現在、世界の成長市場といえばアジアであり、アジアは近代的小売りの発展が存在する世界でも稀な地域である。 一方で日本のブランドにとって国内市場は飽和ぎみだが、アジア各国における「日本」ブランドの価値は他を圧倒しており、これからがそのブランド価値を金銭に変える刈り取り時期と言える。コアバリュー「日本」の強みを今こそ意識したい。
アジアは世界最大の消費マーケットに成長した
今、世界の成長市場といえばアジア。非常に利益の大きいエリアである。
可処分所得が上昇している消費者が急激に増えている。もし、この柔軟な新しく未開拓の消費者のロイヤルティーを確保できたら、大変長期にわたり価値ある市場である。
このことは何万人という単位の話ではなく、何十万人でさえもない。膨大な広がりを持つ新消費者群である。
中国では第2位、3位の都市がその対象であり、ミャンマー、ベトナムなどは今までブランドの進出が無いに等しかったが、急速にブランドに市場開放している。
この背景としては、小売り市場の成長だけでなく、近代的小売りの発展が存在するということが重要である。
この要因は他にないユニークな市場環境を形作り、既存の有名ブランドや新出ブランドはアジア市場参入に前向きである。
日本は国内市場が飽和もアジアでチャンスあり
一方で日本のブランドにとって国内市場は飽和ぎみだ。
事実、日本のブランドはアジアで長い間ステータスと高品質の象徴であり、また日本はアジア市場のトレンドセッター(流行の仕掛け役)と見なされていた。
国際的なブランドコンサルタント会社、フューチャーブランドの国家ブランド指標によると、最近日本が国別ブランドで一位にランクされ、またオリンピックやラグビーワールドカップが開催される。
それに加えて前述のアジアの繁栄による日本の旅行業界の増収、アセアン地域では2015年12月に消費者6億人の自由貿易の地域統合もある。
すべての駒が日本のブランドがこの状況を利用しアジア全域で発展するような配置になっているといってよいだろう。逆方向にも、同じ理由で今、他のアジアブランドも日本参入をねらっているにちがいない。
日本企業にとっての強みは日本発祥であること
・その国(日本)やそのブランドは「スタイリッシュ」「デザインが優れている」「クール」とは捉えられていない。日本ブランドは信頼できるが、あまり感覚に訴えてこない。明確な位置づけと強力なブランド計画をもってして、このギャップを埋める必要がある。
・もし日本のブランドが消費者とのつながりを築いてバリューカーブを上昇させたければ、強力なデジタル戦略を発展させ、明確なブランド計画する必要がある。
J. ウォルター トンプソン「アジア市場における日本ブランド」より
これらの点を考慮すると、とるべき方向性は日本市場にとって明確に見えてくる。
ブランドをローカライズすることが重要な業界もあるが、本質は日本的なところを残してコアバリューから自社ブランドを経営し、派生的な要素に関しては市場に合わせて変更するべきだろう。
日本のブランドがせっかくのチャンスを逃したら残念なので、上記のことは気に留めてもらえると幸いである。
既に世界中の企業がアジア各国に参入している
終わりに、最近のアジアでのフランチャイズニュースについて、簡単にまとめておいた。
このようなことからも今のアジアの動きというのを感じていただきたい。
・スムージーチェーンのジャンバジュースは、キング オブ ジュース株式会社とタイ国内で今後10年間にジャンバジュース30店舗を展開するマスター開発契約を締結した。
・クロニック タコスは、多店舗のフランチャイズ所有権&エリアデベロッパー契約で、高品質のメキシコ料理をアジアに持ち込んだ。
・先月、アイスクリームチェーンのコールドストーンは、ベトナムを本拠地とするTNCグループ(ハードロック カフェなどのフランチャイズを国内で運営するレストラン会社)とマスターフランチャイズ契約を締結したと発表。 この契約により今後5年間でTNCはベトナム国内でコールドストーン30店舗を開く予定である。
・家庭用品、アクセサリー、衣料ブランドのキャス キッドソンは、日本のフランチャイズ権を買い戻した。
キャス キッドソンCEOのケニー ウィルソンは、「日本は弊社にとってイギリス以外で最大の市場であり、ブランド世界戦略の要である」、「2016年は、東京で第一号店を開いてから10周年を迎え、アジアでこのブランドがさらに成長するビジネスチャンスを見込んでいる」とコメントしている。
・KFCがミャンマーに6月30日に第1号店を開いた。
・2015年4月アスラポートダイニングとの契約で日本市場に再参入。
・手作りのスティックタイプのジェラートのポップバーフランチャイズは、日本で最初の拠点を1月26日に東京渋谷で開いた。