700万人強程度の人口で世界33位のGDPを稼ぎ出し、ニューヨークについで多くの大富豪を抱える都市、それは香港です。近年では中国の巨大な消費市場へ参入する足がかりともなっていますが、現地のビジネスマンはこれまでの歴史や文化を背景に独自の特徴を持っています。どのように彼らと付き合っていけば良いのでしょう?
世界中から資本を集めるアジアの大都市〜香港
私どもガルベラパートナーズは、米国はもちろん、ベトナムや香港といった地域へ進出し、現地における日本企業の進出サポートをしております。
今日は、香港に進出するなら事前に踏まえておきたい、現地企業や現地のビジネスマンに見られる4つの特徴をご紹介します。
香港は中国領土でありながら、自由経済が認められ、独自の権利を持った行政地域であり、更に低関税が実施されることにより、世界中の資本を集める都市です。
ゆえに、たった700万人強の人々で世界33位のGDPを稼ぎ出す、アジアで最も物価の高い都市、ニューヨークについで大富豪が多い都市に成長しました。
古くからイギリス領として、西欧諸国とアジアを結ぶ貿易の中継地点として栄え、現在では14億人の人口を抱える中国本土に進出する拠点でもあります。(検疫ルールなども本土と違って緩い)
古くからのことわざで、「郷に入りては郷に従え」とあるように、どこの国へ進出するにしても、現地の歴史や現地人の特性を踏まえて、臨機応変な対応を取ることが、ビジネスで成功する近道となります。
当然ながら、香港の企業やビジネスマンも、前述の歴史や文化を背景として、独自の特徴を持っております。
以下、ご説明していきましょう。
香港のビジネスマンが持つ4つの独自な特徴
1)曖昧な意思表示は許されない
香港は人口の90%以上が漢民族ですが、世界中から人が集まる人種のるつぼでもあります。
ビジネスの意思表示において、YESかNOかを明確にしなければ、香港では相手にとって都合の良い方向で物事を捉えられてしまいます。
相手の理解があいまいだと思うならば、何度も理解するまで自分の考えを伝え続けましょう。
言葉、表情、ジェスチャアを駆使してこちらの意思、気持ちを伝えねば、痛い目を見ます。
2)組織以上に人の能力を重視する
これは中国本土(特に上海を始めとする地域)と似通っている点ですが、香港人は独立して財を成すことに価値を見出します。
財を成すべくビジネスマン個々の独立心が強いため、「企業戦士」と言われるほど組織に対して忠誠心が強い日本人とは、正反対の価値観を持っています。
一方、人と人との人間関係を大切にする傾向があるため、どの会社と仕事をするかより、どの人と仕事をするかということを重視します。
すなわち、私達それぞれの能力や特性、パーソナリティを彼らは重視するため、対個人の付き合いが非常に大事になってきます。
日本で多少名が通っているくらいの企業に属していても、相手はそれを何とも思っていないケースが多いでしょう。
3)ビジネスの感覚はドライでルールにも厳しい
香港人のビジネスは非常にドライです。
たとえば、売掛金の回収の際に、一日でも回収が遅れると特に連絡をせず、遅延利息を付した請求書が即日発行されるということが多々あります。
日本のビジネスでは、そのあたりは柔軟に対応する会社が多いかもしれませんが、香港でのビジネスでは、得意先であってもドライな関係になるケースが多いです。
また、仲良くなると自宅のパーティへ誘ってくれたり、一緒に夜の繁華街で会食しようと積極的に誘ってくれますが、金の切れ目が縁の切れ目で、ビジネスの関係が悪くなると、100%こちらが悪いとすっぱり関係を切ってくることもあります。
4)日本人には好印象の人が多い
香港は中国本土と比較すると、対日感情が好意的なケースが多々あります。
というのも、中国本土と異なり香港は情報の拓かれた場所であるため、ラインもツイッターもフェイスブックも、更にはインスタグラムもグーグルも使えます。
また、「ここは日本か?」と思うくらい、日本の飲食店が大規模ショッピングセンター、街の至るところに立ち並びます。
テレビでも日本のニュースが頻繁に流れます。
たしかに、日本人に対して、「人が良すぎる」「騙しやすい」「何を考えているかわからない」といった具合で、日本で言うと田舎者を馬鹿にしたような、人を食った態度をする人もいます。
いっぽうで、日本人に対して、「街がきれい」「人が優しい」「まじめ」「裏切らない」という印象を持ってくれている人が多いのも事実です。
日本人の比較的弱い点を意識して補いながら、長所を十分にアピールすることで、信頼感を得やすくなるでしょう。
金が全てだけど金が全てではない〜日本人の強みを活かそう
なお、現地でビジネスをする場合、一番困る点として皆さんおっしゃるのが、「社員の採用と育成」の問題です。
人材採用は人材紹介会社を使うのが一般的ですが、香港には日本人が経営する紹介会社が多数ありますので、そちらを使用することをお勧めします。
人材育成は日本人以上に難しく、香港では終身雇用が定着しておらず、企業も一方的な理由で簡単に従業員を解雇できます。
そのため、従業員も条件が良ければ、当たり前のように転職します。
ただし、先述の通り、香港のビジネスマンは、組織以上に個々人の能力や特性、パーソナリティも重視する傾向を持っています。
従って、従業員の定着率を高めるためには、給与で魅力を出す以上に、社内の人間関係、会社を好きになってもらう必要があります。
そのうえで、日本人に対して彼らが抱いている好意的な印象を、社風や制度に反映できれば、それは大きな強みとなるでしょう。