税理士と顧問契約を結んでいる社長の中には少なからず、「この税理士融通が効かないなぁ」と感じたり、「経営コンサルとか言ってるけど的外れだなぁ」と考えている方もいらっしゃるはずです。本稿では現役税理士である筆者が相談を受けたトンデモ話から、税理士と顧問契約を結ぶ時に重視すべき2つのポイントを提示したいと思います。
税理士と思ったら…無資格の人間と顧問契約
こんにちは。税理士の金成です。
先日面談した社長が、税理士選びで酷い目にあった実際の出来事をお話したいと思います。
この方は個人事業から法人化した事をきっかけに、知り合いのAさんと顧問契約をしたそうです。
会計帳簿はある程度つけてくれるのですが、税金のことになると対応が悪い…というかよく分かっていない感じだったそうです。
違和感を感じながらも、第1期の決算が終わり申告書の提出を確認したところ、なんと無申告だったそうです。
そして税務署から連絡が…運の悪い事にいきなり税務調査が入ってしまったのです。
もうお気づきかとは思いますが、Aさんは税理士資格は持っていませんでした。しかも、あろうことか会社の資料一式を持ったまま行方をくらませてしまったのです。
結局、税務調査は税理士の立会いなしのまま進みます。
手元に資料が一切ありませんので、それはもうやりたい放題の追徴課税をされたそうです。
踏んだり蹴ったりの第1期。今度はしっかり資格を持った税理士と契約します。
ところが、この社長にさらなる苦難がのしかかります。。。
資格は持ってるけど全くサービス精神がない…
さて、第2期に入り社長は資格を持った税理士と契約したわけですが、この税理士が何とも古いタイプの「先生」だったのです。
内容はこんな感じです。
- ・記帳代行は絶対に受けない(理由は、もっと付加価値の高いコンサルのサービスをするためだそう)
- ・会計ソフトは完全指定(クラウド会計にしたいと伝えたがダメ)
- ・領収書はすべて決められたようにノートに貼り、すべてのレシートには番号を振って会計ソフトの入力番号と一致させる。
- ・勘定科目も税理士の指定した科目を使用しないとダメ(クライアントの見やすい科目を使うことを許さない)
いかがでしょうか。
これだけ相手を自分に合わせさせているのですから、さぞかし報酬はお安いのかとおもいきや、そうでもなかったようです。
不慣れな記帳作業のため、社長は第2期の決算前後はストレスで倒れてしまいそうだったそうです。
そこで柔軟に対応してる税理士を探していたところ、私の事務所にお問い合わせいただいたという流れです。
税理士選びで重視すべき2つのポイント
上記のエピソードから、私達は税理士選びで重視すべき2つのポイントを学ぶことが可能です。
以下ご紹介したいと思います。
1)サービス業であることを認識している人を選ぶ
資本主義でビジネスをするということは、いかに「相手の困りごとを解決してあげるか」又は「相手を喜ばせてあげられるか」の競争だと思います。
もちろん、喜ぶからといって脱税等のコンプライアンスに抵触するようなことはしませんが、顧客のニーズに対応したサービス業を行っているという自覚を持つ人間を選ぶことが望ましいです。
先ほどのケースですと「記帳をしてほしい」ですとか「クラウド会計に対応してほしい」という明確なニーズがあったにもかかわらず、この先生は対応しなかったわけです。
従来型の「先生業」でお客様が満足する時代はとっくに終わりましたし、このような対応をする税理士は若手には少なくなってきています。
2)税理士は数字のプロ・コンサル契約するなら慎重に
コンサルタントという看板を掲げる税理士は慎重に調査して、顧問契約の可否を判断する必要があります。
自社で記帳をしてもらい、コンサル等のアドバイスを謳って高額な顧問契約を締結しようとする税理士がいます。
もちろん、コンサルタントとして優秀な税理士は実在します。これは紛れもない事実です。
ですが、基本的に税理士は数字のプロであってそれ以外については素人であるケースも多いです。
コンサル的な付加価値を謳う税理士の場合には、実績を出しているかしっかり確認することを怠らないようにしていただければと思います。