日本人は義務教育の過程で「基礎をやってから応用をやらなければならない」という方針の下で育てられているため、とかく完璧主義な思考に陥りやすいところがあります。しかし、経営者という立場で完璧主義を貫くのでは、会社は儲かりません。そのワケを人気経営コンサルタントの島倉さんがわかりやすく解説してくれます。
完璧主義の社長が経営する会社は儲からない
今回は、あなたが社長なら「完璧主義」になってはいけない、儲からないよ、という話をしたいと思います。
社長なんだから、手を抜いたらダメだ、完璧でないとダメだ、と考えている人がいるならば、それはとんだ思い違いです。
なんで、完璧主義の社長さんが意外に多いかというと、これはおそらく日本の義務教育や高校や大学の教育が、相当に思考へ影響しているのだと思います。
例えば微分積分なんてやりますけれど、日本だと絶対に高校2〜3年生で応用をやらなきゃいけない、みたいなところがカリキュラムで組まれていたりします。
一方で外国だと、本人ができるならば、例えば小学生くらいの、もっと早い時期からやっても良いという考え方をします。
それで、一回やってみて、こんなもんか〜と一度把握したら、最初の基礎教育に戻って、もう一度応用するということがザラなんです。
でも、日本だと基礎をやってから応用をするというカリキュラムが必ず組まれます。
だから横並びの教育で、全体主義となりやすいわけで、大人になって、経営者になっても、この思考から脱するのは本当に難しいことです。
40%一通りやって良しとする人と100%やろうとして前に進まない人
では、経営者が完璧主義ではないほうが良い理由を、一つのケースで考えてみましょう。
たとえば、あなたが何かやろうとした時に、そこに6段階のステップがあったとします。
その中で特に、2番目と3番目のステップが難しいとしましょう。
あなたはどのようにステップを進めて、ミッションをコンプリートしますか?
もしもあなたが完璧主義ならば、1〜6までのステップを完璧にこなそうとするので、多分2番目3番目の段階で思うように前に進めなくなり、6番目の段階まで永久にたどり着けないでしょう。
でも、40%でも60%でも良いから、これらを順番に一通りやってみよう、と考えてみたらどうでしょうか?
例えば、6段階を経て収入を得られるとします。
- 6段階を全部完璧にやったら100万もらえる
- 6段階のうち1段階ずつで40%クリアできたら、20万円ずつはまずもらえる
という条件の下で、以下のような結果が出たとします。
- 完璧主義の人:1年かけて6段階をクリアし100万円を稼ぐ
- 完璧主義ではない人:1段階ずつを2ヶ月で40%クリアし、その段階ごとで20万円稼ぐ
1年が経過する時に、皆さんは完璧主義とそうではない側のどちらを評価しますか?
誰でも分かることですが、後者のほうが明らかに評価を得るわけです。
中小企業の経営に置き換えるならば、20万円を2ヶ月に一回コンスタントに手にしたほうが資金繰りも楽ですし、1年で20万円多く稼げますよね。
この事例からもわかるように、一発勝負で絶対に完璧になるまで次の段階に進まないというのは、経営者として一番やってはいけないことなのです。
完璧主義のままだと手段を目的化してしまう
例えば顧問先の方で、インターネットでもビジネスを展開するとなった時に、私は「まず、ブログを書いてみては?」とアドバイスするのですが、文章が完璧にならなければブログを公開したくないという人がいます。
でも、これって無駄ですよね。
なぜなら、ブログは数多く書かなければ上手くなりませんし、うまく書くコツも確かに勉強しなければならないのですが、それは書きながら行えば良いだけの話です。
しかし、ブログを公開したがらない人は、「完璧な記事でないと公開できない」という思いが強くて、結果として売上を上げられず、ブログすら上手くなれません。
私自身もブログを数多く書いてますが、最悪、誤字脱字があったり、文章の流れやロジックがおかしくても、とにかく公開することにしています。
自分の言葉で伝えることで、完璧ではないとしても、反響が意外に帰ってくることを知っているからです。
ブログを書く目的は、売上や反響を得るためのものであって、ブログを綺麗に書くことは、その途中で手に入れるスキル(手段)でしかありません。
ぜひ、完璧主義では売上が立たないということを、理解してください。