インバウンドの先駆者・ニセコに学ぶ外国人リピーターの作り方

マーケティング

 一時的な陰りを報道される「爆買い」「インバウンド消費」ですが、国策としてインバウンド増が掲げられていることからも、今後再度のインバウンド増が見込まれます。その際、重要になるのがインバウンドをリピーターとする仕組みです。インバウンドをリピーターとすることに成功している数少ない地方自治体として北海道のニセコ町をご紹介します。

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インバウンド消費に一時的な陰りが見え始める

 2015年の日経トレンディヒット商品第三位に入った「インバウンド消費」、流行語大賞に選ばれた「爆買い」の現象が今年に入り、陰りを見せ始めています。

 インバウンド消費の主役である中国人が、国内景気の悪化で消費を控え始めたことに加え、更には当局が国外購入品への課税を強化したことの影響も大きいと言われています。

 実際に、これまでインバウンドで溢れかえっていた百貨店や家電量販店では、インバウンドの買い物客がすっかり鳴りを潜め、閑散とした光景が散見されます。

 爆買いの象徴と言える家電量販店ラオックス(インバウンド売上構成比37%)の業績が、営業利益で約90%減となったことも記憶にあたらしいです。

 しかし、閑散とした売り場の光景は、「景気に連動した一時的なものになる」と筆者は考えています。

 なぜなら、日本政府にとってインバウンド消費の拡大は、人口が减少する中で需要を喚起する重要な国策であり、2020年までに年間4,000万人のインバウンド実現を目標としています。

 更に、2020年に迫るオリンピックを控え、否が応でも日本へ世界の注目が集まりやすい状況が見込まれます。

 ただし、次のチャンスを掴むためには、これまでのように一見客を相手にした単調な戦略では、インバウンドを取り込むことが難しいでしょう。

 その理由については、一年前に寄稿した記事を参考にしていただけると幸甚です。

 これから再度押し寄せてくるであろうインバウンド消費をしっかり取り入れ、恩恵を受けるためには、彼らが繰り返し何度も来てくれるため、インバウンドがリピーターと化す仕組みと仕掛けが必要となります。 

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インバウンドのリピーターを生み続ける数少ない地方自治体・ニセコ

  「何度でもインバウンドが戻ってくる」

 この状態を実現している、日本でも数少ない地方自治体があります。それは筆者の地元・北海道のニセコ町(以下:ニセコ)です。

 ニセコは日本でも最高級の雪質を誇る、ニセコアンヌプリ山の裾の尾に広がる広大なスキー場を擁しています。

 ただし、私が北海道を出る2000年前後までは、ただ「それだけ」の場所に過ぎませんでした。

 そんな状況で、ニセコもスキーブーム終焉の煽りを受けて、斜陽のスキー場となっていくのを寂しく見た記憶があります。

 しかし、今やニセコは景気の波を吸収しながら、世界各国から継続的に、そして逓増的に富裕層顧客がリピーターとして訪れる、一大リゾート地に変容を遂げているのです。

節約社長
ニセコ町観光統計

 どのようにしてニセコは、インバウンドがリピーターとして、ニセコに何度でも来ることを習慣化する仕組みと仕掛けを作ったのか、ご紹介したいと思います。

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ニセコがインバウンドをリピーターとするために講じた仕組み

外国人の視点から見て快適な観光地作りからスタートした

 オーストラリア人スキーインストラクターのロス・フィンドレー氏は、ニセコの良質な雪と自然環境に魅了され、1995年にニセコアドベンチャーセンターを立ち上げます。

 オーストラリアは南半球に位置するため日本とは季節が逆。スキーがしたいけれど、出来る場所が国内でも限られています。

 これらの条件を踏まえてフィンドレー氏は、「オフシーズンでも楽しめるスキーのメッカ」として、ニセコをオーストラリア人に英語で紹介し、やがてオーストラリアからのインバウンドを中心に、スキー客が大挙するようになりました。

 ニセコがインバウンドのメッカとしてスタートしたのは、日本人ではなく外国人の視点によるものでした。

目指す顧客層を明確にして変哲の無いものを特別なものにする

 オーストラリアからのインバウンド招致に成功した後、ニセコ町は他国に積極的なインバウンド招致をしかけます。

 そして、先ほどのグラフを見ていただければわかるるように、ニセコには、オーストラリアや台湾、香港、シンガポールのように、雪のない国の人々が多く訪れています。

 ニセコは豪雪地帯であり、地元の人にとってパウダースノーは何の変哲も無い、ありふれたものですが、これら南国の人にとってパウダースノーは特別なものです。

 ニセコはオーストラリアを皮切りに、中国・香港資本の投資を巧みに呼びこみながら、自分達の目指す顧客層を明確にして、ウィンターリゾートの魅力を訴え、集客に成功します。

脱補助金化を進め自立自存の組織運営を始める

 2003年にニセコ観光協会は、日本の観光協会では初めて、任意団体から株式会社へと組織を変革しました。

 この組織改編により観光協会は、補助金をメインとした「予算ありき」の組織運営から、「徹底した顧客目線」によるサービスの実施を行う組織運営へと進歩を遂げたのです。

 彼らは、多国籍の言語に対応したインターネットサイトを作り、宿泊・イベント・観光スポット・雪山の注意ポイントなど、仔細な部分まで情報配信する取り組みを早期から行い、インバウンドが安心してニセコを訪れる環境を作ります。

 また、プロダクトやサービスありきの発想ではなく、収益を上げるという民間の視点から、町に既存であったサービスやプロダクトを改良し、地域全体をツアーで回れるよう整備し、町全体のブランド化に成功しました。

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外部を容易に受け入れる姿勢が一番の成功要因

 インバウンドの増加がもたらした雇用増によって、国内各地からニセコにはウィンタースポーツ好きで国際交流を求める若者達が集まっており、新たな活力の芽吹きを見出すことができます。

 これらの具体的な施策に加えて、ニセコがインバウンド招致に成功した一番の理由は、外部の人間を容易に受け入れる姿勢にあります。

 というのも、北海道は全国各地から流入した入植者によって、開拓が成し遂げられたことから、外部の人間を受け入れる文化があります。

 今後再度押し寄せるであろうインバウンドと接するにあたり、ニセコにおける継続したインバウンド増を生み出す仕組みから、私達は多くを学ぶことができます。

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