非上場会社の株式譲渡を行う際に、買い手企業は何%の議決権を取るのが望ましいのでしょうか?確かに、株式の過半数を保有する株主には支配権が生まれ、3分の1超を保有すれば拒否権が生まれます。ところが、1株でも他者が株を保有するとコストと手間が発生します。株主の数が少ない非上場会社の株式を取得するなら、保有比率は100%を目指すのが理想です。
非上場会社の株式取得は株式譲渡で行われる
「株式を売買する」という言葉を見ると、一般的には上場企業の株式売買を想定される方が多いことでしょう。
ただし、非上場会社の株式を売買する際は、M&Aによりこれを行うのがメインです。
この際には、株式譲渡という手段により株式売買を行います。株式交換を行うケースもありますが、これは極めて稀です。
そこで本稿は、非上場会社の株式譲渡を行う際に、買い手企業は何%の議決権を取るのが望ましいか?ということについて考えてみましょう。
1株でも他者が株を保有するとコストと手間が発生する
株式の過半数を保有する株主には支配権が生まれ、3分の1超を保有すれば拒否権が生まれます。
従って、一般的には、株式の50%超、3分の1超の株式取得を目処にするのが望ましいとされています。
しかし、3分の1超の株式保有で拒否できることは、組織再編や定款変更などごく一部だけであり、役員の選任などは自由に行うことが不可能です。
また、株式の過半数を取得すれば、役員は自由に決められますし、ほぼ株主の意見どおりに経営はできます。
しかし、1%の議決権で株主提案権があったり、1株でも他者が保有すると、オペレーションとして株主総会を開く必要がある等、運営時の手間は想像以上に大きいものです。
非上場会社の株式取得は100%を常とせよ
株を取得する対象会社が上場企業であれば、過半数や3分の1超という議決権も、株主の数が多いことからそれなりに意味はあります。
ただし、非上場会社は株主の数が少ないのが一般的であり、1株でも株を持っているなら、その人間は会社に対して様々な権利を持ち、存在感を発揮することになります。
なぜなら、1人が1%しか保有していなくても株主が2人なら、嫌がらせをしようと思えば、株主の影響力は変わります。
従って、非上場会社の売買の際には、事前には想定できない細かい面倒なこと、トラブルの元となることを排除するためにも、100%の株式取得をお勧めしています。