中小企業が一般的に利用できる資金調達手段は、金融機関からの融資もしくは親や友人に頭を下げてお金を借りる以外にはありませんでした。しかし、クラウドファンディングの台頭は、個人からの個口出資を募ることにより返済義務のない資金調達手段を産みました。実はクラウドファンディングは、新たな販促手段としても利用できるものです。
クラウドファンディング以前の資金調達方法
こんにちは。ジェネシスコミュニケーションの松尾です。
読者の皆様は「クラウドファンディング」という言葉を聞いたことがありますか?
「クラウドファンディング」は、ひとことで言えば、個人や中小企業に適した新たな資金調達の仕組みです。
何か新しい事業を起こしたり、新製品・新サービスを開発するための資金が十分にないとき、従来であれば、取引先の銀行や日本政策金融公庫等に事業計画を提出して融資してもらうか、親や友人に頭を下げてお金を借りるしかありませんでした。
しかし、まだ海のものとも山のものともつかない新しい事業や製品・サービスに対して、金融機関の審査は厳しいもの。
そう簡単にお金を貸してはくれません。そこで、仕方なく親や友人・知人に頼らざるをえないケースが多いわけです。
残念ながら失敗した場合、借金返済ができなくなるだけでなく、人間関係が壊れてしまう可能性があります。
従って、メインバンクがあったり、社内留保が十分な大企業と異なり、中小企業、ましてや個人が新たな事業を始める場合、そもそも「資金が調達できない」という点が最大の課題となっていました。
クラウドファンディングで目標に対して10倍の資金調達成功事例も
しかし、「クラウドファンデイング」を使うことで、世の中の一般の人々から幅広く資金が調達可能となりました。しかも、借金ではなく「出資」ですから、返済義務はありません。
「クラウドファンディングの仕組みはシンプルです。
資金を調達したい人・企業は、インターネットを通じて、これから取り組みたい事業や新製品・新サービスについての詳細や思いを公開し、「一口1万円」など少額からの資金提供を募集する「プロジェクト」を立ち上げます。
そして、一般の人々は、資金を出したいと感じたプロジェクトに対し、クレジットカード決済などによって手軽に資金を提供できます。
なお、資金提供者には、資金提供の結果として生まれた新製品・新サービスが格安で購入できるといった「リターン」(特典)が得られます。
クラウドファンディングを行えるインターネットサービスはいくつかあります。
代表例を幾つかあげると、以下のとおりです。
創造的な社会を作り上げる活動全てがアートであるという彼のビジョンを具体化する、クラウドファンディングサービス。
CCC(TSUTAYA)グループのアセットを活用し、資金調達にとどまらないマーケティング支援を行う、クラウドファンディングサービス。
日本で最初のクラウドファンディングサービス。
インターネット業界の風雲児・家入一真氏率いるクラウドファンディングサービス。手数料5%と低コストでのサービスが魅力。
クラウドファンディングサービスの一つ、「Makuake(マクアケ)」のサイトをのぞいてみると、例えば、メガネにつけてウィンクすると撮影できるウェアラブルカメラ、「BLINCAM」という開発中の製品に対して、581人の資金提供者(「サポーター」と呼ばれます)によって、合計9,890,000円の資金が集まっています。 (2016年7月23日15時現在)
優れたサービスは予想外の資金調達も生み出す:世界最速のウェアラブルカメラ「BLINCAM」:makuake
目標金額は1,000,000円でしたので、当ウェアラブルカメラの開発担当者は、既に10倍以上の資金調達に成功しているわけです。
なお、資金提供者には、「BLINCAM」が発売された暁には、割引料金で優先的に購入できる権利が、リターンとして提示されています。
クラウドファンディングは販促手段としても有望ツール
さて、クラウドファンディングは、個人や中小企業向けの新たな資金調達の仕組みとしてじわじわと浸透しつつありますが、実は、「販売促進施策」としての活用も可能なことをぜひ知っていただきたいと思います。
たとえば、飲食店が新たなメニューやコースを開発した時は、クラウドファンディングを通じて、新メニューやコースを「お試し」利用してくれるお客様を集めることができるのです。
Makuakeで見ると、神保町の飲食店「美禄」が業態を変更し、「板前コース料理10品と日本酒30種飲み放題」のお店として7月15日にリニューアルオープンしたことを踏まえて、クラウドファンディングプロジェクトを立ち上げています。
MAKUAKE 美禄プロジェクトはこちら
資金提供者には、「板前料理コース&飲み放題」が割安で楽しめるコースや、「スマイルお猪口」ももらえて、そのお猪口を次回持参すると、日本酒、ビールなどが1杯サービスされるといったリターンが提示されています。
飲食店に限らず、あらゆる業界にたくさんの競合がひしめく今、新しい事業、製品・サービスの存在を知らしめ、お客様を獲得することはますます難しくなっています。
既存の広告の効果が低下していることもありますので、新たな販促手法としての「クラウドファンディング」の採用もご検討されてはいかがでしょうか?