基本的に消費税には、「収入(対価)を得る=消費税の対象」という大原則が存在しています。従って、殆どの取引に消費税が発生するのですが、一分の収入については、消費税を非課税とすることが認められています。そこで本稿は、消費税の支払いが不要な非課税ビジネスを5つご紹介いたします。
消費税がかからない収入をビジネスで得る?!
消費税がかからない収入があるとしたらオイシイ商売だと思いますか?
商品を販売したりサービスを提供した時に入ってくる収入については、ほとんどのケースが消費税の対象となります。
ただ、一部の収入については「消費税を課すことが適当でない」ということで非課税とされているモノもあります。
消費税が平成31年に上ることも見越せば、非課税ビジネスは無いものだろうか?と考える方もいれば、消費税の支払いに関係ないなら余計な支出はその分野では辞めておこう!と考える方もいるかもしれません。
そこで本稿は、消費税の支払いが不要な非課税ビジネスの代表例を5つほどご紹介しましょう。
消費税の支払いが不要な5つの非課税ビジネス
1)病院・クリニックの保険診療収入
病院やクリニックなどの診療に係る収入のうち、健康保険などが適用される収入については消費税がかかりません。
ただし、消費税がかからないのは保険が適用される部分のみの話です。
インプラントや健康診断など、保険の適用外になるようなサービスについては消費税の対象となります。
また、美容整形や入院時の差額ベッド代、入院証明などの文書代なども消費税の対象です。
最近は、病院経営の観点から、保険適用外の診療(自由診療)の収入が増えてきた病院も多いようです。
特に歯医者さんなどでは保険以外の収入をメインにしているところもあるので、病院・クリニックを運営しているから、と言って消費税を払わないわけでは無くなってきましたね。
2)デイサービス・グループホーム・老人ホームの介護保険対象サービス
介護に関するサービスのうち、デイサービスやグループホームなど、介護保険の対象となるものについても消費税は非課税となります。
ただ、介護事業の全分野が非課税となるわけではありません。
デイサービスなどで行われる機能訓練や、レクリエーションなどのオプションサービス、訪問型の健康診断などは対象外となります。
介護にかかるサービスではなく「介護保険を使って受けられるサービス」と覚えておくと良いかもしれないですね。
3)整体院・治療院などのサービスの保険適用分
整体や針きゅうなどで受けるサービスであっても、労災や自賠責保険などで受ける治療は消費税が非課税になります。
交通事故のむちうち治療などを整体院などで受けるとき、保険が適用されるケースがあります。
そういったサービスについては消費税が非課税になるんです。
ただ、一般的なマッサージや治療については消費税の対象になるのであしからず・・・。
4)アパート・マンションの賃貸による家賃収入
住宅用のアパートやマンションの家賃収入についても消費税が非課税となります。
ただ、住宅用の物件であっても、今はやりの「民泊」のように短期的(1か月未満)な使用の場合には、賃貸収入が消費税の対象になります。
短期的使用の場合はどちらかというと、住宅の貸付というよりもホテルの収入のようなイメージで捉えておきましょう。
そのほかにお店や事務所などのテナントから入ってくる収入、駐車場として貸して入ってくる収入についても消費税の対象となります。
住宅用の物件なのに事務所として使用している人がいられます。
本来の目的と違うカタチで使用してしまうと、大家さんにとっては消費税を負担しなければならないリスクも出てしまうのです。
貸す側も借りる側も、消費税をしっかりと認識しておく必要がありますね。
5)株・FXなどの投資ビジネスで得る売却益
最近は会社を利用して投資をする人も増えてきました。
「投資法人」「FX法人」などと呼ばれるような会社ですね。
もちろん個人でも投資をやっている人も多いかと思いますが、株式取引など有価証券を売買する行為は、基本的に消費税が非課税となります。
消費税の非課税にこだわりすぎると損する事も
「消費税が非課税」と聞くと、少しオトクに思えるイメージもあるかもしれません。
売上の規模がそんなに大きくなければ、多少は消費税の非課税のメリットがあるかもしれません。
ただ、実際には非課税になるような売り上げというのは、
- ▼ 社会政策的に消費税を課すことが適当でないモノ・・・医療や介護、教育、住宅の貸付など
- ▼ そもそも消費されるようなサービスではないもの・・・株や土地の売買など
といったように限定的なものですし、その分野へ参入するにもハードルが高い業種が多いです。
また、ビジネスが大きくなると「非課税の売上があるために実際の手取収入が少なくなる」という逆転現象も起きてしまうこともあります。
消費税の非課税にこだわってビジネスをしても、それほどのメリットは無いというのが現実と考えた方が良さそうです。