中小零細企業を経営していると、「会社の規模が大きくなったのに幸せを感じられない」「会社は成長しているのに家庭崩壊が起きてしまった」という、不幸な事態に見舞われることが多々あります。これらの事態に飲み込まれ、ダークサイドに落ちぬためには、家族はもちろん、従業員を肯定し、認め、身の回りにいる大切な人へ幸せの連鎖を起こす必要があります。
中小零細の経営状況は社長の状態で決まるもの
商売人は、商売が上手くいってもいかなくても、闇の部分に心とか命が引きずられていくことがあります。
そこで今日は、「社内と社外と家庭のバランス」についてお話をします。
中小零細企業の経営状況というのは、大前提と致しまして、やはり社長の状態で決まるものです。
社長の考えであったり、価値観であったり、もちろん社長の生い立ちも、どんな経営をするかに影響するところがあります。
会社は成長しているのに幸せを感じれない瞬間
経営をしていく中で、社長の考えや価値観が変わっていくことも、勿論あります。
しかしながら、社長といえど普通の人間ですから、特に社長さんが元・勤め人の場合は、勤めていた会社の社風と同じような会社を、気がつかないうちに作ってしまう傾向があります。
創業メンバーについても、やはり社長のもとに集まったメンバーで、ビジネスモデルに惹かれるというよりは、社長そのものに惹かれて一緒に始めるというケースが多いわけです。
これは、ベンチャー企業についてですが、スタートアップだと、事業構想段階に関わる平均的な社員さんの人数は3人。
それから、アーリーステージの事業だと営業利益も赤字段階、まだ始めたばっかりの頃に関わっている人数は平均4.2人。
ミドルステージまで事業が拡大し、営業利益が黒字化した段階で事業に関わる人数は、平均で17.6人という社員数の統計が出ています。
これが、レイターステージ、つまり株式公開に向け内部統制等の管理体制を整備する段階になると、平均で32.9人まで増えます。
会社としてはまだまだ小さい段階なんですけれども、やはりね、今のベンチャー企業っていうのは意外と、もっと小さいと思うんです。
うちも最高益をどんどん叩き出しているミドルステージらへんの段階ですけれども、今は20人いなくても凄い利益が出せますからね。
こんな感じで、ステップごとに考えも段々と変わっていきます。
外部の人間も入ってくるわけですから、そうなると創業メンバーからは色々意見が出てくるわけです。
「俺は別に会社を大きくしたくなかったんだけどな〜」 という意見を持つメンバーもいるでしょう。
あるいは会社が段々大きくなるにつれて、ルール決めが沢山出てくるわけです。
そういうルールみたいなことが嫌いで会社を飛び出して、会社を始めたのに「結局またルールばっかりになってしまった!なんで!」って。
色々な人が入ってくると、ルール決めもしなくてはいけないので、それが嫌になったり、色んな事があって創業メンバーがいなくなって、辛い気持ちになったりするんですね。
このような感じで、会社は成長しているんだけれど、「幸せなのかなぁ」と思う瞬間が経営者にはあります。
それでも、社長ってホント残るんですよね(笑)
社長はちゃんと残って、そのときの会社のステージに合ったメンツを集めると。
事業が順調でも不調でも起きやすい家庭崩壊
あともう一つ、事業が順調にいってようが不調であろうが、” 家庭崩壊 ” というのは、どっかで1回は来ると思った方が良いです。
崩壊は崩壊でも完全崩壊では無くて、半分崩壊みたいなのがよくあるケースです。
事業が順調にいっている時は、社長さん自身の考え方がどんどん変わっていって、組織論みたいなことを考えていきますので、家のことなんかほっぽらかして会社の方に一生懸命になっていきます。
そうすると、家庭としては置き去りにされた感じで、崩壊が起こります。
それから、事業が不調の場合はどちらかと言えば、お金の問題で家庭崩壊が起きがちです。
家庭側がカネカネ言うわけですよ。
そうなると借金取りにいつも追われているような感じで、「おまえは家族だよな?!俺がどんな想いで事業を始めたか分かっているよな?!」ってなるんですけれど、家庭側には家庭の事情がありますからね。
「いいからお金を持ってきなさい。あなたの商売がどうだとか関係無い。生活費!カネ持って来い」ってなるわけです。
社長さん達を見ていると、本当に色んな形の家庭崩壊があるんだなと思いますよ。
家庭と従業員に幸せの連鎖を起こすメリット
こんな感じで、どういうステージに立っていたとしても結局、社長である自分自身が不幸せの連鎖の中心になってしまうケースは非常に多いです。
その時に、やはり自分たちは幸せの連鎖を起こしていかなければいけないし、その中心は自分でなくちゃいけないって思ったら、いの一番にやるべきことがあります。
それは、自分にとって一番身近なところにある、家庭から幸せにしていくことです。
次に、自分にとって近いのは従業員さんです。だから、従業員さんも幸せにしていかなくてはいけない。
家庭でも従業員さんとの間でも幸せの連鎖が作れるようになると、取引先には自然と幸せの連鎖が伝わるものです。
「おたくはいつも明るくてイイね〜」
「おたくの従業員さんは明るくてイイね〜うちも行くだけで幸せになるよ、応対も良いしね〜」
って伝わるんですよね。
結局、いくら不幸せな人に「顧客第一主義!!!」とかハッパかけても、しょうが無いじゃないですか。
我々も色々な会社訪問に行って、ミーティングとかを見せて頂くと、社員さんの幸せとかそっちのけで「顧客第一主義だ!!!」とか「これが分からん奴はクビだ!!!」とか、そんなハッパかけたって何の意味もないのに、という光景をよく見かけます。
そんな時、私はいつも思うことがあるんです。
それは、人を動かす時にいくら正論を言っても、人なんか動かないということです。
いくらヒステリックにキャンキャン怒鳴ったって、もともと正論さえも聞かないんだから。
良い人間関係は肯定し思いやることで育まれる
結局のところ、良い家庭や良い会社って、人間関係がそれなりに上手くいっていれば、意外と作れるものだったりします。
「会社が嫌だ」って従業員さんが辞表持ってくる時は、大抵みんな、人間関係が嫌で職場を辞めたいわけじゃないですか。
ですから、社内も家庭も人間関係を良好に保っていれば、それなりに上手くいくんです。
じゃあ、人間関係を良くするための基本は何だろうと思ったら、やっぱり相手を認めて肯定することだと思うんですね。
そして、思いやり。
助け合う思いやりとかね。そういうことが非常に大事です。
私は常々、「業績は社風で変わる」っていう持論を持っています。
本当に良い会社っていうのは、人を肯定できる人達で構成されているし、みんなで助け合うんですよ。思いやりがあるからね。
そして、そういう風に会社が動いていれば、取引先さんもみんな喜んでいるんですよ。
みんな1回は闇の部分に引きずられたことがある、っていうのが普通の事業者なんで、特に10年やってらっしゃるっていう方なら、なんかこういうこと1回くらいあったよな〜、って思われることでしょう。
なぜか分からないけれど、自分が不幸の軸になっちゃって、不幸を連鎖させちゃうような、全然幸せじゃない!みたいな状態が1回くらいは来ているはずなんですよ。
ですから、そういう状況にたとえ1回は陥ったとしても、とにかく自分は与える側の人間なんだっていうことと、なるべく肯定と思いやりのある人達を集めてやっていけば、なんとか立ち直ることも出来ます。
まずは、家庭を第一に大事にして、それから経営を立て直す!っていうことですよ。