為替の円高傾向が強いにも関わらず、トヨタの業績は上方修正されることが見込まれています。海外進出してもうまく行かず、多額の為替差損を計上している企業と同社の違いは、各国通貨による資金調達を可能にしているか否かに、一つの原因を見出すことが出来ます。海外進出の大原則は、「投資は株式で保有し子会社は資本で保有する」ことです。
円高にも関わらず上方修正見込むトヨタの強み
円高にもかかわらず、トヨタが業績を上方修正すると報道されています。
トヨタの強みを幾つか紹介すると、まず彼らは、現地生産、現地販売を徹底しているだけでなく、世界各地であらゆる種類の通貨による資金調達を可能にしています。
操業体制にしても、為替的にも世界最適地で製造販売ができる体制を整えています。
また、どこかでとりあげられればと思いますが、トヨタのB/Sは本当に綺麗、というと語弊があるかもしれませんが、非常にバランスのよいものです。
一方で海外進出してもうまく行かぬ日本企業
一方で円高に伴い、多額の為替差損を出している企業は、トヨタと比較すれば当然現地生産、販売、あるいは多通貨の資金調達が実現できていないはずです。
少し気になっているのは、海外進出を始めている企業群です。
海外進出を始めると、当面、運転資金も含めて赤字が続き、資金が不足するたびに日本から送金をせざるを得ません。
現地法人では信用力もなく、日本で日本円で資金調達をし、それを子会社に円建ての貸付の形で送金をします。
この場合、単体で為替の問題が生じるのは当然ですが、連結でも、日本円を現地法人へ送金するため、結果として日本円が外貨になってしまいます。
ここでは、連結上の決算も為替の影響を受けてしまうことになるのです。
実際には投資であり、資本なはずですが、先行きが不透明な投資フェーズでは、やむを得ないケースもあるはずです。
しかし、海外で使う多額の資金を日本円で借り入れ、外貨に変換していれば、相当な為替リスクが生じてしまいます。
また、米ドルであればまだよいですが、アジア圏であれば、両替の手数料も相当な金額になっているはずです。
大原則:投資は株式で保有し子会社は資本で保有する
本来は投資は投資として、株式で保有し、子会社では資本として持つことが望まれます。それだけでも為替の影響がかなり軽減されるはずです。
しかし、これを決めるのが経営意思決定です。
為替は損が出る場合もありますし、為替が逆にふれれば益が出るわけなので、短期的に簡単に答えが出るものではありません。
しかし、トヨタを見ていると解決策はある、と確信を持てます。
よい見本を研究し、自社のために利用できるように、ぜひ読者の皆さんが実行されるきっかけになればと思います。
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