あおば会計コンサルティングのタナカキミアキです。
大企業の内部留保の発表が今年から変わりました。やはり金融保険を入れたら500兆円超えは間違いないようです。
世の中では、大企業は内部留保でお金を溜め込んでいると言われることが多いですね。
私も30数年前簿記一級の勉強をした時に、実際の財務諸表でこの内部留保について習いました。
課題に使った企業はキリンビールと富士フイルムと武田薬品の3社で、実際の財務諸表を見ながら内部留保について学習しました。
500兆円を超える内部留保
確かに、キリンビールと富士フイルムと武田薬品の3社は、何十年も売上がなくても十分に従業員を食べさせていけるだけの内部留保がありました。
内部留保とキャッシュは違う
ただし実際には、内部留保の金額ほど会社は強くありません。キャッシュフローの問題があるからです。
ですから今日はそのキャッシュフローを絡めながら進めていきたいと思います。
内部留保と労働分配率の関係
内部留保を語るときに必ず労働分配率というものが出てきます。
労働分配率は利益を人件費にまわしている比率
今の企業体は黒字企業で考えると、労働分配率は40%から60%くらいが一番多いです。
最近では社会保障の金額が上がったので、黒字企業でも70%ぐらいまで上がったという会社もあると思います。
機械化・システム化で労働分配率は低下傾向
実際は労働分配率が低い方が1人当たりの給与の総額は多いです。この話は、少しわかりにくいですよね。
つまり機械化されていけばいくほど生み出す付加価値が大きくなります。
もちろん機械を修理したり、置き換えたりするので費用はかかります。
しかしその費用は会社持ちのため、1人あたりが大きな付加価値を生み出していて、我々が見ているとサービス業の人たちは、分配率40%の手作業の人たちの給料よりも、1.5倍くらい高くなっています。
この数字だけで行くと、大企業の労働分配率が下がっているのは、どんどん機械化されたということです。
内部留保で企業は溜め込んでいるのか
大企業のキャッシュは200兆円、借金は500兆円
労働分配率は下がっているのですが、実は給与も増えています。
ざっくりとした数字ですが、大企業は合わせると現金関係で200兆円ぐらいあると思います。
しかし借金は500兆円ぐらいあります。
国の借金の場合は自分たちの子供から借りてるようなものですが、企業の場合は国の借金と違って返さなければいけない借金です。
内部留保は500兆円、給与は200兆円
そこで出てくるのがよくわからない内部留保です。これが500兆円もあります。
現金とは何の関連性もありません。
そして今大企業が年間に払っている給料は200兆円くらいあります。
これだけの数字を見た時には、内部留保ですごく溜め込んでいることになっていますが、手元のお金は年間の給料ぐらいしかなく、現金と年間給与を消してしまうと借金だけが残るのではないかと思います。
内部留保は実は1年間の給料分しかない
そうすると内部留保の500兆円というのは大したことないように思えます。
内部留保が一人歩きしてすごくお金を貯めこんでいるような話になっていますが、実は1年間の給料分しかないというようなことが、複式簿記をやるとこのようなことがわかってくるので、簿記の3級くらいは勉強したほうがいいかと思います。