インターネットが社会のインフラとなり、その市場規模はますます大きくなる一方です。クリック一つで何でも買えて自宅まで届けてくれる時代になったせいか、街に人が出なくなったとも言われています。しかし、リアル店舗を運営している場合でも、顧客と積極的に触れ合う、ライブ感がある店舗を作っているなら、まだまだファンを増やすことは可能です。
店内でコンサート?!グッドビジネスを目指す文具店
神奈川県愛川町役場の向かいに、「たまのや」というユニークな文具店があります。
文具や事務用品の中でも、ポチ袋、のし紙、折り紙、ハサミ、筆類、写経道具などの品揃えが充実しており、文具店なのに飴玉も販売しています。
それ以外にも、なんと、猫グッズやアマチュア・プロを問わぬCDコーナーまで設置されているのです。
店主の市川直久さんは若い頃、商業界ゼミに参加して、須田泰三先生の「効率だけを追ってはいけない」という教えに影響を受けたと言います。
その結果、市川さんは「売れるもの」ではなく、「自分が面白いと思ったもの」を販売し、「ビッグビジネス」より「グッドビジネス」を目指すことを持論に経営を行っています。
また、市川さんは店内で落語会やコンサートを実施しています。
落語会は最初は店内でやっていましたが、狭いので今では商工会館を借りています。
コンサートは店内の特設ステージで実施しており、自分でかっぽれを踊ったり、オリジナル曲を歌ったりしています。
とにかく店にいることが楽しくてしかたがないという市川さんです。
売上や効率だけを追い求めるのではなく、楽しい経営を目指しているとこんなに面白い店になるのかと、目からウロコです。
対面販売やイベントで活気ある売場づくりに成功する鮮魚店
2016年度の優良経営食料品小売店等コンクールで農林水産大臣賞を受賞した、東京・練馬の鮮魚店「シュン」では毎日数百種類の海産物を揃え、スーパーとの違いを打ち出しています。
買物客のデータ分析で男性客が半数を占めていたため、対面販売コーナーで男性客にも食べ方や調理のコツを説明し、「あんこう祭」など年間60回以上開く週末のイベントも男性客に好評です。
旬の魚やイベントの情報はメールマガジンや手書きのポスターで告知し、魚屋による魚料理研究会では、「貝の美味しい茹で方」、「バーナーがない家ではどのようにして【かつおのタタキ】を作るのか?」といった食育を積極的に行います。
「顧客との会話を大事にする対面販売に注力してきたことが良かった」と話すのは、大川戸健代表取締役です。
「ライブ感」のある店舗へ人がますます集まる
クリック一つで何でも買えて自宅まで届けてくれる時代になったせいか、街に人が出なくなったとも言われています。
交流や触れ合いを大事にし、面白さや意外性がある「たまのや」のようなお店、年間60回以上もイベントをやっている鮮魚店「シュン」のような店に共通するもの、それは「ライブ感」です。
インターネットが社会のインフラとなっても、人は朝市、フェスティバルのような場所へ、ますます集まるようになっています。
もしも店舗を運営されているなら、自分のお店にライブ感があるかどうか、一度チェックしてみるのはいかがでしょう?
Photo via Visual hunt