皆さんこんにちは。
組織化プロデューサーの南本です。
公的年金改革の国の方針が固まりましたが、それに対して中小企業はどうすればいいのか、どんな影響を受けるのかというテーマについて解説します。
年金改革の3つの骨子
骨子が3つあります。
今501人以上の企業で、週20時間以上働いているパートさんは、厚生年金社会保険の強制適用というものが始まっていますが、この501人という条件をどこまで下げるかが決まりました。
それから、受給開始年齢を拡大していくことと、在職老齢年金の全面見直しという、この大きな3つの柱で年金が改革されていく方向です。
① 厚生年金のパート適用拡大
今は中小企業のパートさんは1週間に30時間以上働く方が社会保険に入れますが、30時間未満しか働かない方は雇用保険だけで、社会保険には入らなくていいということでした。
しかし、2022年10月には、従業員数が101人以上の企業が社会保険加入の対象になり、2024年10月には51人以上にまで下がってくることになります。
2024年までまだ時間の余裕はありますが、確実にこういう時代が来るので、今から採用などさまざまなことを考えていく必要があります。
いずれ従業員数の条件は撤廃して、パートさんも全て社会保険に加入となると思いますので、それを見越して中小企業も社内の体制を今から変えていかないといけません。
②受給開始年齢の拡大
今、年金を60歳から70歳までの間のいつからもらうかは自分で選択できる制度になっていますが、60歳から75歳までと5年間延ばしました。
これは国としても高齢者にも少しでも長く働いてくださいというメッセージで、国からすれば年金を払う金額が少し先送りできると言うことになります。
③在職老齢年金の全面見直し
在職老齢年金の全面見直しは、中小企業が60歳以上の優秀な方を雇えるチャンスが来たのではないかと思います。
どういうことかというと、60歳から年金をもらえる人もいますが、年金をもらいながら働く場合、年金と合わせて28万円を超えてしまうと年金が支給停止になります。
この時代に28万円というのはすぐ達してしまうので、しっかり働きたいという思いを持っている60歳以上の方はたくさんいると思うのですが、28万円に達しないようにしか働かないのです。
しかし、この年金が支給停止になる上限の金額が47万円になります。
大手企業に勤めた方は年金を20万円ぐらい支給されると思いますが、さらに10数万円分働けるということであれば、4年間という条件がつきますが、正社員でも嘱託でもいいので、フルタイムで働きたいという中高年の方はたくさんいると思います。
これは中小企業の経営会者にとってはインパクトがあると思います。
中小企業への影響
60歳以上の優秀な高齢者の雇用
今まで60歳以上の方を雇う時には、周辺業務くらいしか携わっていただけなかったのが、今度は中核業務も担っていただけるような60歳以上の優秀な社員を雇えるという中小企業のメリットがたくさんあると思います。
例えば、大手の電機メーカーは45歳以上の技術者をどんどんリストラしています。
技術者に限らず、営業や管理部門など、大手企業が早期退職を促しているという環境があります。
年金の支給停止条件が上がったことによって、大手企業からスピンアウトした優秀な人を中小企業の技術者として雇うことができますし、技術者を雇うことには理由があります。
これからはITの知識がないと中小企業の経営はできません。
営業はネットセールスなどいろいろなツールで十分なので、技術者を雇ってほしいと思います。
パートの戦略化のチャンス
パートの戦略化のチャンスがあるかどうかは経営者の考え方次第ですが、5Gの高速回線がますます普及してくるようになるので、都心まで来られない子育て中の主婦を在宅勤務や多拠点勤務のパートさんとして戦略化し、優秀なパートさんには時給を上げていくようなダイナミックな人事制度を入れてください。
5G通信革命導入によるリーダー企業へのチャンス
5G通信革命で離れた人とバーチャルで会議ができるようなアプリケーションがどんどん出てくると思います。
5Gを見据えていくとAIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)中小企業にも浸透していくので、技術者が必要になります。
その時にメーカーに発注するのでは対応が遅くなるので、自社で技術者を抱えておけば 、たとえばWebの開発をしながら、社内の生産性を上げたり、事務など単純作業のオートメーション化を社内の技術者に設計、開発してもらうことができます。
これからの中小企業は技術者なしでは生きていけないと私は断言してもいいと思いますし、60歳以上のIT感覚がわかる人を雇っていけば中小企業も変わると私は思います。
デメリットは社会保険料の会社負担増加
今から内部留保をして、たとえ有事であっても、1年ぐらいは生き延びられるようなキャッシュを貯めておいてください。
年金の財源である保険料が上がっていくことも見越した上で、企業体質というのはすぐには変われないので、今のうちから経営者が意思決定をしてほしいと思います。