私達の周りでは、季節に合わせたバーゲンセールが、そこかしこで行われています。しかし、季節別のキャンペーンは他社も一斉にバーゲンセールを実施する時期に行われるため、差別化を産みにくい施策です。もしも差別化を図りたいなら、行うべきは個人のイベントに合わせたキャンペーンです。その理由を島倉さんが解説してくださいます。
季節に合わせた安売りバーゲンはもうやめよう
今回は、「季節に合わせたバーゲンセールはもうやめよう」という話をしたいと思います。
まぁ、バーゲンセールって多いですよね。
ゴールデンウィーク、サマーセール、冬のバーゲンなどなど、何かと季節に合わせたバーゲンセールが、そこかしこで行われています。
でも、これって決定的にマズいなって思う部分があって、それは「差」にならないことです。
みんなが揃って一斉に安売りを始めるわけですから、烏合の衆マーケティングでしかなく埋没化します。
ところが、ビジネスで成功するためには、あらゆる点で差別化しなければならないわけです。
特に、最近はこの季節に合わせたバーゲンセールのキャンペーンが尽く不発で、一番わかり易いところで言うと、百貨店がどんなにサマーセールとかやっても、前年を超える売上が立たなくなり始めています。
百貨店でしか買えなかったものがネットでも買えるようになって、おまけに消費者はどんどん賢くなり、春夏秋冬のバーゲンセールを打つタイミングだけしか百貨店に来なくなっていますから、当然、全体で見たら売上が落ちます。
「当たり前の時期に当然のように一斉値下げが行なわれるから、お客様もその時期しか来ないお店」
こんなお店を運営する会社を皆さんは経営したいですか?
季節ではなくお客様個人のイベントに合わせたキャンペーンを始めよう
では、季節に合わせたバーゲンセールをやらないなら、どういうキャンペーンをやったほうが良いのかということについて考えてみましょう。
私がオススメしているのは、「個人のイベント」に合わせたキャンペーンです。
たとえば、誕生日、結婚記念日、娘さん息子さんの入学式・卒業式などのイベントに合わせてキャンペーンを実施し、その時に価値を持つ商品・サービスを提案するというものです。
リアル店舗ではもちろん、インターネットでもお客様の情報をいただく際に、細かい情報をいただくことで、その人が必要としている時に、刺さる提案をすることで、「値下げ」主体ではなく「付加価値」主体の提案を行うことが可能になるからです。
このケースだと、値下げが意味のある値下げとなる集客も可能になります。
たとえば、フロントエンド(初回導入)の商品を安く販売することで顧客情報をいただき、バックエンド(利益を得る商品)では値下げを無くし、代わりにいただいた情報を元に細かなサービスを提案するといった具合です。
値下げしないとお客様が離れる!と思っていらっしゃる方、結構いると思うんですけれども、これはやってみればわかりますが真逆です。
一番最初に言ったように、バーゲンは消費者の多くが「やって当たり前」「値下げして当たり前」のもの、という心理状態で商品を購入します。
つまり、当たり前だから本質的には何も面白くないわけです。
対して、個人の事情に合わせたキャンペーンは、お客様に対して「私のためだけに」という気持ちを育みます。
人は誰もが認められて、特別扱いをしてほしいのですから、当然だと思いませんか?
「貴方の特別な◯◯の日だから、今回は通常△円を✕円」という値下げの仕方は、時期も季節別のバーゲンと被らないで済みますよね。
個人イベントに絡めたキャンペーンで成果を上げるには信頼関係が不可欠
基本的にこれらのキャンペーンは、どういう考え方を元に組み立てられているかというと、時代が“BtoB”や“BtoC”から“BtoF”に変わっているという概念に基づきます。
“BtoB”や“BtoC”とは、対顧客の概念ですが、“BtoF”とは、対ファンという概念です。
ざっくりとした「季節」で一区切りに、こちらの都合で行われた値下げは、大量消費の時代なら成り立ったかもしれませんが、今は自分を大切にしてくれる人との信頼関係がなければ、お客様は商品を購入してくれません。
感動と信頼があるお店の「ファン」になってもらえなければ商品は売れません。
必要とされるのは、売り込んでお客から金を巻き上げればいいというTakeの発想ではなく、価値を提供して信頼・共感してもらってから買ってもらうというGiveの発想です。
ぜひ、夏に向けて毎年当たり前のように行うサマーセールの準備に取り掛かろうとしているなら、少し嗜好を考えて、お客様の価値につながるキャンペーンに切り替えられないか考えてみませんか?