人間は社会を作って行動する種の動物です。社会を作って生きる以上、各自が好き勝手にバラバラな行動をしていては集団を形成することができません。この特性を活かして、セールスの効果を格段に上昇させるのが「ミラーリング」というテクニックです。意識的に「同調行動」を取って相手の好感度と満足度を上げる術を、マーケティングのプロが解説してくれます。
人類は単独行動ではなく社会を作り生きる動物
動物には、大人になると単独行動をする種と、ずっと群れを作って行動する種がいますね。
私たち人類も「群れ」すなわち「社会」を作って生きる種です。
人類を含め、社会(集団)を作って厳しい環境を生き抜ぬこうとする種に必要なことがあります。それは、お互いに相手の行動になるべく合わせるようにする、すなわち「同調」することです。
言うまでもないことですが、各自が好き勝手にバラバラな行動をしていては集団を形成することができません。
例えば、餌を求めてある方向に進もうとするとき、皆が同調して同じ方向に進むからこそ、一群となって進むことができるのです。
「同調」とは、前述したように相手の動きを真似したりして同じ行動を取ることです。
同じ行動が取れるからこそ、いざというとき、力を合わせて外敵に立ち向かったりすることができる。
すなわち、「同調」は、お互いを助け合うことにもつながっています。
同調行動によるミラーリングの効果は万国共通
私たち人間も、小さいころから「同調すること」を自然に学び、それを喜びと感じるようになっています。(日本は、同調を過度に求める社会だと言われますが・・・)
例えば、親と子供、あるいは友だち同士で、リズムに合わせてお互いの手を打ち合わせる素朴な遊びは、世界のあらゆる地域で見られるものですね。
また、恋人たちは、一緒に散歩し、一緒にご飯を食べ、同じ映画を見て一緒に泣き、あるいは笑い、また一緒に踊ったりといった「同調行動」を通じて「絆」を深めていきます。
ですから、逆に言えば、自分に対する相手の好感度を高め、双方の関係性を深めたければ、積極的に相手に同調しようとすることが大切だということです。
さて、セールスのテクニックのひとつに、「ミラーリング」というものがあります。
これは、相手がコーヒーを飲んだら、自分もコーヒーを飲む。手を組んだら、自分も手を組む、といったように、相手の動きを鏡のように真似をすることです。
すると、商談に成功する確率が高くなることがわかっています。これは、意図的に「同調行動」をとることによって相手の自分に対する好意を高めようとしているわけですね。
ミラーリングの実践は驚くほど簡単に行える
ミラーリングを実際のビジネスに応用するのは、非常に簡単です。
例えば、飲食店で接客係が客のオーダーを取るときは、単に「かしこまりました。」と言うのではなく、「ご注文は、サーロインステーキですね!」などと、客の注文内容をそのまま繰り返した方が、顧客の好感度・満足度を高めることに役立ちます。
実際に、上記のやり方で接客をしたところチップの額が多くなった、という結果が海外の実験では実証されています。
チップの習慣のない日本の飲食店においても、「オーダーの復唱」はお客様の好感度・満足度を高め、リピート率向上につながることが期待できますし、営業で相手と交渉を行うときも、相手の意見を復唱することが「この人は認めてくれている」と感じてもらうことに大いに役立ちます。
しかもこの効果を、ビジネスで活用するのにお金は一切必要ありません。
セールスに成功したり、お店のリピーター増やしたかったら、お客さんの好意を得るために、「ミラーリング」など、積極的にその人と同調行動を取るテクニックを用いましょう!