最初からブラック企業を作りたくて経営者になる人は多分存在しないことでしょう。ところが、会社というのは意外と簡単に「ブラック企業化」してしまうものです。なぜこのようなことが起きるのか?ブラック企業にならないための対策とは?未来の仕事のあり方とは?キミアキ先生が解説してくださいます。
ブラック企業なんてすぐ簡単に作れちゃいます
社長さんたちが1番作りたくないブラック企業って、意外と簡単に作れちゃうものなんです。
では、ブラック企業にならないように、「ちょっとずつ変えていきましょう」というお話をしたいと思います。
我々あおば会計も16年目に入りましたけれども、開業の当初はですね…この手の会社さんとも付き合っておりました…笑
とにかくお客さんがいなかったから、我々が会社訪問行ける会社は、結構なワルガキ会社が多かったんですよ。
我々にとっては本当に良い思い出で、かなり社長さんに遊んでもらったので、良い思い出も沢山あるんですけれども。
今は、ブラック企業が社会問題にもなっていますのでね、我々の経験も踏まえましてですね、なるべくブラック企業化しない方向で、頑張ってみましょうよ!ということで、お話をしていきたいと思います。
ブラック対策:最初から安易に人を雇うなかれ
ウチのお客様もそうだったんですけれど、労働搾取の部分が多分にあったり、法律スレスレっていうか、ほぼ破っているだろう!ということを従業員さんにやらせるようなこともよく見かけました。
こういうブラック企業を作りたくなかったら、最初の段階で人を安易に雇っちゃダメです。
今は、東京とか大都市圏のほうが優位なのですが、人を雇わなくても経営は出来ます。
これは我々が開業した当初とは、やはり今と状況が違います。
今、こうした人を雇って搾取して、という状態が見られるのは、「ゾッス!」みたいな営業会社くらいですかね。
ただ単に、そういう労働の付加価値が下がってしまったんですね。
例えば、ワタミさんなんかよく問題になっていますけれども、あれは仕組みが昔のまんまだから、労働の付加価値が低いんですよ。
労働者が生み出す付加価値がもともと低いので、給料も低くなってしまう。
長時間労働っていうのはわかるんですけれど、仕組みがあれなんで、まぁ経営陣からすると露骨な労働搾取はしていないと。
そうなっちゃうんですね。
ですから、自分がブラック企業になりたくなかったら、初めから雇うな!ということで、自社内に人を抱えないという方向で経営も出来ます。
ブラック対策:自分と同じ労働を求めるなかれ
我々創業人というのは、とにかく馬力がありまして、従業員とは違うんです。全然ね。
馬力が有り過ぎますから(笑)
ですから、自分たちと同じような事を、従業員さんに求めないというのは大前提です。
最初の1人とか2人を雇うときに、創業人ってのは、ついつい従業員さんに期待しちゃうんですが、むこうは自分より能力が低いわけです。
それなに求めちゃうから、従業員さんにも長時間労働を強いることになって、ブラック企業になってしまいます。
ですから、どんなことをしても我々のような、創業メンバーと同じような労働を絶対に強いてはいけません。
我々は経営陣であって、従業員は従業員!とハッキリ割り切ると。
これを心がけて事業を継続する限りは、あっという間にブラック化する!ということは無いです。
ただ、創業人だけでやっている企業の場合、そもそも世の中で言うブラック企業であるのは、しかたがないことです。
とにかく長時間労働で安月給で、会社の基礎を築いていくしかないですから。
ブラック対策:正社員を安易に補充するなかれ
これは私が20年前くらいに知った『尺取り虫経営』というんですけれども、正社員さんが減ったら、補充をしないという経営方式があります。
どうしても人手が足りなかったら、パートさんやアルバイトさんで補充するという形でして、これは経営を立て直すときに、「正社員が減ったら、正社員で補充しない」という簡単なものです。
これはですね、けっこう大きいですよ。
特に、会社の規模が小さくなれば小さくなるほど、即効性があります。あっと言う間にこれで黒字化できますから。
ですから、これをやっていけばブラック化も防げる会社さん、意外と多いはずですよ。
正社員を抱えると、どういうことをする必要がありますかね?
まずは、毎月の給与を支払って、社会保険制度を付けて、少しばかりのボーナスを払って、少しばかりの有給休暇を与える必要があります。
そうすると、時給3千円にすぐなってしまいますので、もう払えないんです。払いたくても。
だから長時間労働を強いてしまうと。
そうしたら、長時間労働をさせられている方は、労働搾取されていると思うんですけれど、あれは違うんですよ。
ほとんどの会社がやっているビジネスでは、付加価値がガクンと下がってしまっていて、もう時給3千円が払えんのですよ。
そういう悩みを抱えているんで、今の中小零細企業の社長さん方って殆どは、雇用を守るためだけに頑張っているんですよ。
ほとんどがそうですよ。
10社あれば9社は従業員の雇用を守るためだけに頑張っています。
もうアホらしいでしょ。
だから!時給3千円は他に使いましょうや!ってことなんですよ。
そうでもしないと、どうしても会社がブラック化するんですよ。
ブラック対策:外注化・在宅勤務・6時間労働
先ほどの話の延長線上で、消費税が8%に上がるという時点で、詰将棋であれば三手詰めがもうキマりました。
中小企業は既に、よっぽどのことが無ければ、安易に人を雇えない状況になっているのです。
ですから、必ず外注が増えてきます。それから、在宅勤務も増えていきます。そして、6時間労働も増えていきます。
つまり、正社員の仕事が段々無くなっていくのは、当然の流れなんですよ。
詰将棋であれば、三手詰めくらい決まっているんです。
6時間労働だったら、朝9時から始まるとすれば15時で上がり。
休憩時間無しです。これはちゃんと法律に従ってます。
6時間労働が増えるし、在宅勤務も増えるし、外注も増えていきます。
と言いますのも、私どもの周りでは実際にそれが、もう完全に進んでいます。
今、中小零細企業の中では、正社員制度が崩壊しようとしているんですが、逆に正社員制度をひかなくても、経営は出来ます。
ブラック企業対策から見える未来の働き方とは
これらのことを踏まえると、男の仕事は段々無くなっていくことが、既に決まっています。
男の仕事っていうのは、武士のように、殿と会社のために一生をかけて滅私奉公する、昭和のかっこいいサラリーマンの働き方ですね。
これからは、中小零細企業を飛び出して、自分で起業・開業される方が更に多くなると思います。
大企業は、まだ仕事が残っているんで、今は大丈夫なんですけれど、ゴマすりテクを更にピカピカに磨かないと、生き抜くのは厳しいでしょうね。
だから、今の時代ってのは、起業・開業するには良いタイミングなんじゃないかな、と私は思っています。
そして、起業・開業して、自分の会社をブラック企業にしたくなかったらですね、何度も言いますが、『割り切り』でとにかく労働時間は短く、なるべく正社員を抱えないビジネスモデルを組み立てていく。
これが紙の上でも出来たら、起業・開業して大丈夫だと思います。