「学歴なんて関係ない」は社長本人に限っての話
今日は少し辛辣なテーマなのですが、「学歴なんて関係ない」って労働者に言えますか?という話をしようと思います。
事業者の立場からお話させていただきますと、我々事業者同士、社長さん同士だと、「学歴なんて関係ない」という話は、あくまで社長同士の話として沢山出てきます。
ただし(笑)、それは社長同士で「あそこの社長は商売うまいよね!」「あそこの社長頭いいよね〜」とか「あそこの社長ほんとにお金の勘定がうまいよね〜」「あそこの社長ほんと人たらしでの使い方うまいよね!」とか、そういう話をするときに「学歴は関係ないよね」と事業者同士社長同士では話をします。
ところが、いざ自分の子供の教育の話となると、「お子さんはどこの学校に行っていますか?」とか、そういう話がたくさん出てきます。
自分の子供は中卒高卒でもいいよ〜なんて言う社長さんは1人もいませんよ。ぶっちゃけ、これが現実です。
ちゃんとそこそこの大学には入れてあげないとなっていう感じで、東京地区だと早ければ小学校4年生から中学受験の勉強を始めさせています。
うちの子2人について言うと、小学校6年生までずっとバスケットをやっていましたので、要するに中学受験をやっても落ちる事は分かっていたんです(笑)。
ところが、儲かっている社長さんほど中学受験にチャレンジさせるご家庭が多くて、小学校4年生からきっちり準備を始めます。
学歴の差は階級の差がそのまま反映されやすい
もう少しお話ししていきます。
まずは、おなじみ早稲田大学の橋本先生による日本の階級社会の図を見ていきましょう。
会社という組織の中にいるピラミッドの中の人と、個人事業者としてピラミッドを飛び出した人と、この違いを考えていこうと思います。
日本では個人事業者が労働者人口のうち12.9%を占めています。彼らの平均年収は303万円です。
税金ちょろまかすために所得を低くしているんじゃないの?と思うじゃないですか。
実際は普通に勤めているサラリーマンより、普通の個人事業者の方が収入低いですよ。ほんとに。
そして、労働者階級なんだけど正規労働者の平均年収は370万円です。
もう1回言いますね、自営業個人事業者は303万円で、自営業の貧困率は17.2%に対して、平均年収370万円の正社員の貧困率は7.0%まで下がります。
そしてアンダークラスといってパート・アルバイト・派遣さんの平均年収186万円と非常に低い層があります。
エリートサラリーマンを見てみると、専門職と言う事で捉えてください、管理職が専門職です。
ここで平均年収がざっくり500万円で、貧困率は2.6%ですからほとんど貧困に喘いでいる人はいないですね。
さて、ピラミッドの1番上の資本者階級を除いた部分が労働者階級と考えても良いでしょう。
上がエリートサラリーマン、それから下の方が普通のサラリーマンという感じで分かれているんですね。
この労働者階級の子供についてお話ししていきます。
「階級はあまり動かない」とは言っても、実は労働者階級から3分の1以上の子供たちが実はエリートサラリーマンに動いてるんです。
なぜ行ったかわかりますよね?
子供を良い大学に行かせたからです。そして、エリートサラリーマンの子供も半分以上はエリートサラリーマンに行っています。
これもいい学校に入れたからですよ。
なぜなら、親が頭の良い学校に行っていなくても自分たちではわかっているんですよ。「自分は学校に行ってなくて苦労した」って。
だから、「お前はいい学校へ行っておけ」って言われていることって結構あると思うんですよ。
私の父親も肉体労働者だったので、「お前は絶対にエアコンがかかった部屋で仕事したほうがいいぞ」とずっと言われていましたもん。
学歴の差が給与の差へと明確に反映される賃金カーブ
こういうことが露骨にわかってくると、自分の子供は良い学校に行かせたほうがいいに決まっているんです。
実際に、子供の教育にあんまり興味がないのは、自営業者(あくまで個人事業者)と、それからアンダークラスの方達です。
アンダークラスといっても夫婦で働いていれば世帯所得としては350万円位あるんですよ。
だけど教育熱心さはあまりないです。
なんやかんや、この正社員組というのは子供の教育に非常に熱心な方が多いです。
私が見つけてきたこのグラフは、ちょっと大企業っぽいのであまりに差がありすぎるかなと思うんですけども、学歴別の賃金カーブです。
40歳前からだんだん差が広がってきて、高卒とそれから大卒でこれ大企業のグラフだと思うんですけども、大企業で考えるとこれくらい差がつくと。
40歳前後で年収で200万円位の差って、本当に簡単についちゃうんです。
昭和の時代の人にとっては、それほど差がついていない会社も多いはずです。
昭和の時代の人たちが入った会社というのは、高卒と大卒の差がまだそれほどは大きくなかったんですね。
高卒でもちゃんと部署に入れたというのがあるのですが、今は高卒と大卒それぞれ入れる部署で年収が違うっていう点もあると思います。
更に言いにくいこともお話します。
私の奥さんも実は子供の学歴を本当に気にしています。
「子供たちをそこそこの大学に入れておかないと将来が心配だ」っていつも言うんですよ。
というのも、実は妻が代表を務める会計税理士法人でこれまで働いてくれたスタッフ、そして今働いているスタッフの出身校って皆良いところばかりなんです。
九大に始まって東京外語大、埼玉大、東京農工大、それから私大は慶応大に早稲田大、上智大などです。
別にうちは学歴で人を集めたのではなくて、試験をトップ合格したような優秀な人材を集めたら、やっぱりみんな勉強して良い大学出身の人ばかりがスタッフになっていたというお話でございます。
実際に、私大もそこそこの学校出ていないと、なかなか事務職(あくまでも事務職)としても、お給料の良い会社では働きにくいんじゃないかと思います。
ちなみに会計事務所というのは完全事務職です。我々みたいな超零細会計事務所でさえも、このくらいの大学を出ている人が多いんです。
ましてや企業、大企業なんてなんかあからさまです。表立っては言わなくたって、そこそこの学校出ていないと面接にも呼んでもらえません。
自分の子供に「学歴なんて関係ない」って簡単に言って良いの?
それから、2017年の職業別年収のランキングが去年発表になりましたけれど、上位10位までを紹介すると、職種はほとんどが専門職、専門職じゃないのは運輸通信のパイロットだけです。
後は全部専門職です。
1位はお医者さんで1230万円、2位はパイロットで1190万円、3位が大学教授で1050万円、4位が公認会計・税理士で士1040万円、、5位が弁護士1029万円。
ここまでが年収1000万円の壁ですね。ちなみに6位からはポーンと100万円以上下がります。
こんな感じで比較的高く収入をいただける、それだけまぁ責任が重かったり、世の中に価値を与えたり、専門性が高かったりというのがあるんですが、こういう職業に就くのに中卒高卒でどうやって就けるんだ?っていう話なんです。
「中卒高卒だって世の中に役に立つじゃないか!」「職業に貴賎なしって言うじゃないか!」って、言うのは簡単ですよ?
だけど、自分たちの子供が本当にアンダークラスに入ってしまうことを放っておけますか?っていう話です。
こういう現実を踏まえたら、子供に手をかけてあげて、そこそこの学校出してあげる。これ親の気持ちとして普通のことだと思うんです。
あなたは親としてお子さんの教育をどう考えていますか??