。
この苦しむのは業績が下がって、結局人手が足りないと言って入れたからなんです。
そこが1番の問題です。
「利益を上げるため」に入れたんではなくて、「人手が足りなくて」入れてしまったから、皆これで苦しんでらっしゃるんです。
真っ先にリストラ対象となるのは気遣いが出来ない人
それから勤め人になると、学校の時とはガラッと変わるのが「バカの定義」です。
これは本当によく社長さん方が言うんですけれど、バカの定義っていうのは学校では「勉強が出来ない」ですが、社会では会社に入ると「気遣いが出来ない」と ”バカ” になります。
社会に出ると1回、バカの定義はリセットされちゃいますからね。
そうすると気遣いが出来ない方がバカで、こちらから先にクビを切ろうとします。
これが普通ですよ。
仕事の「出来る」「出来ない」というものを、あくまで中小零細企業で考えて行く時に、人材なんてほとんど一緒なんですよ。
その中で誰が要らないかっていうことを考えると、結局は気遣いひとつ出来ない人。
気遣い出来ないっていうのは基本的にだいたい頭悪いですから、そういう人は切られやすくなります。
逆に言えば、自分がリストラ対象にならないためには、まずは気遣いを1番に考えれば良いです。
そういう生き残り方が出来る世界なんですよ。
中小零細企業のスタッフさん全員が気遣いが出来る会社は絶対、絶対に儲かってるはずなんです。
そのくらい気遣いひとつ出来ていないんです。要するにバカを揃えているんですよ(笑)
辞めさせたい社員を作らないコツは、気遣い出来る人を入れること
ですから、こんな現実が分かってくれば、採用の段階で採用する側としてどういう人を入れれば良いのか、これがわかるはずです。
殆どは採用の段階で決まってしまいますからね。
それなのに、入れちゃいけない人を入れちゃうんですよね(笑)
それでね、入れられた方は被害意識っていうのがありますから、「自分は騙された!自分は会社にリストラされた!」って思うんですよ。
基本的に雇われた側は自分が被害者だと思いますから、お互いのためにならないわけです。
ですから気遣いが出来なそうな人は、最初から社内に入れないんですよ。
それから自分が会社に入る側だったら、会社は業績が悪くてリストラするわけですから、最初から商売上手な社長さんの所で働きましょう。
以上、「辞めさせたい社員を作らない、辞めさせたい社員にならない」方法について、お話ししました。