仕事ができない30歳は会社で作られる
今日は、『仕事ができない30歳は作られる』というテーマです。
”作られる”っていう感じで、自然とできあがるものではなくてね、なんかね〜皆さんも思ったことはないですか?
「あそこの会社って何もできない30歳を作ってるよな〜」みたいな(笑)。そういう会社さんもあるわけですよ。
そこで今日は、ちょっとした実験結果をご紹介したいと思います。
セリグマン博士という方が小学生を760人集めて、それも無作為に選んだのではなくて、絶望感とか無力感とかを漂わせる…いわゆる「やる気のない」小学生を760人も集めて、そして25日間の実験をやりました。
実際には算数の問題を解かせるんですけれども、その無力感・絶望感が漂う小学生を2つのグループに分けます。
まずは「赤のグループ」としましょう。このグループにはとにかく簡単な問題を解かせて成功させます。
考え方としてはとにかく甘やかすんです。
そして、問題が解けなくても「言い逃れ・言い訳OK」で一切責めることはしない。こういう指導を25日間行いました。
もう一方は「青のグループ」としましょう。
こちらのグループは【再教育】という考え方で指導します。
赤のグループと同じ問題を使うんですけれど、要するに簡単な問題なんですが、ちょっとイジワルなのが1日に2つだけ少し難しい問題を混ぜておくっていうことをやるんです。
そして、解けなくて失敗した時に、あえて「自分が解けなかった問題は、皆さんの努力が足りなかったから解けなかっただけなんだよ。」って、そういう教育をするんです。
赤と青、どちらのグループが難題にチャレンジしたか?
このように違った教育方法で、25日間、赤と青のグループはそれぞれ、算数の指導を受けていき、25日の指導後に新しい問題を解かされることになります。
「解ける・解けない」とかじゃなくて、見たこともないような全く新しい問題を解かされました。
そうすると…これまでずっと甘やかされて確実に成功するように導かれた赤のグループは、ただ単に混乱するんですね。
大人の世界で言うと「あいつフリーズしちゃっているよ」っていうやつですね。
ところが、1日2問の難しい問題が混ぜられて、「それが解けなかったのは努力が足りなかっただけなんだよ」という指導をされた青のグループは、新しくて見たこともないような問題を見ても、解こうとするんですね。
そして、解けなかったんだけれど、「もう1回解かせてください!」というふうに再チャレンジまでしようとしたと。
たった25日間で、これだけの差が出てしまったっていう話なんですね。
25日でこの結果ですよ??ではこれを皆さんの会社で置き換えてみてください。
難しい仕事から逃げることを容認してきた経営者の罪
従業員が難しい仕事から逃げることを容認してきた社長さん方。
その下で、逃げることを完全に覚えてしまった30歳は、ちょっとややこしい仕事が入ってきたりすると、「自信がありません…すいませんっ(ペコリ)」となります。
こんな人材を作ってしまったのは一体どこの誰でしょう。
ってなると、やはりそこまで面倒を見てきた社長が反省するわけですよ。
「あれ…、、この実験結果を見てもアイツを作ったのは、俺じゃねぇか?!」みたいなね(笑)。
というのも、だいたい30歳くらいになると問題解決能力っていうのは、ある程度ついていなくてはいけないし、本当に何か問題が起こった時に「まず、血を止めろ」と、それで考えるのは後だと。
ところが、ややこしい問題が起こった時に、それまで鍛えられていない人間っていうのは、本当にただアワアワするだけなんですよ。
思考が停止してアワアワして混乱して終了と。
私も本当に思うんですけれど、このセリグマン博士の実験で、さんざん甘やかされてきたグループ同様に、会社の中でそいつができるような簡単な仕事ばっかりをやらせます。
そして、少しややこしい仕事が入ってきて振ると「すいません!自信がありません」っていう感じで、言い逃れをOKにしてきたから、そういう30歳ができるんじゃないの?って。
そのまま40歳…50歳を迎え、問題解決ひとつできない人間が出来上がる
あとは教育係も、そうです。
社長が教育係として新人に先輩をつける時に、どちらの教育をさせているかです。
教育係というのは、新人が辞めると「新人潰し」と言われるから、だいたいは新人をとにかく甘やかします。
甘やかした結果、まったく使えない人間を作ってしまう。
それは、自分たちが新人潰しと言われないように、そして社長も新人を潰さないような人間を教育係に当てるんです。
つまり、赤のグループのタイプを教育係に当てて、そして何もできない30歳が完成して、そのまま40歳…50歳を迎えて、未だに問題解決能力ひとつ無いような人間が働いていると。
こういう現実を見ると、やはり新人教育の黄金期には、しっかりと青いグループの方の【再教育】の考え方、難しい仕事をしっかりとやらせてできなかったのは努力が足りなかった、という指導をしてみても良かったのではないかなと思います。