わかっちゃいるけど辞められない人の心理を生かしたヒット商品

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 わかっちゃいるけれど止められない行動を、人に頭ごなしで止められることを人は嫌います。「認知的不協和」と呼ばれる状態です。認知的不協和への対応策は、自分の意思でやめるか、認知的不協和を緩和するしかありません。そして、ビジネスの世界では認知的不協和を緩和することでヒットを果した商品が山ほどあります。例をあげて解説いたします。

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締めラーメン、わかっちゃいるけれど止められない

 締めのラーメンに代表されるように、私達は「わかっちゃいるけれど止められない」行動を頻繁に起こしてしまいます。

 タバコしかり、深酒しかり、人によってはギャンブルもその対象かもしれません。

 やっていない人から「止めたほうがよいよ」と注意されると、その場では「そうだね」と言いながら、「でも、これは俺の趣味だから」「これを止めた後の楽しみって他にないし」と心で自分を正当化するものです。

 このように、理性では「止めたほうがよい」とわかっていても、感情面で「止められない」欲望を持つ、人間の矛盾した心理は「認知的不協和」と呼ばれており、よほどの転機が訪れたり、失敗を犯さない限り、この状態から脱することができません。

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認知的不協和を緩和することでヒットした商品

 さて、この認知的不協和な状態は人にとって不快なものです。

 ダメだとわかっているのに、やってしまうことはストレスを与えるからです。

 この状態を脱するためには、自分の意志できっぱりと止めるか、認知的不協和を緩和する必要があります。

 しかし、自分の意志で「わかっちゃいるけれど止められない」ことを、きっぱりと止めるのは至難の業。

 人間は本来、意志の弱い動物であり、現実的には認知的不協和を緩和する行動を取ろうとします。

 これを逆手に取って、近年多くの企業がヒット商品を生み出しています。

 例えば、「ヒートスティック型タバコ」のIQOS(アイコス)は、その代表例と言えるでしょう。

 タバコを止めたほうがよい理由となる、副流煙やニオイを出さず、有害物質も90%以上カットすることで、喫煙者の認知的不協和を緩和し、今でもキットの購入まで半年待ちの商品となっています。

 また、コンビニで栄養ドリンクの棚を広げているのは、ゼリア新薬の「ヘパリーゼ」シリーズです。

 ヘパリーゼは、肝臓加水分解物製剤「プロヘパール」を協調することで、「アルコールを飲みすぎると肝臓が悪くなる」という、アルコールを飲むこの害悪に対する認知的不協和を緩和するアプローチで、ヒットをおさめています。

 「今日は飲むな」と予感した時、コンビニで普通のヘパリーゼでは無く、ヘパリーゼHIや錠剤を選んだ経験はありませんか?

 なぜこのような行動を取るかというと、「成分が濃いヘパリーゼを事前に飲めば、悪酔いする可能性が少なくなる」と自分を正当化する心理が働くからです。

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今ある商品を認知的不協和の視点で捉えてみよう

 理性は、言葉を変えると私達が潜在的に持つ「常識」に置き換えられます。

 ところが、大人になるほど常識に沿って行動しなければならない一方、人は感情的に「行儀よくマジメなんてクソ食らえ」といつまで経っても考えています。

 上記にあげた商品は、常識の範囲内に非常識なことを含めることを肯定することで、認知的不協和を緩和しヒット商品となりました。

 同じように認知的不協和を緩和するアプローチ視点を持つと、既存の商品について違った販促方法が見えてくるかもしれません。

画像:アイコス公式サイト

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