食材にこだわったし、料理も手を抜いたワケではない。それなのにちっとも儲からない。このようなジレンマを抱えて、開業から2年の間に新規飲食店の50%は廃業せざるを得ない状態に追い込まれます。なぜ、店主がこだわるあのお店は潰れてしまったのか?その答えと解決策を提示します。
飲食店は開業から2年間で半分が潰れてしまう
今日は飲食店の「店主こだわりのお店」がなぜ潰れるのか?というお話をしようと思います。
飲食店というのはもともと潰れやすい業種と言われておりまして、なんと開業1年未満で35%のお店が潰れてしまう、という閉店率の統計が存在します。
更に、開業2年未満で50%のお店が潰れてしまいます。
では店の規模として、どのくらいの広さの店が潰れやすいのかというと、10〜20坪のお店が45%。
10〜20坪ですからだいたい席数でいうと15席、20坪ならパンパンで入れて30席取れるか取れないかですから、まぁ15〜30席くらいのお店が半分くらい潰れています。
狭くて店主が1人いて、カウンターの席だけあるというくらいのお店は、むしろ潰れにくいっていう傾向も出ております。
店主こだわりのお店が潰れてしまう理由とは?
では、なぜあれほどこだわっていたのに、あのお店は潰れてしまったのか?ということについて考えてみましょう。
飲食店の場合は店主がこだわればこだわる程、原価率が上がっていき、ロス率も上がります。
これを試算していくと、普通に飲食店をやっていても、原価率ってだいたい40%くらいになっちゃうんです。
これが、こだわると更に跳ね上がります。ロスも含めて原価が上がってしまえば、なかなか粗利益も出なくなって、儲からなくなってくるんですね。
あとは、開業前の人もそうなんですけれども、飲食店を始めようとする人って、こだわりというのが自分の考える商品力しかない場合が多いんです。
「こういう料理を売ればお客さんはたくさん来てくれるハズだ!」って思っちゃうんですよね。
ところが飲食店は商品力の前に、顧客層っていうのも大事ですし、立地・サービス・販売促進、ってこういう要素もしっかり関わってこなければいけないのに、こだわりが商品力だけ!っていうのが多いんですね。
これが、店主こだわりのお店がバタバタと潰れていってしまう理由です。
商品力だけにこだわる人は繁盛につながる他の要因に気が付かない
ですから商品力だけこだわっている人に、例えばサービスで売っているお店を見せたりしても、全然分からないし、気付けないんですよ。
- ・この店は立地をどういう風に考えてここに決めたのだろうか
- ・ここの店はサービスで売っているな。商品力で売っていないな
- ・販売促進はどうやってやっているのかな
こういうのが見えないので、開業した飲食店が1年以内に35%無くなってしまい、2年経てば半分無くなってしまいます。
あと、こだわりを持った店の特徴として、その人達が一生懸命に情報発信しようとして、よく自分が食べるメシの画像とか載せるじゃないですか。
だけど、「お前の食ったメシに興味無い」…そういう人って多いはずなんですよ。
店主のこだわりなんて興味無いし、facebookでイイネ!して下さいって言われてもね、全然興味無いって人が殆どだと思ったほうがよいです。
リピーターは大事だけれど新規集客も忘れるな
あとは商売をやるうえで大事なことを忘れている人が多いです。
それは、とにかく新規を増やすことです。それと並行しながら、リピーター・固定客を増やさなければなりません。
飲食店を長くやっている人達でよくいるのが、新規の顧客を増やす作業がほとんど無くて、「うちはもう固定客だけでやっていける」って主張するパターンです。
でも、新規を増やさないと、後々絶対にやって行けないですから!バタバタ潰れて行くんですから。
だから、新規も増える仕組みを作り、そしてリピーター・固定客が増える仕組みを作って行くわけなんですけれども、その時に店主のこだわりが大事なの?って話になります。
ここに必ず行き着くんです。
じゃあ、1番良いのは何かっていうと、お客様に合わせて少しずつお店を変えて行くことなんです。
どうやって変えれば良いかというと、お金を払ってくれたお客様に「来てくれた理由や要望」を聞けば良いんですよ。
そしたら、色んな意見が出てきて、店主のこだわりはほとんど関係なくなっていきます。
実は近くて安かったから〜とかね。来てくれた理由は、実はそんなものかもしれません。
商売っていうのは基本的に変えていかないといけないんですけれど、こだわりが強ければ強いほど、変えない傾向があるんですね。
ですから「店主のこだわりのお店」というのは非常に潰れやすい。これが現場の意見でございます。