中小企業が悩んでいることの一つに、「良い人材が来ない現象」があります。この問題の原因は、「どういう人材を採用したいのか」について、経営者が思想を持っていないことにあります。解決方法は「良い人材」が集まる募集要項を作成し、人材を雇った後は経営者が教育係となることです。キミアキ先生が解説します。
中小企業で人材問題に悩める会社はマシな会社
今日は、いつも現場でお悩み問題としてあがる、中小企業の「良い人材が来ない現象」について取り扱ってみようと思います。
中小企業は大体いつも、「良い人材がいない」「良い人材が来ない〜!」と悩んでいるわけなんですけれども、じゃあ、自分が雇われ人として働く立場になったら、実は中小企業なんか行きたくないんですよね(笑)
やっぱり大企業で働きたいですよね。
大企業には入れなくて、仕方がないからもう中小企業に行くしか無いっていうのが現実であるので、そこら辺も踏まえてお話します。
中小企業の悩みというのは、1番最初は売上です。売上が継続的にあがらない、これが第1段階の悩みですね。
次の第2段階で悩むのが資金の問題です。
売上が上がってきても、やっぱり商売というのは先払いの後貰いが原則です。先に支払いの方が出て行くので、資金的に困る状態というのがずっと続いていくんですよね。
売上の悩み、資金の悩み、そして第3段階に来るのが人材問題の悩みです。
でも、人材で悩めるっていうのは、実は結構幸せな方なんですよ。
というのも人材で悩むようになる前に、多くの企業は落ちていく…要するに廃業してしまうからです。
人材で本気で悩めるようになったら、多分、それは10社中に1社といわれている生き残り組の会社になっているということです。
そうなってから人材の獲得について本気で悩みだすんです。
「良い人材が来ない現象」原因は経営者の思想
中小企業の人材採用でよく間違えが起きるのが中途採用です。
中途と新卒って違うので、「どういう人を採るのか」ではなくて「どういう仕事があるのか」と考えて、人材を採用するのが普通です。
仕事ありきで、どういう仕事・作業があって、それに合う人を雇う、っていうやり方なんです。
ここが私は、中小企業の「良い人材が来ない現象」の始まりだと思っています。
つまり、「そもそもどういう人を採用したいのか?」っていう思想が経営者に無いんです。
この仕事があって、それに合う人を採用するっていうやり方なので、ここら辺だよな…って適当じゃないですか。
そしてこれも中小企業の採用には無い考え方なんですけれど、「結局さ、できるヤツってさー、結局は何やらせてもできるじゃん」っていう考え方がそもそも無いんですよ。
ゼロベースで「できる人を雇う」という概念が無いのは、本当に大問題です。
人材屋は無視。良い人材が集まる募集を出せ!
こんな感じで、社長さんたちがよく「良い人材が来ない現象」について相談してくれるんですが、そんな時は大体「そもそも、できる人が応募して来ないじゃあ無いか!」ってところに行き着きます。
そしてこの話は次も決まっているんです(笑)
「チョット待って社長さん、社長自身が、そもそもちゃんとできる人を募集していますか?募集要項でちゃんと伝わっていますか?」って私が言う。
それで、募集要項を見てみると、やっぱり全然伝わっていないんですよ〜。
人材屋さん…まぁ広告屋さんですけれど、こういう人たちの言うことを聞いていたら、やっぱり駄目です。
人材屋さんは、本当に優秀な人材が来るような、そういう募集をさせてくれないと思ってください。
ですから、本当にできる人間を採用したいと社長が本気で思っているんだったら、そういう募集の仕方をしなければいけません。
そこまで言うと社長がハッとして、「んあ〜!そうだよな〜(汗)」って自分の所の募集を見ながら言うんですよね。
本当に優秀な人間を自分が採ろうと思っているなんて、この募集じゃ伝わらないよな…って。ここまでがだいたいお決まりのパターンです。
ですから、なかなか自分の所に良い人材が来てくれないとお悩みの方は、自分達がどういう募集の仕方をしているのか、もう1回見つめなおしてみてはいかがでしょうか。
良い人材の教育係には必ず経営者が付くべき
さて、良い人材が仮に…仮に!採用できたとしたら、その人材を教育するべきなのは誰でしょうか?
中小企業の特徴として、社員が育つ…要するに社員自らが考え、社員自らが動くようになってくれることで楽をしようと思うのは、社長だけだと思った方が良いです。
幹部や先輩方は新人さん達が育つことによって、自分が楽をしようなんてほとんど思っていないです。
ですから新人の教育係に1番適しているのは、中小企業の場合だと社長さんです。
そうしないと、全くと言ってよいほど後から楽が出来ないんですよ。だって、本気で楽をしようなんて思っているのは社長だけなんだから。
自分が楽を出来るように、社長が自分でしっかり教育すれば良いんです。
それから、雇われる側の立場に立つと、中小企業に実力主義っぽいイメージを持っているかもしれません。
「自分も腕一本で幹部に伸し上がれる!」みたいな。
確かに「無い」とは言い切れませんけど、中小企業って実際は、実力のある従業員さんて殆どいません。
ですから大企業を飛び出した人は、中小企業に行った瞬間に、あまりに幹部連中のレベルが低くて愕然とすると思います。
なんでこの人達こんなに仕事できないの…って。
それくらい、なんとかなっちゃうものなんですよ、中小企業って。
そういう集団で動いていくっていうのが中小企業ですから、入る方はそんなに緊張すること無いですよ。(笑)